スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーとの対比
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 03:25 UTC 版)
「スクールカウンセラー」の記事における「スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーとの対比」の解説
スクールカウンセラーおよびスクールアドバイザーと、スクールソーシャルワーカーとの事例対応の対比について、近年増加傾向にある「児童・生徒への虐待が疑われる」旨の架空事例を例に、下記に双方の主な担当職務内容をまとめ、その同異を示す。ただし、それぞれの項目例はあくまでも概観であり、個別の事例により職務内容の実際は異なる。 教育現場において、教職員らにより「衣服・身体の不衛生さ」「傷・あざなどの不自然な外傷」「給食など食事への執着」「授業・学校行事に家庭が準備する物の不備」「家庭連絡・帰宅を極端に拒否する訴え」「周囲の大人への極端な甘え方」「情緒面・行動面の不安定さ」「問題行動増加・非行傾向」「遅刻欠席増加・不登校傾向」などに当てはまる問題が認められたある児童・生徒について、学校長や教頭などの管理職教員から、スクールカウンセラー、スクールアドバイザー、スクールソーシャルワーカーに専門的介入の依頼が行われた場合 スクールカウンセラー/スクールアドバイザーとスクールソーシャルワーカーの違いスクールカウンセラー(SC)/スクールアドバイザー(SA)※スクールアドバイザーは原則的に「教職員への主な対応」のみ担当【公認心理師/臨床心理士/精神科医/大学教員】スクールソーシャルワーカー(SSW)【社会福祉士/精神保健福祉士ほか】児童・生徒本人への主な対応家庭環境のヒアリング臨床心理学/精神医学的分析・考察(心理面、発達面など)心理カウンセリング(虐待(疑い)、二次的問題など) 家庭環境のヒアリング社会福祉的判断(生活面、経済面など)※心理カウンセリングなどは専門外 保護者への主な対応養育状況のヒアリング心理カウンセリング(育児ストレス、家庭問題など)心理コンサルテーション(養育への臨床心理学/精神医学的助言) 養育状況のヒアリング福祉生活相談(経済状況、就労状況など)自立支援相談(社会保障、生活保護など) 教職員への主な対応心理コンサルテーション(事例への臨床心理学/精神医学的助言) ケース会議の導入外部機関からの情報のシェアリング 外部機関に関連した主な対応教育委員会との連携児童相談所との連携専門医療機関の受診促進 教育委員会との連携・仲介児童相談所との連携・仲介専門社会資源(医療を含む)との連携・仲介 SC、SA、SSW なお、上記のような虐待が疑われる事例に接した際は、教職員、スクールカウンセラー、スクールアドバイザー、スクールソーシャルワーカーなどを全て含め、いかなる者であろうとも、「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」第6条「児童虐待に係る通告」第1項に基づき、速やかに福祉事務所もしくは児童相談所に通告しなければならない。ただし、同法における「児童」の定義は『18歳に満たない者』であるため、明らかに18歳以上の者の被害が疑われる場合は、傷害事件などとして通常どおり警察への通報を行う。 また、教職員を始めとした教育機関の関係者は、児童虐待を発見しやすい立場にある一方、法的に守秘義務を負っているため、通常は職務上知り得た秘密を漏らしてはならないが、同第3項には『守秘義務に関する法律の規定は、第1項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない』との明記があり、児童虐待の通告は、守秘義務違反の罪には問われない。さらに、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」第23条「第三者提供の制限」第1項第3号には『児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき』を除くとの明記があり、個人情報保護法違反の罪にも問われない。また、上述の「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」第7条に基づき、通告をした者が特定されることはない。
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