《承知いたしました》の敬語
「承知いたしました」の敬語表現
「承知いたしました」は、「承知」と「いたす」という2つの言葉でできています。「承知」は、知っていること・旨をうけて知ること・聞き入れること・承諾などを指します。また、(とがめず)許す・見逃すという意味も持っている言葉です。このような意味を持つ「承知」を動詞化した「承知する」という言葉にして、謙譲語である「いたす」を結びつけた上で、さらにへりくだった表現にすると「承知いたしました」になります。そのため、それ自体で敬語表現としての謙譲語にあたります。「承知いたしました」の敬語の最上級の表現
「承知いたしました」はそれ自体が敬語表現にあたるだけでなく、敬語の最上級表現といえます。より丁寧な敬語表現を望むのであれば「かしこまりました」を使うとよいでしょう。「かしこまりました」には、敬意を表し慎むというニュアンスが含まれるからです。「承知いたしました」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「承知いたしました」をビジネスメールや手紙で使う場合、そのシチュエーションを考慮する必要があります。相談事や連絡に「承知いたしました」と返答した場合、相手が伝えたい旨を「理解した」という意味になります。例えば「今月に予定した定例会は、今週末の6月10日に急遽変更となりました」。その返事に「定例会の日時変更の件、承知いたしました」と書くと、「6月10日に定例会が変更」になったことを理解したということを示します。なお、ビジネスメールでは伝達ミスや内容の間違いを防ぐことが大切です。そのため「それでは今週末の6月10日によろしくお願いいたします」などと、メールや手紙の文末に、理解した内容を重ねておくようにしましょう。このように書くことで「承知いたしました」とした内容を正確に捉えていることが示せます。
ほかに例文を挙げるなら「明日15時の予約ですね。承知いたしました」「承知いたしました。20日に2名様でご予約ですね」のように使うとよいでしょう。「理解できない」「納得できない」場合には、「日程変更は承知いたしかねます」のように用います。
要望や希望が書かれた文面への返事に「承知いたしました」と返事すると「要望や希望を引き受けた」ことを示すので注意してください。例えば「来週末までに資料作成をお願いします」というビジネスメールに対して、「資料作成の件、承知いたしました」と返事すると、来週末までに資料作成すると引き受けたことを示します。ビジネスメールは正確に意味が伝わるように書かなければなりません。もし、相手の希望が叶えられないのであれば「承知いたしました」とメールや手紙で使わないようにしましょう。
例文としては「来月の会議の進行方法の提案について、承知いたしました」「承知いたしました。週明けに見積書を提出いたします」が挙げられます。要望や希望が引き受けられない内容ならば、「ご依頼いただきました件は、承知いたしかねます」と返事を書くとよいでしょう。
「承知いたしました」を上司に伝える際の敬語表現
「承知いたしました」はそのまま上司や目上の人に仕える敬語表現です。ただし、受け取り手の立場によっては、言葉が大げさに感じてしまうかもしれません。そのため、身近な立場にある上司や目上の方には、「いたしました」ではなく「しました」とするとよいでしょう。「承知しました」は敬語表現のなかでも丁寧語にあたります。相手との間柄を考えて謙譲語と丁寧語を使い分けるようにしましょう。「承知いたしました」の敬語での誤用表現・注意事項
「承知」は一見すると「聞く」「わかる」の謙譲語にあたる「承る」を含んでいるかのように見えます。そこに「いたす」という謙譲語が加わることは、二重敬語になるのではないかと考える人が少なくありません。しかし、「承知」という言葉は、「承る」という言葉と厳密には違うため、敬語表現ではありません。そのため「承知いたしました」は二重敬語には当てはまりません。なお、敬語表現でない承知に「お」や「ご」をつけて「ご承知いたしました」などとするのは誤用です。注意しましょう。「承知いたしました」の敬語での言い換え表現
「承知いたしました」の代表的な言い換え表現は「承りました」「かしこまりました」「了解いたしました」が挙げられます。「承りました」は「承る」という謙譲語をさらに丁寧にした表現です。ビジネスメールや上司あるいは目上の方への返答として用いられる言葉で、「要望を聞き入れた」「責任を持って対処する」といったニュアンスを含みます。同じようなニュアンスとして、「了承いたしました」「承諾いたしました」が用いられることもあります。「かしこまりました」は主に目上の人に対しての返事で使う謙譲語です。「承知いたしました」よりもさらにへりくだった表現です。「つつしんで目上の人の言葉を承る」と意味になります。主に、目上の人などからの依頼や命令に対しての返答として用いられます。しかし、「承知いたしました」よりもかしこまったイメージが強い言葉なので、目上の人であっても、身近な上司などにはあまり使わない表現です。
「了解いたしました」は「承知いたしました」に意味合いが近い言葉です。「理解した」ことを示す「了解」に、謙譲語である「いたす」が結びついた敬語表現です。ただし、一般的には目上の人には使うべきでない言葉とされているので注意しましょう。同等もしくは親しい間柄の人に向けた敬語表現として使うのであれば、何ら問題はありません。
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