ディスク‐オペレーティング‐システム【disk operating system】
ディスクオペレーティングシステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/07 10:15 UTC 版)
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ディスクオペレーティングシステム(英: disk operating system、略してDOS)とは、補助記憶装置としてディスクやそれ以外の直接アクセス記憶装置を必要とするコンピュータのオペレーティングシステム (OS) である。DOSはファイルシステムと、ディスクに格納されたプログラムをロードして実行する手段を提供する。
現在では汎用コンピュータ用OSのほとんどが補助記憶装置として直接アクセス記憶装置を必要とするため、「ディスクオペレーティングシステム」という用語は歴史的なものとなっている。
歴史
現代の記憶装置にはディスクドライブ、フロッピーディスク、およびフラッシュストレージなどが利用されるが、それ以前の初期のコンピュータでは、記憶装置にアナログディレイライン、コアメモリ、パンチカード、紙テープ、磁気テープ、およびドラムメモリなどを利用していた。初期のマイクロコンピュータやホームコンピュータでは記憶装置に紙テープ、カセットテープ(カンサスシティスタンダードなど)を利用するか、または永続的な記憶装置を一切利用しないかのいずれかであった。永続的な記憶装置がない場合、プログラムとデータはフロントパネルのスイッチを使ってメモリに直接入力されるか、キーボードや端末を通じて入力され、時折ROM内のBASICインタプリタによる制御を受けることもあった。電源が切れると、全ての情報は失われた。
1960年代初頭からディスクドライブの大型化と低価格化が進行したため、様々なメインフレームやミニコンピュータのベンダーがDOSを導入し、ディスクを使えるようにするため既存のOSを改変した。
ハードディスクドライブとフロッピーディスクドライブには、順次形式やそれ以外の形式のデータのブロック記憶装置に対する高速アクセスを管理するソフトウェアが必要となる。ほとんどのマイクロコンピュータでは、どの種類のディスクドライブであってもオプションの周辺機器であった。さらにそのようなシステムはテープドライブと一体で使用され、記憶装置デバイスを一切使用せずにブートできた。OSにおいてDOSの要素が必要となるのは、ディスクドライブを利用する場合だけに限られた。
IBMがSystem/360メインフレームを発表した時点で、DOSの概念は十分確立されていた。IBMは小規模システム向けにBasic Programming Support (BPS/360) とTOS/360を提供したが、これらは主流から外れていたためほとんどの顧客はDOS/360かOS/360のどちらかを使用した。
1970年代後半から1980年代までにおいては、ほとんどのホームコンピュータとパーソナルコンピュータでDOSが使用された。DOS自体の名称に "DOS" という単語が含まれることが多かったため、ユーザーコミュニティのコンテキストにおいてDOSは単に "DOS" と称された。名称に "DOS" が含まれる例としては、Commodore DOS、Atari DOS、TRSDOS、Apple DOS、Apple ProDOS、そしてMS-DOSが挙げられる。CP/Mは名称に "DOS" が含まれていないが、これもディスクオペレーティングシステムである[1]。
通常、DOSはディスクからロードされるが、これには例外がある。コモドール64とVIC-20用のディスクドライブであるCommodore 1541はその例であり、VIC-20のドライブはDOSをROM内に搭載している。また一部のバージョンのAmigaDOSは、そのほとんどがKickstartファームウェアの一部としてROM内に常駐している。
既存OSを拡張したDOS
既存のOSを拡張した(またはそれに類する)DOSの中で主な物を以下に示す:
- Commodore DOSはコモドール64などのコモドール製8ビットコンピュータで動作する。Commodore DOSは他のDOSとは違いディスクドライブと統合されており、コンピュータ本体のメモリへはロードされない。
- Atari DOSはAtari 8ビット・コンピュータで使われた。Atari OSは低レベルなディスクアクセスしか提供しないため、ファイルシステムなど高レベル機能を使うにはDOSと称される追加レイヤーをフロッピーから起動する必要がある[2]。サードパーティーによるAtari DOSの代替OSには、DOS XL、SpartaDOS X、MyDOS、TurboDOS、およびTop-DOSなどがある。
- MSX-DOSはMSX規格のコンピュータ用DOSである。1984年にリリースされた初期のバージョンは、MS-DOS 1.0をZ80へ移植したものであった。1988年、バージョン2にはサブディレクトリ、メモリ管理、および環境文字列などの機能が搭載された。MSX-DOSのカーネルはROM(ディスク コントローラに内蔵)内に常駐しているため、DOSのコマンドインタプリタを使わずともBASIC拡張命令を使うことで基本的なファイルアクセスはできる。
- Disc Filing System (DFS) はエイコーン・コンピュータのBBC Micro用のオプションコンポーネントである。これはディスクコントローラチップ、ROMチップ、および論理チップを搭載した、コンピュータ内部へ組み込むキットである。
- Advanced Disc Filing System (ADFS) はエイコーン・コンピュータのDFSの後継である。
- AMSDOSはAmstrad CPC用である。
- GDOSとG+DOSはZX Spectrum用の+DおよびDISCiPLEディスクインタフェース向けである。
独立したDOS
既存のOSの拡張でははく、独立したOSとしてDOSの中で主な物を以下に記す:
- バロース(現ユニシス)のB5000用Master Control Program[3] (MCP) は当初ドラム起動だったものの、B5500以降からはディスク起動となり、これがB6500、B7500、およびそれらの後継マシン用のMCP基盤となった。
- SIPROS、SCOPE、MACE、およびKronos[4]は、全てコントロール・データ・コーポレーション (CDC) の6000シリーズや7600で起動するディスクオペレーティングシステムである。後にKronosはNOSとなり、SCOPEはNOS/BEとなった。
- GECOS[5]はGE(後にハネウェルとGroupe Bull)の600メインフレームファミリー用オペレーティングシステムである(後にGCOSとなる)。
- IBMのBasic Operating System/360[6] (BOS/360)、Disk Operating System/360[7] (DOS/360) 、Operating System/360[8] (OS/360) は、最小限のSystem/360インストール環境を除いた全ての環境における標準である。360/67にはControl Program-67 /Cambridge Monitor System[9] (CP-67/CMS) およびTime Sharing System/360[10] (TSS/360) も搭載されていた。BOSは廃止され、CP-67/CMSはz/VMへ、DOSはz/VSEへ、OSはz/OSへ、TSS/360はTSS/370 PRPQへとそれぞれ進化したが、現在はこれらも全て廃止された。
- EXEC IIはUNIVAC 1107および1108用オペレーティングシステムで、EXEC 8オペレーティングシステムは1108用オペレーティングシステムである。EXEC 8はClearPath Doradoシリーズ用のOS2200へと進化した。
- DOS-11はDECのPDP-11ミニコンピュータ用オペレーティングシステムである。
- CP/Mは1970年代から1980年代まで数多くのマイクロコンピュータにおいて、主要または代替のオペレーティングシステムとして使用されたディスクオペレーティングシステムである。
- Apple DOSは、フロッピーディスクドライブが導入された1979年から、ProDOSに置き換えられる1983年までにおける、Apple II用の主要なオペレーティングシステムである。
- TRSDOSはタンディ製TRS-80シリーズ用オペレーティングシステム[11]である。
- MS-DOSはインテルx86CPUを搭載したIBM PC互換機用ディスクオペレーティングシステムである。86-DOSはCP/Mをモデルとして開発されており、マイクロソフトのMS-DOSの基盤として採用された。1993年までMS-DOSはIBMによりPC DOSとリブランドされていた。後に1988年のDR-DOSを皮切りとして、様々なMS-DOS互換のDOSが各社により製作された。
- Human68kはX68000用ディスクオペレーティングシステムである。
関連項目
- DOSと称されるディスクオペレーティングシステムの一覧
- Live CD
脚注
- ^ “CP/M Plus: The new disk operating system is faster and more efficient than CP/M”. BYTE Magazine 8 (7): 360. (1983-07-01).
- ^ Wilkinson, Bill (1982). Inside Atari DOS. Greensboro, NC: COMPUTE! Books. ISBN 0-942386-02-7. オリジナルの2017-10-02時点におけるアーカイブ。
- ^ A Narrative Description of the Burroughs B5500 Disk File Master Control Program. Systems Documentation. Burroughs. (October 1966). 1023579
- ^ “CDC Operating System History”. CDC. 2025年10月22日閲覧。
- ^ GE-635 Comprehensive Operating Supervisor (GECOS). General Electric. (July 1964). CPB-1002
- ^ IBM System/360 Basic Programming Support and IBM Basic Operating System/360 Programming Systems Summary. Systems Reference Library. IBM
- ^ IBM System/360 Disk and Tape Operating Systems Concepts and Facilities. Systems Reference Library (Ninth ed.). IBM. (October 1970). GC24-5030-8
- ^ IBM Operating System/360 Concepts and Facilities. Systems Reference Library. IBM. (1965). C28-6535-0
- ^ Control Program-67 /Cambridge Monitor System - (CP-67 /CMS) Version .3.1 - Program Number 3600-05.2.005 - System Description Manual. Type III Class A Program (Third ed.). IBM. (September 1971). GH20-0802-2 2023年1月9日閲覧。
- ^ IBM System/360 Time Sharing System - Concepts and Facilities. Systems Reference Library (Fourth ed.). IBM. (September 1968). C28-2003-3 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Definitive List of TRS-80 Model II Operating Systems”. 2025年10月22日閲覧。
ディスクオペレーティングシステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/11 00:14 UTC 版)
「Atari 8ビット・コンピュータ」の記事における「ディスクオペレーティングシステム」の解説
内蔵OSはフロッピーディスクドライブへのアクセスルーチンとして非常に低レベルなものしか搭載していない。ファイルシステムのようなディスクアクセスを実現するには、DOS (Disk Operating System) を必要とした。そこでフロッピーディスクからブートして使用する Atari DOS が登場した。他の同時代のDOSとは異なり、Atari DOS は完全なメニュー方式だった。 DOS 1.0 - アタリによる最初のDOS。 DOS 2.0S, 2.0D - DOS 1.0 の改良版。 DOS 3.0 - ディスクフォーマットが変更されたため、DOS 2.0 と非互換になり、あまり使われなかった。 DOS 2.5 - DOS 2.0S との互換性を保ったバージョンで、DOS 3.0 より後にリリースされた。拡張密度のフロッピーディスクの読み書きができる。 DOS 4.0 - 1450XLD向けだがキャンセルされた。 DOS XE - XF551 というFDD向けに設計された。 サードパーティからも代替DOSがリリースされた。SpartaDOS X などは非常に進んだ機能を備えていた。
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