内視鏡 内視鏡の概要

内視鏡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/08/28 09:56 UTC 版)

本体に光学系を内蔵し、先端を体内に挿入することによって内部の映像を手元で見ることができる。細長い形状をしている一般的なものの他、カプセル型のものもある。また、観察以外に、ある程度の手術や標本採取ができる性能をもつものもある。

同様の製品は医療分野にとどまらず、直接に観察しにくい構造物の内部の観察用に学術・産業あるいは災害時の被災者発見などに用いられている。ただし一般に「内視鏡」というと医療用のものを意味し、ここでは医療用に限って説明する。

直視型のファイバースコープ
Endoscopy room.jpg

歴史

起源

内視鏡の歴史は、古代に遡ることができる。しかし、現代において見られる内視鏡の原型となった機器は、19世紀に登場する。

創世時は「硬性鏡」であり、1805年に、ドイツのフィリップ・ボッチーニが「Lichtleiter(英語Light Conductor:導光器)」を開発し、直腸尿道口腔内等の観察を行った記録を最初として、1853年フランスのアントワーヌ・ジャン・デソルモが「endoscope(内視鏡)」を開発し、膀胱や尿道の観察を行った。その後1868年に、ドイツフライブルク大学内科学教授のアドルフ・クスマウルが「Magenspiegelung(胃鏡)」で、剣を呑む芸をする大道芸人を対象としてではあるが、世界で初めて生体のの観察を行った。

1932年に、ドイツルドルフ・シンドラーによって「Gastroskopie」が開発され、これは初めての「軟性鏡」と言われているが、現在の「軟性鏡」と異なり、多くの鏡を用いた光学系を利用したもので、照明は先端部の豆電球によって行われた。胃の観察が行われ「Lehrbuch und Atlas der Gastroskopie」という本を出版し、欧米では「胃カメラの父」とも称されている。

開発

1950年10月28日に東京大学医学部附属病院分院の副手だった宇治達郎とオリンパス光学工業(現・オリンパス)の杉浦睦夫、深海正治が、きわめて小さなカメラ本体及び光源(超小型電球)を軟性管の先端に取り付けた「ガストロカメラGT-I」を完成させた。同年に3人を発明者として「腹腔内臓器撮影用写真機(ガストロカメラ)」の名で特許が出願され、1954年発明協会から創立50周年記念全国表彰として朝日新聞発明賞を、1990年に吉川英治文化賞を受賞している。この開発の経緯は、1980年吉村昭読売新聞の朝刊に小説「光る壁画」として連載しており、1981年新潮社より出版された。現在でも上部消化管内視鏡を総称して俗に「胃カメラ」と呼ぶことがある。

だが、宇治は父親が開業する医院を継ぐために大学を去り研究を中断、その後の研究は宇治から研究を引き継いだ東大病院分院の城所仂と今井光之助や、宇治の研究に着目した同じく東大病院本院の田坂定孝と崎田隆夫達により胃カメラの「改良・普及」が行われ、オリンパスからは深海と中坪寿雄がこれに協力した。田坂は1959年に日本胃カメラ学会(現在の日本消化器内視鏡学会)を発足し、今日の「内視鏡医療」の基礎を開拓した。内視鏡の開発において最大の貢献者は宇治か田坂か?これは今でも議論になる。しかし当人達(いずれも故人)は個人的にお互いを尊敬しあっており、このような偉大な開発は「複数の医師の努力の結晶」と考えるべきであろう。

1960年代になると、光ファイバーを利用したファイバースコープが開発され(ハーショヴィッツ他)、医師の目で直接胃の内部を観察することができるようになった。胃ファイバースコープにはカメラが取り付けられるようになり、客観的な検査結果として他の医師にも供覧できるようになった。

1970年代にはスチルカメラ付きファイバースコープが広く用いられるようになった。電子機器の発達に伴い、スチルカメラにビデオカメラを取り付けた機種や、CCDセンサを取り付けた電子内視鏡(ビデオスコープ)が登場し現在多くの病院で使用されている内視鏡の原型が誕生となった。ビデオ装置を用いると、複数の医師やコメディカルスタッフが同時に病変を確認することができ、診断と治療に大いに役立った。

発展

その後は、超音波センサを取り付けた超音波内視鏡が登場したり、センシング技術の向上だけでなく、軟性管部の改良(口径の縮小、材質の改善)、内視鏡的処置を行うためのサブルーメン(チャネルと呼ぶ)の追加など、内視鏡を直接治療目的で応用するための改良も行われた。

また、画像精度・画質は映像機器の発達と共に大きく発展し、ハイビジョン撮影や、拡大内視鏡による拡大観察が可能となってきた。また、内視鏡の細径化も進んでいき、経鼻内視鏡等も登場してきた。

2000年代になると、イスラエルのギブン・イメージングや、日本のオリンパスがカプセル型の内視鏡の開発を進めた。2007年4月、日本においてもカプセル内視鏡を用いた画像診断システムが承認・実用化された。

分類

一般に以下に大別される。直接接眼レンズをのぞいて、あるいはビデオカメラを接続してモニターに映して観察する。光源は体外の制御装置側にあり、光ファイバーで光を導いて先端部から照射するものが一般的である。LED照明を内視鏡先端に内蔵したタイプも実用化されつつある。

硬性鏡
筒の両端にレンズがついたシンプルな構造のもの。膀胱鏡胸腔鏡腹腔鏡などがある。
軟性鏡(ファイバースコープ、電子内視鏡)
柔軟な素材を用いたもの。光ファイバーを用いたものと、CCDを用いたものとがある。多くの内視鏡は光学系とは別の経路(チャネル)を持っており、局所の洗滌・気体や液体の注入・薬剤散布・吸引・専用デバイスによる処置などが可能である。チャネル数・送気の有無については気管支鏡上部消化管内視鏡小腸内視鏡大腸内視鏡によって異なる。また手元の操作で先端の向きを上下左右に変えられるものが多い。気管支鏡は上下アングルのみで送気はできない。
カプセル型
カプセル内視鏡と呼ばれ、デジタルカメラと光源、モーターを内蔵した小型カプセル型のもの。患者が飲み込んだ内視鏡が消化器官を撮影し、画像を体外に送信して体外のモニターに映すもの。



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