ディーゼル・エレクトリック方式/ターボ・エレクトリック方式/ガス・エレクトリック方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 16:03 UTC 版)
「無段変速機」の記事における「ディーゼル・エレクトリック方式/ターボ・エレクトリック方式/ガス・エレクトリック方式」の解説
詳細は「ディーゼル・エレクトリック方式」、「電気推進 (船舶)」、および「ガス・エレクトリック方式」を参照 鉄道車両や船舶などにおいて、電動機が停止状態(起動時)から強力な駆動トルクを発生させることや、電気的回路による制御が容易な特徴を利用し、動力源から最終出力部までの間に発電機と電動機を介在させ、トルクと回転数を制御するシステム。原動力がディーゼルエンジンの場合は「ディーゼル・エレクトリック」、ガソリンエンジンの場合は「ガス・エレクトリック」、蒸気タービンやガスタービンの場合は「ターボ・エレクトリック」と呼ばれる。広義の無段変速機構ではあるが、いわゆる変速機に当たるものは基本的には不要である。ただしモーター特性を生かすために変速機構を設ける場合もある。鉄道車両の場合は電気機関車や電車と同様、ほとんどの場合減速機は一段固定である。 トルクコンバータを用いた液体式変速機が未熟だった1930年代から、総括制御も可能なディーゼル機関車や気動車の変速システムとして各国で広く利用され、世界的にはディーゼル機関車の動力伝達システムの主流である。また船舶においては、スクリュープロペラを駆動する動力としては高回転過ぎた初期の蒸気タービン動力(減速機が未発達だった)の減速・伝達手段としてアメリカ合衆国海軍の軍艦やヨーロッパの一部の商船などで用いられた。WW2のドイツにおいてはVK4501(P)いわゆるポルシェティーガー、さらにはそれを流用したエレファント重駆逐戦車においても採用された。現代でも、フランス海軍の原子力潜水艦や、各国海軍の統合電気推進技術として現役であり、今後も発展が予定されている。 直流発電機の重量ゆえ、日本では線路規格に対して軸重が過大となり、国鉄DF50形が短期間量産された以外はごく少数の採用に留まっていたが、1970年代以降、ヨーロッパではブラシレス交流発電機、可変電圧可変周波数制御、誘導電動機の組み合わせにより、体積や重量も軽減されたディーゼル機関車が出現、かつての欠点が克服されるようになった。液体式変速機のような多大な部品点数や、手間のかかる整備の必要もなく、国鉄分割民営化後には日本国内でもメリットが十分享受できるとして、DF200形にこのシステムが採用され、電車向けの技術蓄積・部品・メンテナンス体制が流用できるとして、各JR旅客鉄道向け気動車にも採用が進みつつある。 鉱山用の超大型ダンプカーやフォークリフトなど、少数ながら自動車にも採用例がある。 モーターのみで駆動する点からシリーズ・ハイブリッドとも混同される事も多いが、バッテリー等の別途のエネルギー源は存在しないためハイブリッドとはなり得ず形式としては区別される。自動車用においては日産自動車のe-POWERがシリーズ・ハイブリッドとして量産されているが、ガス・エレクトリック方式とは一般的には扱われない。バッテリーの有無以外にもエレクトリック方式ではモーター出力に対して相応の出力のエンジンが必要となるが、シリーズ・ハイブリッドではモーター出力よりも低い出力のエンジンでも成立するなどの違いがある。 鉄道や船舶で示された様に、多発それも各々の出力・特性の異なる動力源から受け取った電力を、各駆動輪を含む各所に任意に配分する事で、大規模・複雑な制御や、各動力源の一部停止と最適運転による燃費低減が、鉄道・船舶規模から自動車規模まで容易に実現でき、それを発動発電機+二次電池と駆動モーター+照明空調等間で行ったのが前述のシリーズ・ハイブリッドとなる。
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