クロスネット局 クロスネット局の概要

クロスネット局

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/06 14:56 UTC 版)

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テレビジョン放送については民放テレビ全国四波化の進展によってクロスネット局は減少してきているが、中波ラジオ放送 (AM) はそのほとんどがクロスネット局である[1]超短波放送 (FM) にはクロスネット局は存在しない。

テレビジョン放送

1960年代後半から関東・近畿・中京広域圏などを除く地方部でUHF波による民放の第2局が開局。これら民放第2局もしくは第3局で、クロスネットでの編成を行う放送局が増加し、1980年10月開局のテレビ信州まで続いた。

しかし1980年代に入ると、民放テレビ全国四波化により新局(それまでフルネット局が少なかったANN系列局が多い)が続々開局し、既存局でクロスネットを解消する局が続出した。ただし中継局の未整備・スポンサーの都合などにより、一部の人気番組については、新たに開局した系列局に番組を移行せず、従来の放送局で一定期間続けて放送する事例があった。

JNNは、排他協定の規則により、加盟局のクロスネットを禁止としているが、過去には一部のJNN加盟局で非報道系に限り他系列の番組供給組織に入る形での例外的なクロスネット局や、個別ネットの形で系列外番組の同時ネット枠を相当数設けた非正規クロスネット状態の番組編成(後述)とした局があった。

RKB毎日放送の例では、テレビ放送開始時は在福民放で最初のテレビ局であったことからラジオ東京テレビ(KRT)日本テレビ(NTV)NETテレビ学校放送の流れを汲む民間放送教育協会の放送は現在も継続)等特定のキー局に偏らない自由な番組編成(オープンネット状態)を組んでいた[注釈 1]。その後、在福局の増加やネットワークの整理[注釈 2]を進め、1969年昭和44年)に在福4局目である福岡放送(FBS)が開局してからは在福4局それぞれがJNN、NNNFNNANN系列のフルネット局となり、一連のネットワーク整理が完了した。その後1991年平成3年)にテレビ東京系列のTXN九州(現:TVQ九州放送)が開局した。

テレビ東京は1982年のTXN発足以降、クロスネットによる系列拡大の方針を取っていないが、TXN発足前は毎日放送 (MBS) と中京テレビ放送 (CTV) が東京12チャンネル(当時)とネットワーク関係を結んでいた時期がある。TXN系列局は大都市圏を中心に6局しか存在せず[注釈 3]、系列局が存在しない地域では番組販売扱いで同系列の番組が放送されている。特に東海と関西の独立局ではTXN系列の番組を大量に購入しており、ゴールデンタイムでは同系列局とほぼ同等の番組編成となっている(テレビ大阪と放送エリアが重複する京都放送サンテレビジョンは、TXN系列からは最小限の番組購入にとどまる一方、他の4系列から在阪局での編成から外れた番組を購入している)。

平成新局においてはクロスネット局が存在しないが、エリア3局目が平成新局として開局した場合、エリア内に存在しないTXN以外の系列外ネット局の番組を編成する場合がある[注釈 4][注釈 5]が、その本数は老舗局と比べて少ない。

この他、加入していない系列の番組を同時ネットする非正規のクロスネットも各地で見受けられた。特に、テレビ放送初期の1960年代までは大都市以外の地域では県域民放が1社しかないため、名目上はJNNまたはNNN系列単独でありながら、ネットワーク回線の都合から他系列とも同時ネットを含む混成編成を組む事実上のクロスネットが多数存在した。

また、番組編成の都合により、通常放送される番組ではなく、本来の系列番組が放送されるケースもあった[注釈 6]

具体例

福島テレビおよびテレビ山口の事例
一時期、JNNの報道番組を放送しつつ、FNSにも正式に加盟して一部の番組を同時ネット[注釈 7]あるいは遅れネットしていたことがあった。また、JNN加盟局にも拘らず、番販(産経新聞社配給)扱いで『FNNお茶の間ニュース』『FNN奥さまニュース』をネットしたこともあった。
福島テレビ(FTV)では、JNNからFNNに加盟した1983年4月1日から9月30日にかけて、テレビユー福島(TUF)開局まで視聴者保護対策として、報道番組以外はTBSとフジテレビのクロスネットでの編成を維持した。朝番組では、『FNNモーニングワイド ニュース&スポーツ』を午前7時で飛び降り、TBSの『朝のホットライン』に繋いでいた。
ただし、TUFの開局が予定より遅れた影響で、フジテレビ系列フルネット局になった10月から12月にかけても一部番組[注釈 8]に限り、遅れネットしていた[2]
テレビ山口では、1987年10月にJNNフルネット局となってからも一部のFNN系列番組の同時ネットを継続したが、2000年6月に消滅した。詳細はテレビ山口#フジテレビ番組放送枠見直しを参照。その後も山口県内にFNN系列局がないため、ゴールデンタイムおよび週末のローカルセールス枠や平日の深夜枠でのフジ系番組の時差ネット放送を積極的に行っている。
青森テレビの事例
過去、報道およびその他の番組ともANNとJNNのクロスネットでの編成がとられていた[注釈 9][3][4]。報道番組は、『JNNニュースコープ』など、JNNの全国ニュースも放送していた一方、報道以外の番組は、TBS系列の番組が中心であり、NET系については青森放送に相当数の番組が残っていた。
日本海テレビの事例
正式にANNには加盟していなかったが[注釈 10]、1972年9月22日から1989年9月30日まで、昼の『ANNニュース(→ANNニュースライナー)』も放送された。また、山陰地方での『モーニングショー』と平日正午枠(『アフタヌーンショー』から『欽どこTV!!』まで)は日本海テレビと山陰放送(TBS系列)の2局同時放送であった。1975年3月までは土曜朝の『八木治郎ショー』(毎日放送制作)も2局同時放送である。
1989年9月、日本海テレビはテレビ朝日系列の番組の大半を打ち切り、翌10月からは、テレビ朝日の番組が山陰放送・山陰中央テレビで放送された。尤もそれ以前から、テレビ朝日系の一部の番組は山陰放送・山陰中央テレビでも放送されていた。現在、クロスネットの福井放送よりもテレビ朝日系同時ネット率が高かった反面、当時ほぼ同じ人口規模の地方部では2局体制が主流であった時代(1970・80年代)においても3局体制であり、クロスネット局時代もNNNのニュース番組は全て放送されていたため、実質上NNNフルネット局扱いであった。

長時間にわたる特別番組の事例

24時間テレビ 「愛は地球を救う」』(日本テレビ系列)や『FNSの日』(テレビ大分を除くフジテレビ系列)など長時間にわたる特別番組については、放送開始から終了までの全て同時に放送されないことがあるだけでなく、時差放送されることもある。ここでは前者の番組について、参加するクロスネット局および他のネットワーク系列のフルネット局の事例を解説する(いずれも「参加局」として名を連ねており、実際に募金の受付などのチャリティー活動を行っている)。

  • 日本テレビ系列を含むクロスネット局であるテレビ大分およびテレビ宮崎では、一部のパートが時差放送または放送されないことがある。
  • 日本テレビ系列局がない沖縄県では、フジテレビ系列(フルネット局)の沖縄テレビが参加している[注釈 11]
  • 過去に長崎県では長崎放送テレビ長崎の当時2局しかなかった県域局がそろって参加したことがあった(第1~4・6回)。これは当時KTNが日テレ系・フジ系のクロスネットであり、曜日編成で土曜日のゴールデン枠がフジ系、日曜日の同枠が日テレ系中心の編成であったことや、NBC(TBS系)が開局当初事実上オープンネットだった時代の名残で、土曜日に日テレ系編成を軸としていたためで、土曜日夜の開始~日曜早朝までNBCで放送した後、日曜早朝以後の後半をKTNが担当していた。
    • 第5回(1982年)は長崎大水害発生の影響を受けてNBCが参加を自粛し、KTNのみが参加したが、この時もKTNは前半部分はネットせず、後半のみの放送であった。

放送曜日が固定されていない特別番組(年末年始特番など、放送日が決まっているものに多い)では、その曜日の編成によって放送されないことがあるほか、同一曜日で編成に変更がなくても放送される場合と放送されない場合があることもある。

  • 例えば、『ジャニーズカウントダウンライブ』は、TOSでは12月31日が火・木・金曜の場合に、UMKでは12月31日が火・水・木・土曜の場合に放送される。また、UMKは12月31日が月曜日の場合は年によって対応が異なり、2007 - 2008年・2018 - 2019年は放送されたが、2012 - 2013年は未放送となっている。

ラジオ放送

ラジオには5つの系列局が存在するが、冒頭で述べた通りFMにはクロスネットが存在しないため、ここではAMのみを述べる。

日本で初めての系列はJapan Radio Network(JRN)である。1964年、テレビのネットワーク政策(=JNN)で成功を収めたTBSは、次に「ラジオ版JNN」を構築すべく準備を進めていた。午後帯の『オーナー』を全国ネットとし、これを発展させて1965年に誕生したのがJRNである。
これに対抗すべく、文化放送とニッポン放送が全国ラジオネットワーク(NRN)を立ち上げる。
この2つにはTBS自らが番組配給機構と位置付け、地方局の営業力強化を狙った「理想主義」のJRNと、キー局がナショナルスポンサーを開拓することに主眼をおいた、ネットワークセールス主体の「現実主義」的なNRNという違いがあった。
ところがテレビが全盛となるとラジオへの求心力が著しく低下したこと、またテレビと違ってラジオは1県又は複数県で1局の地域が多い現実があったため、TBSはJNNと異なりクロスネットとNRNシングルネット局や独立局との間の番組販売や番組購入を容認することになり、TBS自体も個別にNRN・JFN単独系列局や独立局への番組販売・スポンサードネットやそれらの局からの番組購入を行うことがあった。そのためテレビのような排他協定は存在せず、JRNのシングルネット局は加盟34局中TBS・CBC・RKB・RBCの4局のみで、残り30局は全てNRNとのクロスネットとなっている。
ただし、局ごとに経緯が異なるため、最初はJRN・NRNのいずれかとの単独加盟だったが、番組ソースや営業面の観点からあとでもう一方の系列に加盟した局も存在する。


注釈

  1. ^ RKBに限らず、地方の民放第1局目はニュースネットを除きフリーネット(オープンネット)体制を執る局が多かった。2局目誕生後に系列の整理を進めている点も同じ。
  2. ^ 1964年(昭和39年)には当時の在福局であるRKB(JNN系列)とテレビ西日本(TNC、NTV系列からフジテレビ系列へ移行)・九州朝日放送(KBC、フジとNETのクロスネットからNETメインへ移行)間でのネットワーク整理を完了したが、NTV系列局がなくなってしまったため、福岡放送開局までの約5年間は既存局が番組販売で対応したり、キユーピー3分クッキングをKBCが独自制作するなどして凌いだ。
  3. ^ TXN系列局の視聴エリアは、放送対象地域である北海道、関東1都6県、愛知、大阪、岡山、香川、福岡の13都道府県およびその周辺に限られる。
  4. ^ 現在このような編成を行っているのは、テレビ朝日系列の青森朝日放送フジテレビ系列局が存在しない青森県に存在し、同系列の番組を一部ネット)、TBS系列チューリップテレビ(テレビ朝日系列局が存在しない富山県に存在し、同系列の番組を一部ネット)の2局のみ。
  5. ^ 過去の事例では、テレビユー山形は開局当初、山形放送及び山形テレビの編成から外れたANNの番組を一部ネットしていたが、山形テレビがFNSからANNにネットチェンジした際には、ANNの番組が山形テレビに移行し、さくらんぼテレビが開局するまでの間、FNSの番組をネットしていた。また、あいテレビ愛媛朝日テレビが開局するまで、先発2局の編成から外れたANNの番組を放送していた。長崎文化放送テレビ長崎のNNN脱退から長崎国際テレビの開局までの間、ごく一部のNNSの番組をネットしていた。山口朝日放送もごく僅かの期間にFNSの番組を放送していた事がある。
  6. ^ 一例として国鉄最後の日である1987年3月31日(火曜日)、1988年12月31日土曜日、「ワールドカップマラソン」(日テレ系)中継を行った1989年4月15日(土曜日)と翌16日(日曜日)、2019年5月1日の福井放送における「キユーピー3分クッキング」など。(出典:該当日の東奥日報テレビ欄(青森・秋田・岩手・北海道各テレビ局)・2019年5月1日付け福井放送ホームページ番組表)
  7. ^ 全日枠では『小川宏ショー』→『おはよう!ナイスデイ』(福島テレビでは1983年4月1日より)や『3時のあなた』、プライムタイム枠では『夜のヒットスタジオ』などが挙げられる。
  8. ^ キユーピー3分クッキング』(CBC)、『東芝日曜劇場』、『ナショナル劇場』、『ポーラテレビ小説』など
  9. ^ ニュース協定に関してはANNとのみ締結し、JNNにはニュースネット及び報道取材活動のみ名目上番組販売扱いで参加し、JNNとの正式なニュース協定締結はANN離脱後となった。
  10. ^ 「NETラインネットワーク」として系列局一覧を出稿したNETテレビの広告に、日本海テレビの記述がなかった。[5]
  11. ^ 日本テレビ系列局がない沖縄県での同系列の番組は、フジテレビ系列(フルネット局)の沖縄テレビで放送している他、一部はTBS系列の琉球放送でも放送している。
  12. ^ 1975年3月31日から青森朝日放送開局まで。
  13. ^ 開局から1980年3月31日まで。
  14. ^ 1979年7月1日から山形テレビのネットチェンジまで。
  15. ^ 青森放送と山形放送は福井放送同様、元々NNN/NNS単独加盟局であり開局当初よりNNNのニュース番組を全て放送している。
  16. ^ 『NNN日曜夕刊』開始前はフジテレビ『サザエさん』を放送。
  17. ^ 特に南海放送は一時期3系列(NNN・JNN・ANN)の平日朝のニュースをそれぞれに放送していた。
  18. ^ 但し、『ANNニュースセブン』ネットに伴い『FNNモーニングワイド ニュース&スポーツ』(→FNNモーニングコール)』を放送途中で放送終了(飛び降り)していた。
  19. ^ テレビ部門がJNN系列ある場合JRN、他系列(NNN、ANN)の場合NRNにそれぞれ属する傾向にあった。
  20. ^ 1975年3月30日まではABC、同3月31日ネットワーク腸捻転解消後MBS
  21. ^ 但しMBSはニュースネット参加以前から独自の取材活動を行っている名残りで、今日も「ラジオ報道部」というセクションが設けられている。このため本来JRN全国ネットで放送されるべきラジオニュースの一部が、企画ネット番組の扱いで自社放送されている
  22. ^ 近鉄最後のシーズンとなった2004年までの平日も、自社製作を基本とし乍ら、関東でのビジターについてはQRの協力による裏出しとしたものや、西武戦である場合は1982年以後数試合、「文化放送ライオンズナイター」との相互ネット放送としたこともあった。現在はABCが「ライオンズナイター」向けの技術協力をしているが、ABCでは上述の本番ラインに沿っての放送のみを行うため、月曜日にセ・パ交流戦で阪神対西武が行われない限りは、本番カードとなることはめったにない(逆のパターンで西武主催のものをQRから相互ネット、ないしは裏出しをしてもらったことはあった)。
  23. ^ 主に、KBC・SF・STVが対象だった。1980年代にはABC・MBSの要員確保の都合によって、ごくまれに平日にSFへの裏送りをしたこともあった。
  24. ^ 主に関東地区本拠の球団と対戦する場合。
  25. ^ 2010年代以降僅かながら資本参加した。2015年現在は第5位株主となっている。
  26. ^ 中日主催の日本シリーズ・オールスター戦はNPB主催という関係上RF主導で制作されるため、ぎふチャンでも放送されていたが、2010年代以降巨人が関与しない日本シリーズやオールスター戦の放送自体を取りやめている。
  27. ^ 過去に巨人戦以外の中日主催試合が予備カードから昇格した際や、中日が関与しないナゴヤ球場・ナゴヤドームで開催のパ・リーグ公式戦や、放送権が広島球団側にある長良川球場での広島主催の中日戦では、CBC裏送り中継のぎふチャンでの放送が行われたことがある。また広島主催中日戦はRFが直接乗り込み、ぎふチャンの技術協力で放送されたこともあった。

出典

  1. ^ 『放送ハンドブック:文化をになう民放の業務知識』日本民間放送連盟編、東洋経済新報社、1992年3月16日(原著1991年5月23日)、第4刷 p252、p445。ISBN 4492760857
  2. ^ 福島民報「福島テレビ 新番組33本が登場 ほぼ100%フジ系に」(1983年9月17日付)より
  3. ^ 『青森テレビ十年の歩み』(社史) - 青森テレビ
  4. ^ 『ATV20年のあゆみ』(社史) - 青森テレビ
  5. ^ 『日本民間放送年鑑』1972年版(日本民間放送連盟


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