ドクター・ホワイト 千里眼のカルテ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 13:14 UTC 版)
「ドクター・ホワイト」の記事における「ドクター・ホワイト 千里眼のカルテ」の解説
カスパー・ハウザー 早朝に井之頭公園をジョギングしていた狩岡将貴は、目の前で倒れた白衣の少女を見つけ、近くの高森総合病院に勤務する麻理亜を呼び出す。病室で少女は、将貴の呼気の微量のアンモニア成分から、ヘリコバクター・ピロリに起因する慢性胃炎だと告げ、まるで医学書の情報をそのまま読むように治療法を説明する。病院や公園という言葉の意味は分かっているが、どちらも初めて見たと話す。少女は自分の素性は明かさず、白夜と名乗る。白夜の特殊な能力から、将貴は麻理亜に「カスパー・ハウザー」について説明する。将貴は少女を親戚の雪村白夜として、妹の晴汝と二人暮らしの自宅に引き取る。 将貴の家に着くと白夜は庭の植物に強い興味をもち、白衣を将貴に手渡す。将貴は白衣の裾にGPS機能をもつ通信端末が縫い込まれていることに気付く。家に入ると晴汝がうずくまっている。晴汝は手術困難な部位に脳動脈瘤があり、医師たちはそれによるものと懸念する。院長の高森巌の前で各医師が所見を述べたあと、白夜はピロリ菌感染による萎縮性胃炎と診断し、検査でも確認される。巌は誤診を防ぐため、麻理亜をリーダーとする「診断協議チーム(DCT)」を立ち上げることを提案し、白夜にも加わってもらいたいと話す。白夜はやらせてくださいと即答し、将貴は白夜の後見人をかねてチームの取材を許される。 DCT 将貴は友人である刑事の奥村に調査を依頼し、白夜に該当する失踪者がいないこと、GPS発信機の契約者名が、4年前に失踪した高森勇気であることを知り驚愕する。皮膚科の夏樹が村木健哉を細菌感染と診断し、抗生物質投与を指示するが、白夜は誤診だと断定し、さらに患者にこの1週間の行動を質問し、双方の怒りを買う。村木は容体が急変し、DCTチームの協議で、白夜は「エコノミークラス症候群」と診断する。患者は呼吸困難となり、肺血栓を起こしかけている。白夜はモニターの心電図波形から心臓の状態を的確に言い当てる。血栓溶解療法では間に合わず、カテーテルを入れて、ようやく危険状態を脱する。 可愛い悪魔 白夜は将貴に少しずつ心を開き、真っ白い窓のない建物で育ったと話す。高森病院に資本参加するJMAファンド代表の藤島の邸宅で、息子の誠がテントウムシと口にしたあと、意識を失い、階段からころげ落る。CTでは脳に出血は見られない。高森病院で藤島の医療スタッフ3名が治療にあたる。誠はなぜか腹部の痛みを訴え、その後、嘔吐し、強い痛みで泣き叫ぶ。さらに、痙攣をおこし、発汗、浮腫があり、血圧も上昇する。白夜はある仮説を立て、藤島邸でテントウムシに長い足を付けたような「ジュウサンボシゴケグモ」を採取する。白夜は藤島と三人のスタッフに毒蜘蛛を見せながら、これに刺されたと説明する。 ミルウォーキーの奇跡 日比野カンナが撮影中に錯乱し、カメラマンの加賀美に抱きつき、痙攣を起こす。目を覚ましたカンナは、水を飲もうとして痙攣を起こし、錯乱状態となる。カンナは最近バリ島に行っており、DCTチームもJAM派遣医師団も薬物を疑う。白夜はカンナにいくつかの質問をし、バリ島の画像からコウモリ洞窟での撮影に注目する。白夜は「狂犬病」という診断を出し、検査と「ミルウォーキー・プロトコル」の開始を依頼する。最も重要な麻酔科医は末期がんで入院中の巌が担当する。カンナは脳の活動を最小限に抑える深い昏睡状態になり、7日目に麻酔薬の投与が止められると、ゆっくりと瞼を開けようとする。 エピローグ 将貴はブログに井之頭公園を走ると書き込み、早朝のジョギングを始める。メッセージは理解され、高森勇気が現れる。勇気は白夜の件を公表すれば、白夜を含め関係者は殺害されると警告する。そして、自分が逃げている間は白夜は殺されないと続け、「Rh null」と書いたメモを将貴に手渡し、去っていく。
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