プロットの背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/17 07:39 UTC 版)
「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」の記事における「プロットの背景」の解説
「説得 (小説)」および「高慢と偏見 (テレビドラマ)」も参照 シリーズ第1作『ブリジット・ジョーンズの日記』は、ジェイン・オースティンの小説『高慢と偏見』を下敷きにした作品である。一方の第2作は、同じくオースティンの小説で、「本当の愛」がありながら周囲の説得で関係解消する筋書きがある『説得』と関連が見られる。例えば第4章の章題は、『説得』の原題である "Persuation" である。フィールディングは登場人物のひとりであるジャイルズ・ベンウィック(英: Giles Benwick)の名前を、この小説に登場するベンウィック大佐(英: Captain Benwick)から取っているほか、元の小説から借りてきたシーンも散見される。 例えば、マークを巡ってブリジットと対立することになるレベッカは浅い川に飛び込んで足を痛めるが、このシーンは『説得』でアンのライバルであるルイーザが、ライム(英語版)で頭から転ぶシーンと鏡になっている。またどちらでも、レベッカ・ルイーザの行動をマーク・ウェントワース大佐が止めようとするが失敗する。フィールディングの小説では、この後ジャイルズとレベッカが「自己啓発本を通じて」恋愛関係に発展するが、『説得』でもライムで怪我をしたルイーザと、ここに逗留していたベンウィック大佐が詩を通じて恋仲になる。 「あのジャイルズよ、ほら、マークの同僚の、レベッカの実家で自殺を図ってあなたに救われた」「彼、あなたにすごく気があったのよ」「ところが、池に飛び込んで足首をくじいたレベッカと、自殺を図ったジャイルズが、養生のためにグロスタシャーにこもって自己啓発本を読んでいるうちに、なんとまあ——その気になっちゃったってわけ ([Giles and Rebecca] "fell in love over self-help books")」 — ヘレン・フィールディング、『秋冬篇』190頁 どちらの話でも、主人公(ブリジットとアン)が、恋人(ダーシーとウェントワース大佐)がライバル(レベッカとルイーザ)を褒めるところを聞いてしまう。ブリジットはマークと不仲になっている時期に、ダーシー提督から息子の結婚を聞かされ、勘違いして動揺するが、『説得』でもアンが、ウェントワース大佐の姉であるクロフト夫人から兄弟の結婚を聞かされて動揺する。またブリジットは、名付け親となったコンスタンスの誕生日会に参加した時に、彼女の背中に登ろうとする男の子に迷惑させられ、マークに助けられるが、『説得』では、アンの元恋人であるウェントワース大佐がアンに対して全く同じ行動を取る。また、ブリジットの母が参加するブック・クラブの詩読会では、ブリジットが女性は自分たちを忘れた男性たちを忘れられずにいるものだと話す様子をマークが立ち聞きして、ブリジットへまだ好意があるなら連絡してほしいという紙を回そうとする(但し混乱の末に、キプリングの詩『もしも』が書かれた間違ったメモ書きを渡してしまう)。この時ブリジットが言う言葉は次の通りである。 [ダーシー提督]「なんでいかん!なんでいかんのだ!いいじゃないか!わしにゃ、わからん!あっちの女、こっちの女と、取っかえ引っかえ!うら若い娘さんたちが、ああいった若い男どもを真似て花から花へと飛び回るようなことをしないことを望むばかりだよ!」「そんなこと、しません」と悲しい声でわたし。「それどころか、わたしたちはもし誰かを愛したら、たとえ相手が目の前から消えても、簡単に忘れることなんてできません」 — ヘレン・フィールディング、『秋冬篇』121頁 『説得』第23章にも同様のシーンがあり、マークに相当するウェントワース大佐は、アンがハーヴィル大佐に「女性の貞節さ」("women's constancy") を説くのを聞いていて、その後アンに結婚を願う手紙をこっそり手渡す。ここでのアンの言葉は次のようになっている。 「ええ、そうですわ。女性はそんなに簡単に男性を忘れることはできません。男性がすぐに女性を忘れるようにはね。それは女性の長所ではなくて、女性の運命なのだと思います。そうするよりほかないのです。女性はいつも家にいて、狭い世界で静かに暮らしていますから、どうしても感情の虜になってしまうのです」[中略]「男性たちの熱烈で誠実な感情を過小評価するつもりなどまったくありません。真の愛情と貞節は女性の専売特許だなんて言うつもりはありません」[後略] — ジェーン・オースティン、『説得』385頁、390頁 ブリジットは1995年にBBCで放送された『高慢と偏見』に夢中であり、このドラマでダーシー役を演じたコリン・ファースへのインタビューを取り付ける。ファースは『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズの映画でマーク・ダーシー役を演じているが、この内輪ネタに対し、第2作『きれそうなわたしの12か月』の撮影に合わせてファースが本人役で登場する映像が作られ、後に特典映像として収録された。 サンドラ・グレゴリー(英語版)は、作中タイの刑務所が登場するシーンについて、自分の両親がフィールディングの隣人だったので、自分の事件について両親が話し、それが元になったのではないかと話している。グレゴリーはヘロインの密輸に関与したとして1993年にタイで死刑判決を受け、その後イギリスに帰国した人物である。
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