アセタミプリドとは? わかりやすく解説

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アセタミプリド

別名:ACE
英語:acetamiprid

ネオニコチノイド系殺虫剤一種昆虫体内ニコチン性アセチルコリン受容体結合し神経の興奮持続的に引き起こして死に至らしめるといわれている。日本では1995年農薬として登録され日本曹達から「モスピラン」の商品名販売されている。

アセタミプリドはヒト対す急性毒性持ち自殺目的誤飲による死亡例知られているが、神経毒性変異原性発がん性などの慢性毒性知られておらず、ミツバチマルハナバチなどの益虫対す毒性少ないとされてきた。しかし、アセタミプリドは他のネオニコチノイド系殺虫剤同様に、「蜂群崩壊症候群」と呼ばれる原因不明ミツバチ個体数減少関係しているとする研究報告がある。

欧州連合EU)は2013年2月に、ネオニコチノイド系殺虫剤一部使用禁止としたが、アセタミプリドはその中に含まれていなかった。欧州食品安全機関EFSA)は2013年12月に、アセタミプリドが人間発達中の神経系統、特に脳に悪影響を及ぼす危険があると勧告するとともにEUに対してアセタミプリドの一日摂取許容量ADI)および急性参照用量ARfD)の基準値引き下げることを提案した

関連サイト
Scientific Opinion on the developmental neurotoxicity potential of acetamiprid and imidacloprid - EFSA Journal

アセタミプリド【acetamiprid】

読み方:あせたみぷりど

ネオニコチドノイド系殺虫剤日本では平成7年199511月農薬として登録され野菜果実広く使われているが、稲(米)への使用禁止されている。

[補説] 平成20年20089月発覚した販売会社による事故米転売問題では、基準値をこえるアセタミプリドが検出されベトナムうるち米食用偽装していたことが明らかになった。


アセタミプリド

分子式C10H11ClN4
慣用名 アセタミプリド、Acetamiprid、モスピラン、N1-Methyl-N1-(6-chloro-3-pyridinylmethyl)-N2-cyanoacetamidine、Mospilan、N1-[(6-Chloro-3-pyridyl)methyl]-N2-cyano-N1-methylacetamidine、N-[(6-Chloro-3-pyridyl)methyl]-N-methyl-1-(cyanoimino)ethanamine、N-Methyl-N-[1-(cyanoimino)ethyl]-6-chloropyridine-3-methanamine、N1-[(2-Chloro-5-pyridyl)methyl]-N1-methyl-N2-cyanoacetamidine、(E)-N1-[(2-クロロ-5-ピリジル)メチル]-N2-シアノ-N1-メチルアセトアミジン、N1-[(6-Chloro-3-pyridyl)methyl]-N1-methyl-N2-cyanoacetamidine
体系名: N1-メチル-N1-(6-クロロ-3-ピリジニルメチル)-N2-シアノアセトアミジン、N1-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-N2-シアノ-N1-メチルアセトアミジン、N-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-N-メチル-1-(シアノイミノ)エタンアミン、N-メチル-N-[1-(シアノイミノ)エチル]-6-クロロピリジン-3-メタンアミン、N1-[(2-クロロ-5-ピリジル)メチル]-N1-メチル-N2-シアノアセトアミジン、N1-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-N1-メチル-N2-シアノアセトアミジン


アセタミプリド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/02 04:36 UTC 版)

アセタミプリド
識別情報
CAS登録番号 135410-20-7 
PubChem 213021
ChemSpider 184719 
UNII 5HL5N372P0 
KEGG C18507 
MeSH acetamiprid
ChEBI
ChEMBL CHEMBL265941 
特性
化学式 C10H11ClN4
モル質量 222.67 g mol−1
外観 白色の粉末
密度 1.17 g/cm3
融点

98.9 °C, 372 K, 210 °F

危険性
引火点 166.9 °C (332.4 °F; 440.0 K)
薬理学
法的状況 Poison (S6)(AU)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アセタミプリド: Acetamiprid)は、日本曹達が開発したネオニコチノイド殺虫剤であり、昆虫神経のシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、神経の興奮とシナプス伝達の遮断を引き起こすことで殺虫活性を示す[1]

商品名は「モスピラン」で、液剤・粒剤・水溶剤・エアゾル剤・複合肥料として、各農薬メーカーで製造されている。

植物体への浸透移行性と残効性が高いため、葉を巻いて中に隠れてしまうような害虫(アブラムシや毛虫の一部など)や果実の中に潜むシンクイガなどの幼虫に対しても効果が高い[1]。また、広く使われている有機リン系殺虫剤とは作用機序が異なるため、有機リン系殺虫剤に薬剤抵抗性のある害虫にも効果が期待できる。ミツバチ、マルハナバチに対する影響が少ないことが報告されている[1]

毒性

アセタミプリドは、ヒトへの発癌性物質である可能性が低いとして分類されている。哺乳類には低い急性慢性毒性発癌性変異原性および神経毒の影響を及ぼす。哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、両生類に対する亜致死作用が報告されている[2][3]

使用

アセタミプリドは、殺虫剤での殺虫活性成分として使用されている。

作用機序

昆虫の神経のシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、神経の興奮とシナプス伝達の遮断を引き起こすことにより、殺虫活性を示す[4]

規制

日本では、水和剤と顆粒水和剤が、毒物及び劇物取締法第14条の『医薬用外劇物』として、流通と販売が規制されている。購入には、印章と毒物・劇物譲受書の提出、18歳未満の者や薬物中毒者への販売禁止、販売店には5年間の書類保管が義務付けられている。

欧州連合加盟国では、アセタミプリドの適用が承認されている。許可された日用量は、体重1キログラム当たり0.07ミリグラムである。欧州食品安全機関は、2013年12月に神経系への影響に与えるとして、一日上限用量は0.025 mg / kgにするように示唆された。

スイスでは、エンドウ豆ネギナシチェリーレタスに基準値0.5mg/ kgで0.1 mg / kgの許容値がある。ジャガイモタマネギプラムプルーンでは0.05 mg/kg

事件

2008年に発覚した事故米不正転売事件において、アセタミプリドが一日摂取許容量以上に残留した事故米穀が、食用として転売され流通していたことが判明した。

脚注

  1. ^ a b c 高橋英光, 高草伸生, 鈴木順次, 岸本孝「殺虫剤アセタミプリドの開発」『日本農薬学会誌 (Journal of Pesticide Science)』第23巻第2号、日本農薬学会、1998年、193-200頁、doi:10.1584/jpestics.23.193ISSN 1348-589XNAID 130004263358 
  2. ^ [https://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2019/11/WIA2_summary.pdf 「浸透性殺虫剤に関する世界的な統合評価書(WIA)更新版 日本語版要旨」 (PDF) アクト・ビヨンド・トラスト
  3. ^ Chiara Giorio, Anton Safer, Francisco Sánchez-Bayo, Andrea Tapparo, Andrea Lentola, Vincenzo Girolami, Maarten Bijleveld van Lexmond & Jean-Marc Bonmatin (2017). “An update of the Worldwide Integrated Assessment (WIA) on systemic insecticides. Part 1: new molecules, metabolism, fate, and transport”. Environmental Science and Pollution Research (Worldwide Integrated Assessment of the Impact of Systemic Pesticides on Biodiversity and Ecosystems). doi:10.1007/s11356-017-0394-3. https://doi.org/10.1007/s11356-017-0394-3. 
  4. ^ 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料 アセタミプリド” (PDF). 環境省. 2018年2月17日閲覧。

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