バブル崩壊 展開

バブル崩壊

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1990年代・失われた10年

1990年3月27日、土地バブル潰しのため大蔵省より「土地関連融資の抑制について」いわゆる総量規制が通達され、日銀も引き締めに動き、これがバブル崩壊の引き金となったとされる[10][11]

日経平均株価については、1989年(平成元年)12月29日の大納会に、終値の最高値38,915円87銭をつけたのをピークに翌1990年(平成2年)1月から暴落に転じ、湾岸戦争原油価格高騰や公定歩合の急激な引き上げが起こった、1990年(平成2年)10月1日には一時20,000円割れと、わずか9か月あまりの間に半値近い水準にまで暴落した。1993年(平成5年)末には、日本の株式価値総額は、1989年末の株価の59%にまで減少した[12]

景気については、景気動向指数(CI)をみると、1990年10月をピークに低下傾向となり、1993年12月まで低下した。地価は、1991年夏ごろ(東京、大阪の大都市圏では1990年秋ごろから、地方圏では1992年、公示価格ではさらに1年遅れの1993年ごろ)に[13]、路線価も1992年初頭をピークに下落していった。

1992年春、エコノミストの高尾義一は「日経公社債情報」で「このままでは戦後最大の不況となる」と悲観的な経済見通しを公表、この見通しがきっかけで株価が急落した(高尾ショック)[14]。1992年8月、東証に上場されていた株式の時価総額は1989年末の611兆円から269兆円と半分以下となっていた[15]

本格的に全国の地価は1992年に入ってから下落し始め、1993年には全国商業地平均で前年比10%以上の値下がりを記録した[16]

金融行政においては護送船団方式が焦点となった[17]。1991年以降2003年度までで181行の銀行が倒産し、1992-2002年度まで預金保険機構が救済金融機関に援助した資金の総額は25兆円となった[18]

日本経済は1990年代初頭にバブル崩壊を経験して以来、低いながらも名目経済成長は続いていた。村山内閣で内定していた消費税の税率3%から5%への増税を第2次橋本内閣が1997年4月に断行。消費税にはビルト・イン・スタビライザーの機能は備わっておらず、増税による景気悪化が懸念されていた[注釈 1]。1997年当時アメリカ合衆国財務副長官であったローレンス・サマーズは、第2次橋本内閣が予定どおり3%から5%への消費増税を断行すれば日本経済は再び不況にみまわれるだろうと日本国政府に対して繰り返し警告していた[19]

翌年の1998年度には名目GDPは前年度比約マイナス2%の502兆円まで約10兆円縮小し、GDPデフレーターはマイナス0.5%に落ち込み[20]、完全失業率は4.1%に達し、これ以降日本は本格的なデフレーションへ突入し、「失われた10年」を経験することになる。1999年度には、1997年度と比べ所得税法人税の合計額が6兆5000億円もの減収となり[21]、失業者数は300万人を超えた。さらに1997年には日本銀行法が改正され、内閣が日本銀行総裁の解任権を失うことになった。

日本の名目GDPなどの動向 1994-1999[22]
年度 名目GDP
(兆円)
名目経済成長率
(%)
失業者数
(万人)
労働力人口
(万人)
失業率
(%)
1994 486.5263 1.19 192 6645 2.88
1995 493.2717 1.38 210 6666 3.15
1996 502.6089 1.89 225 6711 3.35
1997 512.2489 1.91 230 6787 3.38
1998 502.9728 -1.81 279 6793 4.10
1999 495.2269 -1.54 317 6779 4.67

金融システム危機

金融行政においては護送船団方式が焦点となった[17]

以下は破綻した銀行・証券の例である[23][24][25][26][注釈 2]

これらを含めて1991年以降2003年度までで181行の銀行が倒産し、1992-2002年度まで預金保険機構が救済金融機関に援助した資金の総額は25兆円となった[18]

2000年代・失われた20年

聖域なき構造改革

小泉政権下で銀行の不良債権処理が完了し、大企業は業績が改善した。処理成長率は2%前後で維持し続け、日経平均株価も上昇した。しかし、日経平均株価は20,000円を超えることはなく、2007年7月9日の18,261円98銭が最高であった。これは、1990年代の平均よりも低い値である。GDPデフレーターに関しても、1990年に100%を切りデフレへと陥って以降、そこから回復できなかった[27]

世界金融危機

2008年には、北アメリカサブプライムローン問題をきっかけとする世界金融危機 (2007年-2010年)により、景気が急激に悪化した。2008年9月のリーマン・ショック以降は世界経済が冷え込み、皮肉にも小泉改革の負の側面が一気に噴出して国内総生産(GDP)がマイナス成長となった。

2009年以降3年間の民主党政権の時期は、事業仕分け (行政刷新会議)による1兆円弱の財政の精査や、介護ビジネスの規制緩和、米国の量的金融緩和政策に伴うドル安などで、ドルベースの国内総生産で成長率5%を回復する期間もあった。リーマン・ショックや2010年欧州ソブリン危機により、ドルやユーロの価値が急落したため、円の価値が相対的に上がり、円ドルレートは1ドル100円を切る円高に推移した。

2010年代・失われた30年

世界同時不況へ陥る前後の2006年から2010年ごろには「失われた15年」という表現が登場した[28][29][30]

2009年に『失われた〈20年〉』(朝日新聞「変転経済」取材班、岩波書店)が出版される[31][32]。2009年当時、第一生命経済研究所の熊野英生は「バブル崩壊後の90年代を『失われた10年』と呼ぶが、2000年以降の約10年がもうひとつの『失われた10年』になってしまっている」と、日本経済の先行きに警鐘を鳴らしていた[33]。その3年後の2012年3月に、一橋大学経済研究所深尾京司による『「失われた20年」と日本経済』が日本経済新聞社から刊行されている。日本経済新聞のフェロー芹川洋一は、2018年の自著で「『失われた10年』は結局、20年になってしまった。小泉政権のころはまだ10年だった。その原因はなにか。バブル経済不良債権の処理が遅れていたためだ。」と述べ[34]官製不況であるとして批判している。

2010年代に入るとさらに「失われた30年」が予測されるようになった[2]日本経済団体連合会シンクタンク「21世紀政策研究所」は2012年4月、「『失われた20年』の状況がこのまま続いた場合、日本は2050年ごろに、先進国でなくなる」とする予測結果をまとめた[35]

2010年には世帯所得が1987年(昭和62年)並に低下した[36]帝国データバンクによると、2010年の日本全体の企業の売上高は2000年に比べて3.9%減少しており、減少額は13兆8482億円となっている[37]。2011年には、東北地方太平洋沖地震東日本大震災)とそれによる福島第一原子力発電所事故米国債ショックなどが起こり、経済に少なからず影響を与え、一時的に急激な株安・円高となった。

貿易収支では貿易赤字が慢性化し、かつての輸出大国の影はないのが実情である[38]

加えて、世界における日本の通貨すなわち円 (通貨)の立ち位置も変わり、2015年8月の通貨別決済シェアでは人民元が2.79%と、日本円の2.76%を逆転し、ドルユーロポンド (通貨)に次ぐ「第4の国際通貨」の座を奪われた[39]。これにより2015年、中国の人民元は第3の主要通貨として国際通貨基金(IMF)に承認され、日本円はこれを下回る第4位となった。

財務省 (日本)は2015年8月、国債や借入金、国庫短期証券を合わせた「国の借金」の残高が、同年3月末時点で1053兆3572億円に達したと発表した。同2015年にはS&Pフィッチ・レーティングスなどの国際的な格付け会社が「日本国債の信用力の低下傾向を今後2~3年で好転させる可能性は低い」として国債の格下げを行った。当時の同ランクとしては中国やイスラエルマレーシアなどの国があった。

30年間の影響

  • 経済
    • 実質経済成長率が長期にわたり低迷している[40]。名目国内総生産(GDP)は1990-2020年の間で日本1.5倍増に対し米国3.5倍増、中国37倍増、ドイツ2.3倍増[41]
    • 一人あたりGDPは1995年には3位だったが、2010年代後半にはOECD平均~以下程度まで落ちた[42]。また2023年には名目国内総生産(GDP)についてもドイツに次ぐ4位に転落した。
    • 金利が低迷した。
  • 社会
    • 人口ボーナス期が終了して、人口オーナス期が始まった。
    • 遅くとも2015年までに高速道路網がほぼ完成する予定であったが、公共事業の削減により実現せず[49]
    • 一貫して低下していたエンゲル係数が2005(平成17)年から上昇に転じた。

注釈

  1. ^ 景気自動安定化の例として、法人税の場合は景気悪化で企業収益が悪化すれば自動的に税率が下がるために収める税額は減り、企業の負担は減る。
  2. ^ 1997年11月24日の山一証券破綻を最後に日本の金融危機が本格化した。

出典

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