ゴーンのレバノンへの密出国・逃亡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 06:03 UTC 版)
「日産自動車の役員報酬に係る不正」の記事における「ゴーンのレバノンへの密出国・逃亡」の解説
レバノンの治安当局者によると、ゴーンはプライベートジェットを用いてトルコのアタテュルク国際空港を経由し、機材を乗り換えレバノンの首都ベイルートにあるベイルート国際空港に日本時間の2019年12月31日午前6時30分過ぎに到着したという。 レバノンの複数のメディアは「クリスマスディナーの音楽隊を装った民間警備会社のグループが、ゴーンの滞在先に入って楽器のケースに隠して連れ出した」「レバノンに到着して大統領と面会した」などと報じている。インデペンデント・アラビーヤによると、本事件は「軍事関連会社」が実行し、「2,000万ドル(約22億円)以上の費用がかかった」と報じられており、ウォールストリート・ジャーナルによると、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)出身の男性ら2人の協力で、「音響機器運搬用の黒い箱」の中に隠れたと報じられている。 日本の出入国在留管理庁のデータベースには出国の記録が無い。レバノンのジュレイサティ国務大臣は、トルコから同国への入国時にはフランスのパスポートとレバノンの身分証明書を所持し入国したとしており、同国政府関係者によると本名名義のフランスの旅券を用いていたという。国土交通省大阪航空局関西空港事務所は、29日夜に関西国際空港を発ってイスタンブールに向かったプライベートジェットが1機あることを確認している。 プライベートジェットの場合には、保安検査(航空機内に積み込む荷物の検査)の「法的な義務」はなく、機長が実施の必要性を判断しており、「X線検査」の有無についても状況によって異なっている。関西国際空港関係者は、「ケースが大きくて照射装置に入りにくかったため、X線検査を行わなかった」と証言している。そのため、ゴーンが大きな箱のようなケースに入った状態で、X線による検査を受けないままプライベートジェットの機内に積み込まれ、正規の出国手続きを受けずに離陸した可能性が浮上している。 日本の裁判所はゴーンを保釈する際に、「海外渡航の禁止」という条件を付しているが、ゴーンはこれに違反したことになった。 2019年12月31日、ゴーン本人は、この事件について、「私はレバノンにいる」という内容の声明を発表し、「もはや私は有罪が前提とされ、差別がまん延し、基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質ではない」「私は正義から逃げたわけではない。不公正と政治的迫害から逃れたのだ」と述べている。 本人の初公判は2020年4月21日に開かれる方向で調整が進められていたが、刑事訴訟法に基づくと今回の場合では、本人が日本に帰国しなければ公判は開くことができない規定になっている。日本はレバノンと犯罪人引き渡し条約を締結しておらず、同国の了解を得られなければゴーンの身柄が日本へ引き渡されることはない。帰国が実現しなければ事件の審理に大きな影響を及ぼすことが懸念される。 東京地方検察庁は、2019年12月31日、東京地方裁判所にゴーン被告の保釈取り消しを請求した。同日夜、東京地方裁判所は保釈を取り消す決定をすると同時に保釈金15億円も没取された。これはかつて過去最高額の没取だった、許永中(イトマン事件)の6億円を超え、過去最高の没取額とみられる。 2020年1月2日、日本政府は、国際刑事警察機構(ICPO)に対し、レバノン政府にゴーンの身柄を拘束するように要請することを求めた。レバノン国営通信社NNAは、「ICPOからの赤手配書をレバノンの検察当局が受領した」という内容の報道を行っている。 2020年1月8日、レバノンで記者会見を開き、自身の追放に西川廣人元社長、川口均元副社長、豊田正和元経済産業審議官らが関わったと主張した。2021年3月に改めて川口均がクーデター説を否定した。
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