呼吸数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/29 02:11 UTC 版)
呼吸数(こきゅうすう、英: Respiratory rate;ventilatory frequency; respiration rate; rate of breathing; respiratory rate; respiratory frequency; frequency of respiration[1])とは、単位時間当たりに行われる呼吸の数。
概要
医療、看護、介護の分野で、患者、利用者の健康状態を把握するためのバイタルサイン・チェック項目のひとつ。血圧、脈拍、体温とともに数値で計測、判断する。
測定
呼吸数の測定は、目視や聴診器のほか、心電図で判断する方法などもある。通常、心身ともに安静な状態で測定する。歩行や入浴、各種処置でどのように変化するかを見る場合もある[2]。
実際の呼吸数の測定では、胸壁の上下運動を数える。吐く息、吸う息合わせて1回と数える[2]。測定時、年齢、平常時の呼吸の状態、姿勢、体位、身体運動や情動の状態、疾患、薬物使用の有無などが影響するため、事前に確認する[2]。
正常範囲
安静時の健康な成人の平均的な呼吸数は、毎分12~20回[3]、1回換気量(深さ)は450~500mlである[4]。年齢別平均呼吸数は以下のとおり[5][6]。
年齢 | 回数 |
---|---|
6週間(新生児) | 30~60回/分 |
6ヶ月 | 25~40回/分 |
3歳 | 20~30回/分 |
6歳 | 18~25回/分 |
10歳 | 17~23回/分 |
成人 | 12~18回/分[3] |
65歳以上の高齢者 | 12~28回/分[7] |
80歳以上の高齢者 | 10~30回/分[7] |
呼吸の観察のポイント
呼吸の観察では、呼吸の数、その深さ、リズムを見る。測定・観察の際には、以下の点に留意。[8]
- チアノーゼの有無、意識レベル、発熱、喘鳴、息苦しさ、胸痛、頭重感、姿勢、せき、たん、脈拍の変化などについて、同時に観察する[2]。
- 呼吸数は、精神的に興奮したり、心不全や呼吸不全があると増加する[2]。
- 浅い呼吸と深い呼吸を交互に繰り返すときは、脳血管障害など中枢障害を疑う[2]。
- 下顎呼吸があるときは、生命予後が悪い(死が近い)ことが予測できる[2]。
- 過呼吸症候群などの神経症では、正常でも呼吸が深くなることがある[2]。
- 呼気と吸気の長さの比率は、吸気より呼気のほうがやや長く、吸気と呼気の間に休息期があるのがふつう[2]。
- 胸(胸郭)の動きは左右均等で、吸気では広がり、呼気で縮小する[2]。
脚注
- ^ JST科学技術用語日英対訳辞書 独立行政法人科学技術振興機構
- ^ a b c d e f g h i j 「介護職員初任者研修テキスト 第3巻 こころとからだのしくみ」 初版第4刷 p.82 一般財団法人 長寿社会開発センター 発行 介護職員関係養成研修テキスト作成委員会 編集
- ^ a b Ganong's Review of Medical Physiology (24 ed.). p. 619. ISBN 0071780033
- ^ 呼吸器系のしくみと働き | WEB PHYSIOLOGY 人体のしくみと働き
- ^ Scott L. DeBoer (4 November 2004). Emergency Newborn Care. Trafford Publishing. p. 30. ISBN 978-1-4120-3089-2
- ^ Wilburta Q. Lindh; Marilyn Pooler; Carol Tamparo; Barbara M. Dahl (9 March 2009). Delmar's Comprehensive Medical Assisting: Administrative and Clinical Competencies. Cengage Learning. p. 573. ISBN 978-1-4354-1914-8
- ^ a b Rodríguez-Molinero A. et al., Normal respiratory rate and peripheral blood oxygen saturation in the elderly population. J Am Geriatr Soc. 2013 Dec;61(12):2238-40.
- ^ 「介護職員初任者研修テキスト 第3巻 こころとからだのしくみ」初版第4刷 p.82 一般財団法人長寿社会開発センター発行 介護職員関係養成研修テキスト作成委員会 編集
関連項目
参考文献
- 「介護職員初任者研修テキスト 第3巻 こころとからだのしくみ」初版第4刷 一般財団法人長寿社会開発センター発行
- 株式会社メディカルシステム研修所 呼吸におけるモニタ誌上講座
呼吸数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 09:04 UTC 版)
ヒトは出生すると外呼吸を開始する。新生児では健常であっても1分間に30回程度の呼吸をしているものの、成長と共に1分間当たりの呼吸数は次第に減少し、健常な成人の呼吸数は1分間に12回から20回(安静時)とされている。老化とともに肺の伸縮性は低下し、成人期と同じガス交換を行うのに必要な呼吸数は増加する。 ヒトの呼吸量状態呼吸量(ℓ/分)酸素取込み量(ℓ/分)安静時6-10 0.3 運動時100 3 この呼吸数は、自律神経により無意識に調整されるが、意識的に行うこともできる。自律神経では、末梢性化学受容器(英語版)や機械受容器で検知した刺激を呼吸中枢( Respiratory center )にて判断され調整が行われる。この呼吸中枢への刺激は、動脈血中の二酸化炭素量の増加が特に強く、つぎに血のpH低下(アシドーシス)、そのほかに体温上昇・運動・低酸素・精神疾患などの刺激を受けると呼吸を速めて換気を行おうとする。逆に刺激を弱める要因としては、高濃度の酸素・二酸化炭素量の低下・pH上昇(アルカローシス)・体温や代謝の低下などがあり、高濃度酸素を吸入させると、呼吸が停止したり呼吸が緩慢となる。
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