コアジサシとは? わかりやすく解説

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コアジサシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/03 00:43 UTC 版)

コアジサシ
コアジサシ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: チドリ目 Charadriiformes
: カモメ科 Laridae
: コアジサシ属 Sternula
: コアジサシ S. albifrons
学名
Sternula albifrons Pallas, 1764[2]
和名
コアジサシ
英名
Little Tern
亜種
  • S. a. albifrons
  • S. a. antillarum
  • S. a. athalassos
  • S. a. browni
  • S. a. sinensis コアジサシ[3]

コアジサシ(小鯵刺、学名Sternula albifrons)は、チドリ目カモメ科に分類される渡り鳥。属名の Sternula は小さいアジサシ(Sterna)の意味。

形態

全長は24 cm[4]ツグミヒヨドリと同じくらいでアジサシよりも小さい。翼開長は約53 cm[4]と尾羽がツバメのように細く尖っていて、もまっすぐ伸びる。

夏羽では頭は黒く、額、のど、腹が白、他の体の部分は薄い灰色で、嘴は黄色、脚は橙色。冬羽では嘴と脚が黒くなり、額の白い部分が拡がる。

分布

ユーラシア大陸の中緯度地域で繁殖し、ヨーロッパアフリカからオーストラリアにかけての沿岸部で越冬する。カリブ海沿岸域、ハワイ諸島本州(主に秋田県)以南にも分布している。

分類

本種は以前はアジサシ属(Sterna)とされていたが、ミトコンドリアDNA研究により[5]コアジサシ属(Sternula)に分類されることになった。2024年時点で主要なチェックリストはすべてSternula としている。[6][7][8][9]

本種の亜種は4亜種、または5亜種で主要チェックリスト間で統一されていない。日本で見られるコアジサシは、Sternula albifrons sinensis (Gmelin, 1789) である。

生態

海岸や川などの水辺に生息。狙いをつけて水にダイビングして魚をとらえる様子から、といった魚類にちなんで鯵刺(あじさし)の名前がつけられたと思われ、鮎鷹(あゆたか)、鮎刺(あゆさし)の異称もある[10]。短時間ながら停空飛行をする。

繁殖前にはオスがメスへ獲物をプレゼントする「求愛給餌」がみられる。巣は川原砂浜埋立地などに集団繁殖地(コロニー)を作って外敵の侵入に備える。地面にくぼみを作って2、3個の卵を産む。卵とは斑模様で、石ころと区別がつきにくくなっている。

種の保全状況評価

国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]

日本では繁殖地となる場所の減少に伴い数が減っている。2001年に屋上で営巣が確認された森ヶ崎水再生センター東京都大田区昭和島)ではNPO法人が東京都下水道局などと協議して、草むらでは営巣しないコアジサシの習性に合わせた除草、天敵カラスノネコアライグマハクビシン)対策などを実施している[11]環境省により鳥類レッドリストで絶滅危惧II類(VU)の指定を受けている[12]。また、以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている(統一カテゴリ[13][3]


絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

日本の以下の自治体の指定保護となっている鳥。括弧表記はかつて存在していた自治体。

人間との関係

2013年頃から、関西国際空港中部国際空港誘導路周辺にコアジサシが巣を作るようになり、空港に発着する航空機へのバードストライクが急増した。このことから国土交通省によるバードストライクに関する検討委員会は、コアジサシをバードストライクを招きかねない「問題鳥種」の一つとしている[14]

脚注

  1. ^ a b Sterna albifrons in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2.” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2012年5月3日閲覧。
  2. ^ Sterna albifrons (Pallas, 1764)” (英語). ITIS. 2012年5月3日閲覧。
  3. ^ a b コアジサシ”. 日本のレッドデータ検索システム. エンビジョン環境保全事務局. 2018年8月11日閲覧。
  4. ^ a b ひと目でわかる野鳥 (2010)、212頁
  5. ^ Eli S. Bridge, Andrew W. Jones, Allan J. Baker, A phylogenetic framework for the terns (Sternini) inferred from mtDNA sequences: implications for taxonomy and plumage evolution, Molecular Phylogenetics and Evolution, Volume 35, Issue 2, 2005, Pages 459-469, ISSN 1055-7903, https://doi.org/10.1016/j.ympev.2004.12.010.
  6. ^ Gill F, D Donsker & P Rasmussen (Eds). 2024. IOC World Bird List (v14.2). doi : 10.14344/IOC.ML.14.1.
  7. ^ Clements, J. F., P. C. Rasmussen, T. S. Schulenberg, M. J. Iliff, T. A. Fredericks, J. A. Gerbracht, D. Lepage, A. Spencer, S. M. Billerman, B. L. Sullivan, M. Smith, and C. L. Wood. 2024. The eBird/Clements checklist of Birds of the World: v2024. Downloaded from https://www.birds.cornell.edu/clementschecklist/download/
  8. ^ del Hoyo, J., Collar, N.J., Christie, D.A., Elliott, A. and Fishpool, L.D.C. 2014. HBW and BirdLife International Illustrated Checklist of the Birds of the World. Volume 1: Non-passerines
  9. ^ The Howard and Moore complete checklist of the birds of the world, 4th. ed.
  10. ^ あゆ‐たか【鮎鷹】精選版 日本国語大辞典』/コトバンク(2023年1月1日閲覧)
  11. ^ 【いきもの語り】コアジサシ保全へ試行錯誤大田・昭和島下水処理場屋上で繁殖、NPOアシスト産経新聞』朝刊2022年12月18日(東京面)2023年1月1日閲覧
  12. ^ 環境省レッドリスト2018の公表について』(プレスリリース)環境省、2018年5月22日https://www.env.go.jp/press/105504.html2018年8月11日閲覧 
  13. ^ カテゴリと生物名称”. 日本のレッドデータ検索システム. エンビジョン環境保全事務局. 2018年8月11日閲覧。
  14. ^ 航空機バードストライク “最も危険な鳥のひとつ”国内で急増”. NHK (2025年7月14日). 2025年7月17日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク





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