『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙での新刊紹介
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「タイガー・マザー」の記事における「『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙での新刊紹介」の解説
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙(以下、WSJ)の2011年1月8日号に「なぜチャイニーズ・マザーの方がまさっているか」(“Why Chinese Mothers Are Superior”)という記事が掲載され、物議をかもした。多くの読者たちは、書名に含まれている皮肉と自虐的ユーモアに気付かず、著者が特定の、非常に厳格な、民族的に限定された子育て法の”優越性”を提唱・弁護しているのだと信じたのである。 WSJの記事には、本書より、エイミー・チュアが伝統的な中国式スパルタ教育を自分の子供たちに施そうと努力する様子が書かれた部分が引用された。 チュアは、自分が”チャイニーズ・マザー”や”チャイニーズ・ペアレント”(中国系の親)という表現を使う際には広義的に、伝統的な厳しい躾を行う他民族の親も含めている(中国風の親)とし、”ウェスタン・マザー”や”ウェスタン・ペアレント”(西洋系・西洋風の親)にもさまざまな種類がいるということと、全ての中国系の親が厳しい躾をするわけではないということを認めた上で、以下のような統計を紹介している:4。 50人のウェスタン・マザーと48人のチャイニーズ・マザーを対象としたある調査において、「学業的成功を強調するのは子供にとって良くない」または「学ぶことは楽しいことだという観念を育てるようにすべき」と答えたのが前者の70%だったのに対し、後者ではほぼ0%であり、その代わりに「自分の子供は”最も優れた”生徒になれる」「学業成績は育児の成功次第」「仮に、子供が学校でずば抜けた成績を残せなかったら、それは親がきちんと務めを果たしていないから」と答えた者が大部分だったという。 別の調査では、「チャイニーズ・ペアレントはウェスタン・ペアレントの約10倍の時間、自分の子供たちに勉強させる」「ウェスタンの子供たちはチャーニーズの子供たちに比べ、スポーツに参加する傾向が強い」などという結果が出たという。 その他、本書によれば、ステレオタイプと言われようが、両者の明確な違いを示す調査は枚挙にいとまがないとされる。 物議をかもした例として、長女ソフィアの態度が悪かった際に「ゴミ」と呼んだことが挙げられる。これはエイミー自身が子供の頃に度々父親から福建語で「ゴミ」と呼ばれたことに倣っている。このことをパーティーの席でウェスタン・マザーたちに話したところ、1人の親は泣き出して退席してしまい、他の親たちはエイミーを矯正しようとしたという。 また、次女”ルル”が、難しいとされるピアノ曲『The Little White Donkey』(仏:Le petit âne blanc、ジャック・イベール作曲『物語』第2曲)を練習していた時のエピソードも物議を醸した。当時7歳のルルが1週間練習しても上達せず、暴れたり楽譜を破るなどして駄々をこねたので、エイミーはルルのドールハウスを車に引きずって行き、「明日までに完全にマスターしなかったら、1つずつ救世軍に寄付するわよ!」と脅した。ルルが「救世軍に行くんじゃなかったの?なぜ、まだここにいるの?」と言うと、エイミーはさらに、「昼食抜き」「夕食抜き」「クリスマスやハヌカーのプレゼントもなし」「誕生日パーティーも向こう2年...3年...4年なし」と脅した。それでもルルが間違いを繰り返すと、「できないのを怖れてわざと駄々をこねているのだろう」と責め、「怠慢で卑怯で自分勝手で哀れなマネはやめなさい」と命じた。それを見かねた夫ジェッドが「ルルにはまだ早いんじゃないか」と止めようとするが、エイミーは「ソフィアが同じ歳の時にできたことがルルにできないはずがない」という信念により、夕食の時間を過ぎて夜になっても続行した。立つことも、水を飲むことも、トイレに行くことも許さずに続けさせた結果、ルルはついに曲をマスターした。すると、ルルは嬉しそうに「ママ、見て! これ、簡単よ」と何度も何度も演奏し、ピアノの側を離れようとしなかった。そして、演奏会でも、他の親たちに「ルルちゃんにピッタリの曲」と褒められたという:62。 エイミー・チュアは、「ウェスタン・ペアレントは子供の自尊心について非常に心配する。しかし、子供の自尊心にとって最悪なのは、諦めさせることだ」と本書に記している。
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