【古代編】
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 09:17 UTC 版)
甕智彦(ミカチヒコ) 声 - 子安武人 七地家始祖。古代東出雲の王で意宇郷(おうのさと)の首長・沙支戈(さしほこ)の第9王子。母親が生口(奴隷)の出なため、父や家臣から目をかけられずに育つ。世情を見渡す裁量ある王子でありながら政権争いに興味を持たず鍛冶師の道を選んだ。 西出雲へは己貴不在の折、兄・八十比古(やそひこ)の差金で父王の命により大和へ献上する神剣を鍛えるために訪れた。それが体の良い厄介払いだと分かっていたため、殺される覚悟で来た西出雲だったが、真名志が神がかりする姿を見て、彼のための神剣を鍛えることを決意する。また、真名志も甕智彦の持つ気持ちの柔らかさに安らぎを見い出し心の支えとしている。 死の数ヶ月前に自身に妻子がいると判明。西出雲に来る前に乳母の娘で幼馴染みのヒナに縋られ、一夜の妻とした際に子が生まれていて、子は東出雲で養子に出された。 作中にて甕智彦が己貴に手渡す「生太刀/生大刀(いくたち)」のモデルは日本神話にて素盞鳴命から大国主命(おおくにぬしのみこと)が「生弓矢(いくゆみや)」「天詔琴(あまののりこと)」などと一緒に貰い受けた呪具の一つである。 真名志(マナシ) 声 - 保志総一朗 布椎家始祖。西出雲の巫覡。西出雲・須佐郷の首長を義理の父に持つ。実父は西出雲の王・出雲振根(いずものふるね)。神婚神事の際に神がかりした王が、首長の妻を巫女として指名し交わったことにより真名志が生まれた。複雑な生まれゆえ義父に虐げられていたため、かなり屈折した性格に育ったが、甕智彦に出会ってからは、彼だけに心を開き信頼を置いている。また、彼の神剣を抜いて以来、巫覡としての能力も開花させることができ、西出雲の筆頭巫覡の座を得た。天性のものか、巫覡でありながら武術にも秀でているため、人々の畏怖の対象になっている。布椎家の直系が49歳までしか生きられないのは、真名志が甕智彦の死を遅らせるために神と契約したせいである。 卑弥呼の再来と言われる巫覡になってからは、義父からの仕打ちもなくなったが、手のひらを返したように自分を敬う人々のことをどうしても受け入れることができず憎んでいる。 己貴(ナムチ) 古代東出雲の王で意宇郷の首長・沙支戈の嫡子で甕智彦の異母兄。正室の唯一人の王子であるため、義理の兄弟たちから度々命を狙われる。だが、父王亡き後は、反逆者として義理の母と長兄を追放し王位につく。兄弟を多く持つ身ではあるが、弟として信頼しているのは甕智彦だけであり、互いに堅く信頼し合っている。 美丈夫で頭脳明晰。英雄たる風格に相応しく、大勢の妾を持ち恋多き男性。正妻には美貌の名高い須佐の蛇神・須勢理姫を娶ったが、嫉妬深い女神のため他の女性に手を出せなくなり苦労している。 「ナムチ」とは日本神話で言うところの「大国主神」のことである。大国主の呼び名には「偉大な国の王」との意味があり、この他にも「八千の矛を持つ=多数の武力を持つ」という意味で「八千矛(やちほこ)」など多くの別名を持つ。 素盞嗚(スサノオ) 声 - 真殿光昭 西出雲の王。元の名は加茂呂。十二郷の一つ・神門郷の首長。後に西出雲の王と認められ「素盞鳴」になった。 軍人としての才能に恵まれた西出雲の英雄。有能な者は身分に関係なく取り立てるなど、人の上に立つ才覚も持ち合わせていたが、政治的な手腕は今一つ振わず。王という慣れないポジションに登りつめたために自分を見失ってしまう。そのため、思うように采配がふるえず、結局は悲運の道を辿ることになった。彼亡き後、同じ顔を持つ双子の兄弟が「素盞鳴」に成り変わろうと狙っている。 日本神話での素盞鳴(須佐之男命)は伊邪那岐命の子で、天照大御神、月詠命の弟にあたる。「スサ」は「進む」「荒ぶる」の意だとも「須佐の地名」から来ているとも言われている。 少名彦那(スクナビコナ) 声 - 浅川悠 元の名はスクナ。頭脳明晰なため、生口の出だったが素盞鳴に下戸(一般市民)の地位を与えられ、従者となった。甕智彦と出会った後、東出雲と西出雲を統合するように働くため己貴の配下につく。 須勢理姫(スセリヒメ) 須佐の神「タタラ石姫」の御子で、美貌に名高い蛇神。己貴に恋われて妻となる。好き嫌いが激しく真名志にしか降りない。 市麻呂(イチマロ) 声 - 長嶝高士 素盞嗚の一番の従者で大人(貴族)の出身。文官を務めている。 五離火(イリヒ) 西出雲・須佐郷の首長で真名志の義理の父。妻と出雲振根が神事の前から通じていたと考えており、真名志のことが憎くて仕方がなかったが、巫覡としての才覚を露にした後では一目置くようになった。 事代主(コトシロヌシ) 須佐郷の筆頭巫覡であった真名志の師匠であり育て親。年老いたため真名志に筆頭の座を譲った。 ニニギ王 大和朝廷の王。己貴の美貌の妻・須勢理姫を一目見ようと覗く。女に目が無い。
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