《承知しました》の敬語
「承知しました」の敬語表現
「承知」は、「事情などを知ること・知っていること」「依頼・要求などを聞き入れること・承諾すること」「 相手の事情などを理解して許すこと」を表す言葉です。そして、「承知」の「承」には、「受ける」や「引き受ける」、「知」には、「知る」や「認める」などの意味がありますが、「承る」は「わかる」「聞く」の謙譲語にあたるため、へり下った表現になります。「承知しました」は「わかりました」をより丁寧に言い換えた敬語になります。たとえば、目上の人や尊敬する相手に対して「承知しました」を使うことは可能ですが、より敬意を表したいのであれば「承知いたしました」を用いるといいです。「承知しました」の敬語の最上級の表現
「承知しました」より敬意を表す言い方になる「承知いたしました」は、「承知」に謙譲語の「いたす」と丁寧語の「ました(ますの過去形)」から成る言葉です。「いたしました」と謙譲語にすることで、「しました」のへり下った言い方になるので、「承知いたしました」が「承知しました」の敬語の最上級の表現になるでしょう。また、同等の敬語に「かしこまりました」も挙げられます。「承知しました」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスシーンでは、相手に理解したことを伝えるとき、「わかりました」「了解しました」ではなく、「承知しました」「承知いたしました」を使うのが一般的です。とくに、ビジネスメール・手紙では、相手に不快感を与えないように、丁寧な表現で伝えることが要求されます。相手を立てて丁寧な印象を与える「承知しました」「承知いたしました」は、取引先や顧客に対しても使える言葉なので、ビジネスメール・手紙に使って問題ありません。「承知しました」「承知いたしました」は、依頼を受けたあとに話を理解したという旨を相手に伝えることができます。例文「打ち合わせの日程変更につきまして、承知いたしました。」「来週月曜日までの発注書送信の件、承知しました。」では、仕事の依頼を受けたあとに、理解したことを相手に伝える言葉として、用いられています。そして、取引先からのリクエストに対する返答の例文として、「承知いたしました。来週末までに見積書を送付いたします。」が挙げられます。いずれも、「わかりました」に「引き受けます」といった表現が加わった敬語として使うことができます。
また、「承知しました」「承知いたしました」の代わりに、「かしこまりました」をビジネスメール・手紙の返信に使用してもいいです。この言葉にも、相手の要望を理解した上で指示に沿った対応をする、といったニュアンスを伝えることができます。例文として、「納品日の変更につきまして、かしこまりました。」「かしこまりました。担当者に申し伝えます。」「かしこまりました。午前中に資料の準備すすめておきます。」などが挙げられます。
「承知しました」を上司に伝える際の敬語表現
職場の上司から仕事について指示されたあと、「承知しました」「承知いたしました」と伝えることで、その依頼や要求などを理解した上で聞き入れるという、意思も示すことができます。ただ、「承知いたしました」については、より敬意を示せる表現になりますが、固苦しい印象のある表現になります。そのため、取引先の相手や顧客など社外の人に用いることが多く、直近の上司など、社内の目上の人に用いるのあれば、相手に対して敬意を示せる「承知しました」でも十分です。また、「かしこまりました」についても、「承知しました」を上司に伝える際の敬語表現として使うことができます。ただ、相手への敬意を強く示せる言葉ではありますが、顧客へのサービスや取引先相手への返答でよく使われる表現になります。そのため、上司の話を理解したといった意味合いで用いるのであれば「承知しました」、上司からの依頼や命令などを承る意味合いで用いるであれば「かしこまりました」と、状況に合わせて使い分けるといいです。
「承知しました」の敬語での誤用表現・注意事項
「承知しました」には、似た意味を示せる敬語がいくつかあります。たとえば、「了承しました」「了解しました」は丁寧語に当たり、「事情を理解した上で、受け入れること」を伝えられます。ただ、「それでかまわないですよ」というフランクなニュアンスになり、目上の人に対して使う場面では、不適切な表現になってしまいます。そのため、ビジネスシーンでは、上司や取引相手などに対して使わないように注意が必要です。また、「しました」の代わりに謙譲表現の「いたしました(いたす)」を続けた「了承いたしました」「了解いたしました」であっても、目上の人に対して用いるのであれば、使う場面によっては適切でない敬語になる恐れがあります。一方、「承知いたしました」は、親しい人や同僚に対して使用することのない敬語表現になります。そのため、理解して引き受けることを伝えたいのであれば、「承知しました」「了承しました」「了解しました」などが適切です。
「承知しました」の敬語での言い換え表現
「承知しました」の敬語での言い換え表現に、「かしこまりました」が挙げられます。ビジネスシーンでは、取引先や顧客、上司などからの依頼や指示に対して理解することを示せます。「かしこまりました」の「畏まる(かしこまる)」には、「命令や依頼などを恐れながら承る」というニュアンスがあります。そのため、「承知しました」よりも敬意を表せる「承知いたしました」に近い表現として用いるといいです。そのほかに、「目上の方からの指示や要望をつつしんで受ける」という意味がある「承りました」を挙げることができます。「承知しました」「承知いたしました」と同じく、目上の人からの指示や取引先からの依頼などを引き受ける際の返事に用いるといいです。
《承知しました》の敬語
「承知致しました」の敬語表現
そもそも「承知致しました」自体が敬語表現の一種ではあります。「承知しました」を謙譲語にしたのが「承知致しました」だといえるからです。また、「ました」という語尾も丁寧語であり、敬語に該当します。「承知致しました」は「言われたことを理解した」という意味の中では、かなり丁寧な表現のひとつです。ただし、あまりにも丁寧すぎて相手に堅苦しい印象を与えかねません。状況によっては「分かりました」「了解致しました」くらいの言い回しでも許されはするでしょう。さらに、「かしこまりました」「承りました」なども「承知致しました」とほとんど同じ意味です。ちなみに、「承知致しました、私にお任せくださいませ」と、一言付けたすと「言われたことをしっかりやり遂げる」という意思表示にもなります。ビジネスシーンにおいて、上司や取引先への返事には適した言い回しです。「承知致しました」の敬語での誤用表現・注意事項
よくある間違いとしては、「承知です」「承知しております」といった表現です。「承知です」は日本語として間違っているわけではないものの、「(私が)物事を理解した」という意味を伝えるには不適切です。さらに、「承知しております」という言い方だと、「(相手の言っていることは)言われる前から理解していた」というニュアンスになりかねません。敬意を含んだ表現とはいえないので、目上の人に使うのは避けましょう。「心から承知致しました」「たいへん承知しました」という言い方も、基本的にはしません。「承知」とは「物事を知っている」という意味であり、「心から」や「たいへん」で程度を表せる言葉ではないからです。あえて強調するのであれば、「重々承知致しました」「充分承知致しました」などの言い回しがあります。「承知致しました」の敬語での言い換え表現
・かしこまりました・承りました・お受け致しました次に、ややフランクな言い方にはなるものの、意味はほとんど変わらない敬語表現です。・了解致しました・理解致しました・分かりました● 承知致しました」の強調表現● ・充分承知致しました・重々承知致しましたただし、これらの強調表現には「(ネガティブな事情を)存分に理解はしてます」という意味合いが含まれます。例文を作るとすれば、「私が戦力になっていないのは充分承知しております。それでも、プロジェクトに加えていただけないでしょうか」 「お叱りの内容は重々承知致しました。しかし、お役に立てるかどうかは分かりません」- 《承知しました》の敬語のページへのリンク