『方法』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/20 09:30 UTC 版)
「アルキメデス・パリンプセスト」の記事における「『方法』」の解説
詳細は「方法_(アルキメデスの著書)」を参照 上記の著作の中で最も注目すべきは『方法』であり、このパリンプセストに唯一写しが残されている。 アルキメデスは、他の著作の中で、古代ギリシアで現代の極限の方法に相当するエウドクソスの取り尽くし法を用いて、2つの面積や体積が同等であることを証明している。ギリシア人はいくつかの数は無理数であることを認識していたため、実数の概念は上界と下界を提供する2つの数列により近似された量Qであった。常にQより大きいUと常にQより小さいLを見つけ、この2つの数列が最終的に任意の事前に指定した量よりも接近した場合、QはUとLにより見つかった、もしくは「取り尽くされた」ことになる。 アルキメデスは自身の定理を証明するために取り尽くし法を用いた。これは面積を計算したい図形を既知の面積の部分に近似して、その図形の面積の上限と下限を与えるというものであった。そして、細分化が任意に細かくなると、2つの境界が等しくなることを証明した。これらの証明は現在でも厳密で正しいとされているが、稀な輝きを持つ幾何学を用いていた。後の作家たちは、アルキメデスがそもそもどのようにしてこの結果にたどり着いたのかを説明していないことについて、しばしば批判していた。この説明は『方法』に含まれていた。 アルキメデスが説明した方法は、自身の物理学、質量中心とてこの原理の研究に基づいていた。アルキメデスは、総質量と質量中心が分かっている図形の面積や体積と、何も分かっていない別の図形の面積や体積を比較した。彼は、平面図形を後の不可分の方法のように無限に多い線からできているものとみなし、1つの図形の線(もしくは部分)と、もう1つの図形の対応する部分をてこで平衡をとっていた。ここで重要なのは2つの図形の向きが異なるため、対応する部分が支点から異なる距離にあるというであり、部分が平衡であるという条件は図形が等しいという条件とは異なるということである。 1つの図形の各部分が他の図形の各部分と平衡であることを示すと、2つの図形は互いに平衡であると結論付けられる。しかし、1つの図形の質量中心は分かっているため、その中心に総質量を置くことができ、そうしても平衡を保つことができる。2つ目の図形の質量は分からないが、その質量中心の位置は対称性により、幾何学的議論による支点から一定の距離にあるように制限されるかもしれない。2つの図形が平衡をとるという条件は、もう1つの図形の総質量を計算することを可能にした。彼はこの方法を有用なヒューリスティクスと考えていたが、この方法は上下限を提供していなかったため、見つけた結果を必ず取り尽くし法を用いて証明するようにしていた。 アルキメデスはこの方法を用いて、現在積分法(17世紀にアイザック・ニュートンとゴットフリート・ライプニッツにより現在の形式が与えられた)で処理されているいくつかの問題を解くことができた。これらの問題の中には、固体半球の重心、円形放物面の錐台の重心、放物線と割線の1つにより囲まれた領域の面積を計算する問題が含まれていた。 アルキメデスは定理を厳密に証明するために、今日リーマン和と呼ばれるものをよく使っていた[疑問点 – ノート]。『球と円柱について』の中で、球を幅の等しい断面に切断することにより、球の表面積の上限と下限を与えている。その後、内接した円錐と外接した円錐の面積による各断面の面積を境界とし、対応するより大きい、もしくはより小さい面積があることを証明した。彼は、回転体の面として考えられる球の面積に対するリーマン和の一種である円錐の面積を追加した。 しかし、アルキメデスの方法と19世紀の方法の台には2つの本質的な違いがある。 アルキメデスは微分について知らなかったため、対称性により質量中心を考慮した積分以外の積分を計算することができなかった。直線性の概念は持っていたが、同時に2つの図形の平衡をとらなければならなかった。変数を変えたり部分的に積分する方法は発見しなかった。 近似和を計算するとき、和が厳密な上下限を提供するというさらなる制約を課した。これは、ギリシア人には近似の誤差項が小さいことを証明するための代数的手法がなかったため、必要とされた。 『方法』でのみ解決された問題は、円筒形のくさびの体積の計算であり、その結果はケプラーのStereometriaの定理XVII(schema XIX)として再登場している。 『方法』のいくつかのページはこのパリンプセストの作成者により使われなかったため、現在でも失われたままである。これらの間で発表された結果は、2つの円柱の交点の体積に関するもので、この図形はアポストルとMnatsakanianによりn = 4 Archimedean globe(その半分はn = 4 Archimedean dome)と新たに命名され、この体積はn多角形のピラミッドと関係している。
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