リプレイの例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 15:00 UTC 版)
「リプレイ (TRPG)」の記事における「リプレイの例」の解説
以下に、戯曲形式で描かれたリプレイの一例を示す。 GM : さて、君たちは過酷な冒険の果てに、ようやく鬼岩城の最深部、大魔術師ザラックがいる儀式の間にまでたどりついた。 トーマス : ようやくここまで来たか。しかし、さっきの戦闘で俺もうボロボロだよ。 ゴードン : それはみんな同じですよ。でも、ここまで来たらGMに負けてはいられないからね。必ずザラックとの戦いには勝たないといけません。ザラックに言い放ちます。「ザラック、おまえの悪行もそこまでだ! 年貢の納め時だぞ!」 彼ら冒険者たちはここにたどり着くまでの四天王との戦いですでにかなりのダメージを負っていた。これはGMにとっても予想外のことだったが、ここで手加減するようでは逆にプレイヤーたちに失礼だ。GMは心を鬼にしてプレイヤーたちを挑発する。 GM : たいした自信だなゴードン。じゃあザラックは君たちを見て不敵に笑うことにしよう。「フン、ようやく余のもとまでたどり着けたか小童どもめ。だがそのような満身創痍の状態で余に勝てると思っているのか」 そういいながらザラックは火球の魔法を放つ! 対象は隊列上で一番前にいるエミリーだ。魔法の命中判定は24です。 エミリー : ええっ!? なんだよそれは! 仕方ない。魔法の回避判定を行います。・・・25! 危なかったがギリギリ避けられた。よし、それでは俺は精一杯に虚勢を張りながらもザラックに言い放つぞ。「自慢の大魔術の力というのもその程度なの? 私みたいな小娘1人を倒せないようなら、あなたの恐怖神話もあながち信用できないわね」 トーマス : エミリー、さすがにそれは調子にのりすぎじゃないか?(笑) GM : 挑発には乗ってあげようか。ザラックは怒りに顔を真っ赤にして叫ぶ。「よかろう! ならば、チリ一つ残さないまま消滅させてくれるわ、冒険者ども!」 さぁ、ここからが本番だぞ! 上記において、トーマス、ゴードン、エミリーはプレイヤーキャラクター名となる。名前に続く文章がそのプレイヤーキャラクターを演じているプレイヤーの発言である。なお、「GM」はゲームマスターの略称である。また、上記の例では女性キャラクターであるエミリーを動かしているプレイヤーは男性であると仮定している。 実際のテーブルトークRPGのプレイの場では、キャラクターとしての口調までも「演技」されないことも多い。役者のように演技をしなくても、そのキャラクターらしい行動宣言をするだけで架空のキャラクターのロールプレイが他者に伝えられることが多々あるからである。特に、性別や年齢がプレイヤーと異なるキャラクターを演ずる場合は口調の演技を求めることは困難な場合もある。しかし、文章だけで構成されるリプレイでは表現力が制限され、たとえば、プレイヤーがキャラクターらしい行動宣言をしている場面を文章化しただけでは架空のキャラクターの存在感を強めることはできない。そのため、リプレイでは読み物的な観点から、ゲーム中のプレイヤーの発言のうち、キャラクターの発言だと捉えられる部分を「そのキャラクターらしい口調」へと改める場合もある。上記の例だと、エミリーは実際のリプレイでは女言葉での演技などは全く行っておらず、それをリプレイ執筆時に「キャラクター発言に類する場所は女性らしい口調に変える」という編集が行われた可能性も考えられる。このような編集の是非については後述する。 また、上記のリプレイでは、プレイヤーの発言のうち「キャラクターの台詞」として喋ったものにはカギカッコがつけられて、“キャラクターとしての台詞”と“プレイヤーとしての素の発言”が明確に区別されている。しかし、リプレイの中にはあえてここを曖昧にして、あたかも架空のキャラクターが自分自身の冒険を語っているかのような文体で描くものも数多く存在している。このような文体の具体例として、上記リプレイのエミリーの発言部分を以下のように変更する。 エミリー : ええーっ!? なによそれ! 仕方ないわね。魔法の回避判定を行うわね。・・・25! はぁ、危なかったけどギリギリ避けれたわ。でも、自慢の大魔術の力というのもその程度なのかしら? 私みたいな小娘1人を倒せないようなら、あなたの恐怖神話もあながち信用できないわね! プレイヤーとキャラクターの発言の境界を曖昧にしたために、エミリーの“プレイヤーとしての発言”がキャラクターの口調である女性的なものになっているが、これは実際にエミリーのプレイヤーが常に女言葉でゲームをするということではなく、リプレイを執筆する段階で口調を編集するのが一般的である。
※この「リプレイの例」の解説は、「リプレイ (TRPG)」の解説の一部です。
「リプレイの例」を含む「リプレイ (TRPG)」の記事については、「リプレイ (TRPG)」の概要を参照ください。
- リプレイの例のページへのリンク