インターネット時代と、同人のネット進出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/24 08:16 UTC 版)
「同人ゲーム」の記事における「インターネット時代と、同人のネット進出」の解説
1990年代半ばになると、パーソナルコンピューターを取り巻く環境は激変する。それまでマニアやホビーユーザー、あるいは一部の事業所向けだったパーソナルコンピューターが他の家電に近い扱いになって行き、一般層にも急激に普及を始めたのである。パーソナルコンピューターブームとセットになる形でインターネットもブームになり、マニアの中でさえ十分に普及していなかったネットワーク環境が当たり前のものになって行く。 ネット市場拡大に伴い、ソフトウェア代金の送金システムの構築も始まる。1991年5月のNifty-Serveシェアウェア送金代行サービス開始で一定の改善はされていたが、当時の最大手ネットとはいえNifty-Serve非加入のユーザーも多く、形が現れたのは同人系で1996年7月のソフトアイランド(のちのDLsite.com。2001年1月25日に名称変更)運営開始、シェアウェア系で1998年3月のベクター・シェアレジサービス開始時である(ただし、サイト開設・ソフトウェアダウンロードサービス開始自体は1995年12月のベクターのほうが先)。 また、回線に流せる容量に関してもモデムの速度上昇と共に、1995年8月22日には夜間限定とはいえ定額接続サービスのテレホーダイが開始され、時間さえ掛ければ大容量のデータもダウンロードできる環境になる。さらに、2001年頃には一般向けの常時接続・ブロードバンドネットサービスが開始し、実メディアに比べても遜色の無いデータ量を流せる環境になる。 そして、ネットワークがインターネットに一元化されたことにより、「転載」文化はWebのリンクに置き換えられる形でほぼ消滅。結果、オンラインソフト文化を特徴付けていた要素=同人及び市販ソフトのネットワーク進出の障壁…の大半は消失してしまい、必然的にそれらの大規模なネット進出が始まることになる。 こうなると、特にネット上に元々あったシェアウェアとネット上の同人ソフトは、歴史的経緯は違えど実質同形式であり、この時期に増えた新規ユーザーにはまず区別が付かない状態になってしまう。 結果、意図しない混同・意図的な主張の両面から、「非企業系のオンラインソフトは同人の一種」「商業以外は全て同人」と言う見解が台頭してくることになる。 同時期に雑誌投稿ゲームが雑誌そのものの休刊、あるいはオンラインソフト収録に置き換わる形で無くなって行き(マイコンBASICマガジンは2003年まで粘ったものの、末期には新規読者はほとんど獲得できなかった)、投稿ゲームの存在を知らない一般ユーザーの方が多い状態になってきたのも、定義の「単純化」を後押しする形になった。 さらにはオンラインゲームの普及も無関係ではない。というのも、普及前にはオンラインソフトのゲーム全般が「オンラインゲーム」と呼ばれていた時期がある(スタンドアロンのゲームである『ロードモナーク オンライン』の名称等に名残が見られる)が、後に「(企業系か否かを問わない)オンラインソフトのゲーム」は統一名称を失い、「商業対同人」の構図が取って代わりやすい状態になったのである。 だが、旧来のネットワーカーにとっては、時に協力者・時にライバルであった対等な立場のはずの「同人」の傘下に置かれるような分類は到底。逆に、「同人ゲームはシェアウェアの一種」と言われるのと同じくらいに受け入れ難いものである。しかしこの反発が、(「同人=二次創作エロ」のような)同人への偏見・矮小化と混同される等して逆に同人側の反発を生み、さらに複雑な感情問題になることもある。
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