スイテ82形とは? わかりやすく解説

大井川鉄道スイテ82形客車

(スイテ82形 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/03 08:15 UTC 版)

西武501系電車 > 大井川鉄道スイテ82形客車
大井川鉄道スイテ82形客車
スイテ82形客車 新金谷駅にて
主要諸元
軌間 1,067 mm
車両定員 30人
車両重量 29.7 t
全長 20,000 mm
車体長 19,500 mm
全幅 2,855 mm
全高 3,880 mm
制動装置 自動空気ブレーキ
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大井川鉄道スイテ82形客車(おおいがわてつどうスイテ82がたきゃくしゃ)は、大井川鐵道が所有する開放式展望車

本項では、同社が保有するお座敷客車であるナロ80形客車についても記述する。

スイテ82形

1978年昭和53年)に西武鉄道から譲り受けたサハ1515が種車である。1982年(昭和57年)に新金谷車両区で改造工事を受け、同年9月24日付で設計が認可された。同10月10日付でナハ82形ナハ82 1)として竣工し、同月14日に運用を開始した。なお、翌1983年(昭和58年)1月に形式がスイテ82形に改められたため、車号もスイテ82 1に改番された。側面窓は種車と同様の2段窓である。また、種車の構体の関係から、窓配置は全面的に変更されておらず、後位側において元の客用扉を埋めた部分は単独で窓が配置されている。

外部塗色は旧型客車に合わせたぶどう色2号で、窓下には一等車を示す白い帯が入っている。これらは、マイテ49形など、国鉄に在籍した展望車と同様のイメージにしたものである。

車内はソファーを向い合せに並べており、かつては床に絨毯を敷いた際に土足禁止としていたが現在は土足での乗車が可能のよう。車端部のデッキには下足入れとスリッパが用意されていたと思われる棚もある。

座席はデッキ寄り、前の10席のみは孤立しており、座席横にあるレバーを強く引くと進行方向、逆方向、窓側、通路側、窓側斜め45度、通路側斜め45度と自由に変えることができる。なお、一番デッキに近い2席のみは、向きが通路側に固定されている。しかし、残りの後方の座席は2人掛けの固定座席で、向きは変えられない。

また、後部のもともと客用扉があった部分は4人用個室が設置されている。これらの車内レイアウトも、国鉄に在籍した展望車を範としたものである。なお、冷房は装備されていない。

テレビ朝日で放映された鉄道捜査官シリーズ第7話『大井川SL急行、密室展望車の殺意!』では車内で撮影された場面があり、豪華な内装を確認することができる。

形式の「82」は、1982年(昭和57年)に登場したことに由来するとされている。

近年は運用を外れ検査切れになっていたが、令和7年6月末までに大代側線で解体された。

ナロ80形

新金谷駅に留置されるナロ80 2と1。
(2001年1月26日)

1980年(昭和55年)に1両目が登場し、1985年(昭和60年)に2両目が増備された。1両目は西武鉄道のサハ1516を種車として、1979年(昭和54年)から1980年(昭和55年)にかけて新金谷車両区で改造工事を受けたものである。1980年(昭和55年)1月28日[1]ナハ80形ナハ80 1)として竣工し、運用を開始した。なお、1982年(昭和57年)12月17日付で形式がナロ80形に改められたため、車号もナロ80 1に改番された。2両目は、1977年(昭和52年)3月に西武鉄道から譲り受けた312系の中間車サハ1426(旧西武サハ1426)を種車として、1985年(昭和60年)に新金谷車両区で改造工事を受け、同年12月[2]ナロ80 2として竣工し、運用を開始した。

上記のようにそれぞれの種車の形式が異なるため、ナロ80 1とスイテ82 1のベンチレーター(通風器)はガーランド形であるのに対し、ナロ80 2の通風器はグローブ形となっている。

スイテ82形と同様、側面窓は2段窓である。本形式も窓配置は全面的に変更されておらず、元の客用扉を埋めた部分が単独で窓が配置されており、片側にデッキを新設している。デッキの反対側の車端部にはサービスカウンターが設置されている。

ナロ80 1は竣工当初、外部塗色が旧型客車に合わせたぶどう色2号一色のみであったが、前述の改番により、二等車を示す青色の帯が窓下に入れられた。対してナロ80 2は、竣工当初から青帯が入っている。

車内は片側に通路を寄せて、通路以外は敷きとなっている。冷房は装備されておらず、窓下に平型の扇風機が装備されている。

形式の「80」は、1980年(昭和55年)に登場したことに由来するとされている。

近年は運用を外れ検査切れになっていたが、令和7年6月末までに大代側線で解体された。

運用

いずれの車両も定期運用はなく、イベント列車や車両単位での貸切で「かわね路号」に連結される。

その他

  • 両形式は西武501系の唯一の現役車両である。
  • 車内には提灯が吊るされているが、これは竣工当初にはなく、後から付けられたものである。そのため電源が車両本体とは別系統で引き回されており、点灯させる際には業務用の発電機を編成中に搭載している。
  • 2025年令和7年)現在はナロ80形、スイテ82形ともに運用離脱中。 

脚注

  1. ^ 15日付という説もある。
  2. ^ 書類上は1986年(昭和61年)1月25日付で竣工。

参考文献

  • 交友社『鉄道ファン』1983年1月号
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表 全国版 81年版』
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表 全国版 83年版』
  • 保育社『私鉄の車両14 大井川鉄道』
  • 川根路号写友会『大井川鉄道 蒸気機関車運転10周年記念 写真集 川根路の煙』
  • 交通新聞社『私鉄車両編成表 86年版』
  • JTBパブリッシング『ローカル私鉄車輌20年 東日本編』

関連項目

他社の西武501系譲渡車

他社の西武サハ(クハ)1411形譲渡車

外部リンク


スイテ82形

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 15:14 UTC 版)

大井川鉄道スイテ82形客車」の記事における「スイテ82形」の解説

1978年昭和53年)に西武鉄道から譲り受けたサハ1515が種車である。1982年昭和57年)に新金谷車両区改造工事を受け、同年10月10日付でナハ82 1として竣工し同月14日運用開始した。しかし、翌1983年昭和58年1月スイテ82 1に改番された。なお、側面窓は種車同様の2段窓である。また、種車構体の関係から、窓配置全面的に変更されておらず、後位側において元の客用扉を埋めた部分単独で窓が配置されている。 外部塗色旧型客車合わせたぶどう色2号で、窓下には一等車を示す白い帯が入っている。これらは、マイテ49形など、国鉄在籍した展望車同様のイメージしたものである。 車内ソファー向い合せ並べており、かつては床に絨毯敷いた際に土足禁止としていたが現在は土足での乗車が可能のよう。車端部デッキには下足入れスリッパ用意されていたと思われるもある。 座席デッキ寄り、前の10席のみは孤立しており、座席横にあるレバー強く引くと進行方向、逆方向窓側通路側窓側斜め45度通路側斜め45度自由に変えることができる。なお、一番デッキに近い2席のみは、向き通路側固定されている。しかし、残り後方座席2人掛け固定座席で、向き変えられないまた、後部のもともと客用扉があった部分は4人用個室設置されている。これらの車内レイアウトも、国鉄在籍した展望車を範としたものである。なお、冷房装備されていないテレビ朝日放映され鉄道捜査官シリーズ第7話大井川SL急行密室展望車殺意!』では車内撮影され場面があり、豪華な内装確認することができる。 形式の「82」は、1982年昭和57年)に登場したことに由来するとされている。

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