パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解の意味・解説 

パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:41 UTC 版)

パルティア」の記事における「パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解」の解説

イラン世界における重要な宗教として拝火教とも呼ばれるゾロアスター教があるが、アルサケス朝宮廷ゾロアスター教の詳しい関係については、やはり史料不足により不明確である。アルサケス朝諸王聖なる火を崇める習慣をもっていたことは、初代アルサケス1世即位したというアサークの町で、「王朝の火」が保たれていたというカラクスのイシドロスによる記録や、聖火祭壇に聖木を捧げるパルティア君主浮彫ベヒストゥン残されていることからわかる。しかし、このアルサケス朝の王たちによる聖火崇拝ゾロアスター教判断するかどうかについては学者により見解がわかれる。 日本の研究者山本由美子は、上記のような証拠から、「アルサケス朝諸王ゾロアスター教徒であったことは明らかである」とする。また、イギリス研究者メアリー・ボイス同様の見解に立つ。また後世には、アルサケス朝(アシュカーン朝)の王がゾロアスター教において重要な役割果たしたとするゾロアスター教伝承もある。ゾロアスター教聖典『アヴェスター』注釈『バフマン・ヤシュトのザンド』では、アフラ・マズダー神がゾロアスターに夢で、金の時代、銀の時代黄銅時代時代、鈴の時代、鋼の時代、土の混ざった時代と言う来るべき7つ時代についての啓示与えたとされる。その中の一節で「時代は、この世存在した異教一掃したアシュカーン朝(アルサケス朝)の王の治世」としてパルティア時代位置付けられている。別の箇所では「アシュカーン朝のヴァラフシュ(ヴォロガセス)はアレクサンドロスによる破壊危害や、ローマ人略奪のために、完全な状態から散り散りになっていたアヴェスターザンド注釈)を書き留めさせた。神官口頭伝えて残っていたことも保存され、他の都市のために写し造られた」とされている。聖典としての『アヴェスター』サーサーン朝時代入ってから編纂されたものであるが、比較文学比較文化研究者山中里子は、これらの伝説からパルティア時代各地ゾロアスター教集団口頭伝わっていた『アヴェスター』断片記録され可能性はあるとしている。 一方アルサケス朝宗教古代イラン多神教であり、ゾロアスター教影響受けていないという見解もある。カナダイラン研究者リチャード・フォルツは、「(多く研究者が)実質的に古代イラン全体ゾロアスター教徒であると特徴づけているが、このおおざっぱな一般化にはごくわずかしか、あるいはまった証拠はない」と延べゾロアスター教初め体系化されたのはサーサーン朝時代であってそれ以前イラン系住民宗教についてはわずかしか分っておらず、サーサーン朝の「ゾロアスター教的」伝統パルティア時代それ以前時代について投影することには慎重でなければならないという。青木健はさらに議論進め王名考古学的証拠、そしてアルサケス家が王位占めた隣国アルメニア資料などから、「パルティア人の間ではミスラ神に対す信仰盛んだった考えられる」としている。

※この「パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解」の解説は、「パルティア」の解説の一部です。
「パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解」を含む「パルティア」の記事については、「パルティア」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解」の関連用語

パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



パルティア時代のゾロアスター教に関する諸見解のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのパルティア (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS