脊髄性筋萎縮症
脊髄性筋萎縮症についての詳しい記載は SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会 ホームページ内の 「SMA(脊髄性筋萎縮症)ってなに?」をご覧ください。
☆乳児脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy 1:SMA1、ウェルドニッヒ・ホフマン病: Werdnig-Hoffmann病)
WerdnigとHoffmannという人がほとんど同時に発表しています。本来この二人の論文の患者さんはつぎの中間型に相当しています。しかし習慣的にウェルドニッヒ・ホフマン病というと重症であるSMA1型をさすことが多いのです。
母親の1/3 は胎動が弱かったといいますので、胎内での発症が推定されます。生下時、あるいは乳児期早期から筋力低下、筋緊張低下が著明です。とくに筋緊張低下が強く、フロッピーインファントで発達の遅れも目立ちます。筋肉をさわると、筋肉はまるでマシュマロのように柔らかです。顔の筋肉はしっかりしていますから、表情は正常です(図40)。舌に細かいふるえ(線維束性収縮:fasciculation)があります。腱反射は消失します。
手足の筋肉は軟らかく、ほとんど動きがない。 顔面筋は侵されないので、泣いたり笑ったりの表情は豊かである。 | |
図40:ウェルドニッヒ・ホフマン病 |
遺伝子診断が可能になって、筋生検はほとんど行われません。筋病理では萎縮線維が大きな群をなして存在する(大群萎縮:large groups of atrophic fibers)のが特徴的です。非萎縮ないし肥大線維はタイプ1線維です。また筋内の末梢神経も早くから髄鞘を失います。
☆中間型(spinal muscular atrophy 2: SMA 2、intermediate form)
SMA 1に比べると軽症でお座りまでできます。発症は生後数ヶ月で、発達の遅れと筋緊張低下があります(図41)。呼吸筋も侵されますが著明ではありません。進行は人によって異なります。中には進行が停止していて、成人まで症状があまり変わらない人もいます。
脊髄性筋萎縮症は筋緊張低下が著明であって、それは中間型でも例外ではない。 踵が耳についたり、写真のように身体がやわらかい(二つ折れ現象:double foldingという)。 | |
図41:脊髄性筋萎縮症中間型 |
☆クーゲルベルグ・ベランダー病(spinal muscular atrophy 3: SMA 3、Kugelberg-Welander disease)
発症時期は小児期から思春期までと幅があります。近位筋優位の筋力低下がありますが歩行は可能です。肢帯型筋ジストロフィーとよく似ていますが、筋緊張は低下しています。病気の進行は人によっていろいろです。
血清CK値は正常か軽度上昇です。筋電図で神経原性の所見がみられることが診断的です。
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