モチーフとしての利用、影響、受容史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 14:10 UTC 版)
「モンテ・クリスト伯」の記事における「モチーフとしての利用、影響、受容史」の解説
大正時代の冤罪事件「吉田岩窟王事件」の名は、この事件を紹介した新聞が「今様巌窟王」と呼んだことにちなむ。 映画『Vフォー・ヴェンデッタ』で、『巌窟王』の映画版が仮面の男「V」の好きな映画として登場する。 映画『スリーパーズ』にて、主人公たちが復讐計画の合言葉として、エドモンの名を利用する場面がある。 その他、後世の作品で影響を受けているものが幾つもある。例を挙げてみると、 死体と入れ替わって脱獄という手段は黒澤明監督『用心棒』、『ヤング・インディ・ジョーンズ』、コミック『ダブル・フェイス』でも使われた。 黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』では、監禁した悪人に法外な料金の食事代を請求するというエピソードが引用されている。 漫画『地球を呑む』では、物語のキーパソンの一人であるモンテ・クリトスの名前の由来となっている。 漫画『エリア88』は、作者の新谷かおるによると、この作品をベースにしたという(主人公・風間真は友に裏切られ、恋人を奪われ、生きて帰ることが難しい外人部隊に入隊させられる。流転の末某国の大統領の死の間際に譲渡された、国家予算並みの遺産をもとに逆襲を開始する)。 英語学習者のために書き下ろしたオリジナル、あるいは簡略化された名作が収録されたペンギン・リーダースに『Count of Monte Cristo』として収められているが、脱獄したエドモンが帰って来ると、エドモンの父は健在でメルセデスが結婚せずに待っていたという、大胆な翻案となっている。 ゲームソフト『西風の狂詩曲』のストーリーは、モンテ・クリスト伯をモチーフとしている。 ゲームアプリ『Fate/Grand Order』では、アヴェンジャーのサーヴァントとして巌窟王 エドモン・ダンテスが登場する。 2007年9月17日放送の『あらすじで楽しむ世界名作劇場』で、千原ジュニアが「モンテ・クリスト伯」をテーマに取り上げ紹介した。しかし、ヴィルフォールの最後は失踪、また、最初に復讐されるはずのフェルナンが最後にきていたりなど、原作(番組内では岩波文庫版7巻を使っていた)と異なる部分が多々あり、しっかり読んでいなかったことを露呈させた。 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007年12月21日公開)で、無実の罪に陥れられた主人公が15年間投獄され、脱獄して名前を変えて復讐のため舞い戻るというプロットが『モンテ・クリスト伯』を思わせるとの指摘がなされた。元々「スウィーニー・トッド」の名前が出たのは1846年と言われており、これは『モンテ・クリスト伯』が新聞連載されていたのとほぼ同時代である。当初は投獄等の話はなかったが、1979年初演のミュージカルから取り入れられ、映画もこれを原作としている。 『潜水服は蝶の夢を見る』では、主人公が、小説『女モンテ・クリスト伯』の構想を練っているエピソードがある。後に主人公は脳溢血に倒れて左目しか動かせなくなるが、目の動きで自分の意志を伝えようとする姿を、中風で全身麻痺になり目の動きでしか意志を伝えられなくなっているヴィルフォールの父ノワルティエの姿に重ね合わせようとする描写がある。 『金田一少年の事件簿』の『金田一少年の決死行』は、犯人の境遇が『巌窟王』になぞらえられており(自分を陥れた者達への復讐や大切な人への恩返しを行っている)、犯人自身も『岩窟王』と名乗っている。 『銀色の髪の亜里沙』は、主人公が友人に裏切られ、閉じ込められたところで知識と財宝を入手、脱出後に復讐を行うなど、少女版『巌窟王』(あるいは『白髪鬼』)と言える。 漫画『ミナミの帝王』の『ヤング編』のあらすじと主人公・萬田銀次郎の生い立ちは、エドモン・ダンテスの復讐劇を下敷きにしている(裕福な家庭に育った銀次郎は取引先に父親を死に追いやられ、やがて母親も自殺。銀次郎はドヤ街に遺棄されるが、そこで出会った人々から金融や法律の知識を徹底的に叩き込まれ、大阪の経済界にデビューし、自分の両親を追い込んだ本人に接近し、復讐を開始する)。 2003年に放送された平成仮面ライダーシリーズの第4作『仮面ライダー555』序盤で、事故に遭い2年間もの昏睡状態に陥った木場勇治が両親を失い、家は叔父一家によって勝手に売り払われ恋人も従兄弟に奪われたため、ホースオルフェノクに覚醒し従兄弟と自分を裏切った恋人を手にかけて殺す筋書きは『モンテ・クリスト伯』を下地にしている。
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