ホームドアの導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 18:15 UTC 版)
山手線では、2010年から可動式ホーム柵(ホームドア)の導入を進めており、2020年3月現在では、27駅で設置が完了している。それに伴い、列車を駅の定位置に停車させるシステムである定位置停止装置(TASC)を車両側と地上側とで導入している。 山手線でのホームドア導入を決定した理由には以下の理由がある。 JR東日本の路線の中でも利用者が多く、ホーム上での事故などが多発している 山手線を走行する車両の種類・形式が統一されている 他社線や他線区からの車両の乗り入れがない JR東日本は2008年3月31日に発表した『グループ経営ビジョン2020 -挑む-』と称した方針の中で、乗客のホームから線路への転落事故を防止するため、JRの在来線としては初となるホームドアの導入を明らかにした。その後の発表と総合すると、駅の大規模改良が予定されている浜松町駅・新橋駅・渋谷駅・新宿駅・東京駅を除く全駅で2017年度末までの設置を目指しており、2008年6月3日の定例会見において、ホーム構造・幅員などの特徴や乗務員の取扱い誤り防止などの観点により、恵比寿駅・目黒駅の両駅を先行導入箇所とし、約2年の検証期間を経たあとに、山手線各駅への導入を進めることになり、2010年度には、両駅でホームドアの使用を開始した。その後、2012年度には大崎駅と池袋駅で、2013年度には巣鴨駅・駒込駅・大塚駅・目白駅・高田馬場駅・新大久保駅・田町駅、2014年度には御徒町駅・鶯谷駅・田端駅・有楽町駅・原宿駅・五反田駅・西日暮里駅、2015年度には秋葉原駅・代々木駅・上野駅・神田駅・日暮里駅、2016年度には品川駅に導入されている。 これに関連して、上野東京ラインの開業による混雑率の低下および西日暮里駅 - 浜松町駅間で乗り入れる可能性がある京浜東北線の電車との関係により、2010年2月19日より編成に組み込まれた6扉車の4扉車への置き換え(置き換え期間中の6扉車の平日朝の座席格納は中止)や、床下にホームドア対応機器の設置が進められ、両駅間の6扉車だった停車位置へのホームドア設置は置き換え後に開始されている。 なおホームドアにあるウグイス色のラインは、誤乗防止のため内回りと外回りで表記が異なり、内回り側は単線、外回り側は二重線である。 ホームドアの高さは、乗客の寄りかかりや乗越え、車掌から見た車両とホームドアの視認性、安全性などを考慮して1,300 mmとし、開口幅は、車両の扉の開口幅の1,300 mmと定位置停止装置 (TASC) が±350 mmの精度であるのを考慮して2,000 mmとしている。ホームドアの厚さは、ホームの通路幅や建築限界離隔を考慮して、本体部150 mm、センサー部90 mmとしており、駆動機構の薄型化が図られている。また、ホームドアには、引き込み検知装置・支障物センサー・戸挟み検知装置などにより、人や物が挟まれた場合はホームドアを開かせる安全装置と非常時においてホームドアを開かせる非常解錠スイッチを備えているほか、火災や故障などで列車が駅の定位置に停車できなかった場合は、乗客を安全に誘導するための緊急脱出口を備えている。ホームドアの扉は、乗客が乗車前に足元の安全を確認して安心して乗車できるようにガラス製としている。 ホームドアの開閉のシステムは、車両側に搭載されたホームドア車上子から地上側に設置されたホームドア情報伝送地上子(PO地上個子)との間で通信を行いホームドアと車両の扉が連動して開閉を行う。また、ホームドアの状態を遠隔故障監視システムにより遠隔監視することで、故障の早期復旧と連絡体制の強化を図っている。
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