モーターカノンとして用いられた機関砲・機関銃
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「モーターカノン」の記事における「モーターカノンとして用いられた機関砲・機関銃」の解説
イスパノ・スイザ HS.7/9 HS.7/9はフランスで最初にモーターカノンとして、ドヴォワチーヌD510戦闘機などに装備された20mm機関砲である。世界中に売り込みがかけられ、“モーターカノン”という武装形式が流行するきっかけとなった。 イスパノ・スイザ HS.404 HS.7/9の発展改良型で、第二次大戦ではモラーヌ・ソルニエMS406やD520といったフランス軍戦闘機が実戦で用いている。日本海軍でも2機だけ作られた九六式三号艦上戦闘機に搭載されていた。しかし、後に翼内機銃として米英軍に改良型が多用されたものも含め、モーターカノンとしては作動不良に悩ませられた。 ラインメタルMG17 第二次大戦前半の、ドイツ空軍の代表的な固定式機関銃。口径7.92mmで、Bf-109B-02の機首・翼内の他、プロペラ軸内機銃としても搭載された。しかしこの装備位置ではエンジンからの振動が原因で装弾不良が起こりやすく、取り外されることが多かった。この他にもC-2型とC-4型での軸内装備が予定されていたが、どちらも計画のみに終っている。 イカリアMG-FF スイスのエリコンFFの弾薬を20mm x 72RBから20mm x 80RBに変更し、ドイツでライセンス生産したもの。APIブローバック方式でプロペラ同調ができないため、主にプロペラ圏外の翼内機銃や旋回機銃として搭載された。本来、モーターカノン用としてエリコンFFSがあったが大きすぎて搭載できなかったため、DB601にあわせて寸法も使用弾薬も小さいFFをベースにしたものである。また長砲身化したMG/C3がBf109E-2に装備されたが、重量増加や振動のトラブル、狭さゆえの整備の困難が理由で2機だけの試作に終った。後のBf109F-0でも、強装薬の薄殻弾頭を用いる新型のMG-FF/Mがモーターカノン式に搭載されている。なおBf109のE型以前のタイプの多くにはモーターカノンが未装備にもかかわらずプロペラスピナー中心に穴が空いているものが多いが、これはエンジン冷却にも効果があったので、整流キャップを付けず冷却孔として利用しているためである。 マウザーMG151 先行量産型であるBf109F-0からに搭載される予定であったが、続く量産型F-1と共に間に合わず、20mm NGFF/Mを搭載している。F-2から初速と発射速度の高い口径15mmのMG151が搭載され、F-4からは口径の拡大された20mm MG151/20に変更、以後多くのBf109に搭載され、モーターカノンとしては最も使われた機関砲となった。戦後、ユーゴスラビアがライセンス生産したYak-9の発展型であるS-49Cでも用いられた。砲身はシリンダーブロックの間を通しているが、銃の本体はエンジンマウントではなく機体側に固定されている。 ラインメタルMK 108 機関砲 対重爆撃機用に開発された、強力な30mm弾を発射する小型の機関砲。これもAPIブローバック方式でプロペラ同調ができないため、モーターカノン、またはプロペラ圏外のガンポッドに装備される。Bf109ではG-6型以降に選択装備され、モーターカノン式に搭載する仕様はU4、ガンポッドも使用するものはU5仕様と呼ばれた。なおBf109KやTa152からは標準装備のモーターカノンとなる。 マウザーMK 103 機関砲 より大型で強力なドイツの30mm機関砲。単発戦闘機用としては重く反動が大きかったため、試験的な搭載しか行われていなかったが、大戦末期にBf109K、K8、K14にモーターカノンとして搭載された。 ShVAK ロシアの20mm機関砲。口径7.62mmのShKASの拡大型で、Yak-1からYak-9までのシリーズ、およびLaGG-3にモーターカノンとして搭載された。初期には弾詰まりを起こすトラブルが発生したが、未熟だった整備兵が正規の訓練を受けた後には、レンドリースされた機体についていたイスパノに比べ信頼性や弾道特性、発射速度に優れ、モーターカノンとしても優れていたと言われる。 B-20 ロシアの20mm機関砲。戦後になって登場したYaK-9Pの機首武装三門のうち、一門がモーターカノンとして搭載された。 NS-23 ロシアの23mm機関砲。大戦後期に登場し戦後のジェット機にも使われたもので、モーターカノンとしてはYak-9S及びUT、Yak-3PDに搭載されている。 NS-37 ロシアの37mm機関砲。Yak-9T戦闘機などにモーターカノンとして搭載された。 NS-45 ロシアの45mm機関砲。Yak-9K戦闘機にモーターカノンとして搭載された。反動が強烈で、一発撃つと機体速度が大幅に低下するほどで、試験的に実戦投入された。 ベレシンUBS MS406を輸入して使っていたフィンランド空軍では、エンジンをドイツ軍が捕獲して転売したロシア製クリモフ(同じイスパノ系)に換装した「メルケ・モラン」に改造した際、調子の悪かった20mmモーターカノンを、やはりロシア製の12.7mm機銃に換装して使用した。また、同系列のエンジンを搭載するLaGG-3の最初期のタイプでも、モーターカノン式に搭載している。
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