《把握しておいてください》の敬語
「把握しておいてください」の敬語表現
前提として、「把握しておいてください」も敬語表現の一種ではあります。ただし、「ください」という言い回しに強制力を感じる人もいるでしょう。より丁寧な言い回しでは「把握していただけますか」「把握していただけないでしょうか」などが挙げられます。「把握しておいてください」の敬語の最上級の表現
「把握しておいてください」の敬語の最上級は「ご検討をお願い申し上げます」「ご承認賜りますようお願い申し上げます」などの形です。「把握」という言葉は「しっかりと物事を理解する」という意味なので、目上の人に使うと相手の無知を指摘するようなニュアンスになりかねません。より丁寧な表現にするのであれば、「把握」という言葉を別のものに置き換える必要があります。そのうえで、「お願い申し上げます」と丁寧な懇願の言葉をつなげれば、最上級の敬語として成立するでしょう。「把握しておいてください」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
何らかの情報を「把握してほしい」と伝えることは、ビジネスシーンでは頻繁に起こります。以下、ビジネスメールや手紙における「把握しておいてください」の敬語の例文です。「ざっくりとでいいので、このパンフレットを把握していただけますか。明日の会議で説明してほしいので」
「取り急ぎ、先方に提出する見積書を共有します。すぐに把握していただけないでしょうか」
「私は打ち合わせに出席することができません。代わりに出席して、事情を把握していただけますか。後で報告してください」
「先方の怒っているポイントを把握していただけないでしょうか。今のままでは何も手が打てません」
「以上、私からの提案になります。ご検討をお願い申し上げます」
「データに基づき、企画書を作成いたしました。前回よりも多くの点で改善したと自負しております。ご承認賜りますようお願い申し上げます」
「お客様のご要望を踏まえ、インテリアを多少変えております。こちらのデザイン案でご検討をお願い申し上げます」
「みなさまのアドバイスをもとに、チームでプレゼンテーションの資料を作成いたしました。部長からもご承認賜りますようお願い申し上げます」
「把握しておいてください」を上司に伝える際の敬語表現
上司に「把握しておいてください」という旨を伝えるときは、「ご検討をお願い申し上げます」「ご承認賜りますようお願い申し上げます」などの、敬語の最上級を用いるのがマナーです。上司相手に「把握」という言葉を使うのは、立場が上からの文章になりかねません。近しい上司に対しても、「把握」という言葉を避けるのが無難です。最上級の敬語を堅苦しく感じる場合には、「お目通し願います」というフレーズが定型化しています。「把握しておいてください」の敬語での誤用表現・注意事項
「把握しておいてください」という意味の言葉を発するときには、「ご把握」という形にしないよう要注意です。もちろん、「ご理解ください」「ご承認ください」のように、単語に「ご」をつけて敬語表現にすることは少なくありません。ただし、「把握」は「ご」をつけられない単語です。「ご把握ください」「ご把握いただけますか」などは日本語の誤用になるので避けましょう。次に、「把握をお願い申し上げます」「どうぞ把握賜りますようお願い申し上げます」などの丁寧な文章であったとしても、目上の人に「把握」を使うのは厳禁です。なぜなら、目上の人に「全体像を理解すること」をお願いする行為そのものが失礼だからです。目上の人が物事を把握するのは当然ですし、そもそも下の立場から手間のかかる行為をお願いしてはなりません。「把握」という言葉を使っていいのは主語が自分の場合か、同等の相手だけに限ります。
ただ、「ご検討賜りますようお願い申し上げます」のように丁寧な文章へと直したとしても、相手に面倒なことをお願いしている状況は変わりません。少しでも強制的なニュアンスをやわらげるには、クッション言葉も使ってみましょう。「お手数ですが」「申し訳ございませんが」「お忙しいとは存じますが」などの前置きがあると、文章から一方的な雰囲気が弱まります。言われた側が不快に思わなくなり、お願いをしやすくなります。そのかわり、クッション言葉は多用すると文章全体が冗長になるので注意しましょう。
「把握しておいてください」の敬語での言い換え表現
「把握しておいてください」の言い換えには「ご了承ください」があります。「ください」を使う敬語表現としては、「把握しておいてください」よりも頻繁に使われてきました。「ご了承ください」はビジネスシーンにおける定型文のひとつであり、何らかの情報を相手に伝えたいときに投げかけます。定型文なので「ください」と言われても強制力を感じる人は少ないといえるでしょう。念のため、「ご了承ください」を丁寧な表現にしたいのであれば、「お含みおきください」という言い換えもできます。「お含みおきください」とは、「頭の片隅に入れておいてください」という意味です。「把握」「了承」よりも相手の手間が少なく、遠慮している表現だといえます。日常的に使うフレーズではないので特別感があり、目上の人にも使えるでしょう。そのほかの「把握しておいてください」の丁寧な言い換えには「ご承知おきください」もあります。
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