X Window System におけるデスクトップ環境
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 21:58 UTC 版)
「デスクトップ環境」の記事における「X Window System におけるデスクトップ環境」の解説
X Window Systemを使用するシステムでは、デスクトップ環境はより柔軟である。これはXが「ポリシーではなく機構を提供する。特にユーザインタフェースについては」という原則に基づいて設計されているため、デスクトップ環境の構成要素がウィンドウシステムとは全く別に提供されているためである。 CDEやGNOMEやKDEといったXのデスクトップ環境は、ユーティリティライブラリ(XtやGLib等)、GUIライブラリ(ウィジェット・ツールキット、XawやMotifやGTKやQt等)といったインフラとなるライブラリ、ウィンドウマネージャ(twmやmwmやMetacityやKWin等)などのシステムユーティリティ、ファイルマネージャ(ファイルやKonqueror、Dolphin等)や管理ツールなどの基本的なアプリケーション、スキン、などから構成される。これら個々のモジュールは個別に変更したり設定したりすることができ、ユニークな組合せを作ることができるが、多くのデスクトップ環境ではデフォルトの設定があるので、それを使うことができる。 またそういったフルスタックのデスクトップ環境とは別に、IceWM、Fluxbox、Window Makerといったウィンドウマネージャは単純なデスクトップ環境と言える機能を備えている。evilwmやwmiiなどのように、そういった機能のないウィンドウマネージャもある。 X上の初期のデスクトップ環境としてCDEがあるが、これはプロプライエタリな製品であったため、コストやライセンスの問題があってLinuxなどのUnix系OSには普及しなかった。1996年にはKDE、1997年にはGNOMEが登場。1997年に始まったXfceはそれらより小さいプロジェクトであり、性能とモジュール性向上に集中したもので、2006年に始まったLXDEも同様である。2012年現在、GNOMEとKDEが主流であり、Linuxディストリビューションの多くがデフォルトでどちらかをインストールする。これらには次のような特徴がある。 プログラマから見て、標準化されたAPI群、プログラミング環境、ユーザインタフェースのガイドラインが提供されている。 KDEとGNOMEは多数の言語に対応しており、翻訳家から見れば同時に各国語に対応するための基盤が整備されている。 アーティストから見れば、才能を共有する場でもある[信頼性要検証]。 人間工学の専門家から見れば、作業環境を単純化するのを手伝う機会を提供する。 アプリケーション開発者にとっては、統合のためのリファレンス環境を提供する。例えば OpenOffice.org がある。 ユーザーから見れば、完全なデスクトップ環境と一連の基本アプリケーション群を提供する。ファイルマネージャ、ウェブブラウザ、マルチメディアプレーヤー、電子メールクライアント、アドレス帳、PDFリーダー、写真マネージャなどである。 2000年代初め、KDE とGNOMEが円熟期に達した。その後もそれぞれが新たな向上のためのプロジェクトを推進した(KDEはAppeal、GNOMEはToPaZ)。どちらも目標は似たようなものだが、採用した人間工学的手法は異なる。KDEはアプリケーションの連携と相互運用の強化を推進しており、賢明なデフォルトを設定しようと試みつつ、高度にカスタマイズ可能で非常に複雑な機能を多く含んでいる。一方GNOMEはより規範的で、必須なタスクの細かい詳細に集中し、全体としては単純化しようとしている。結果としてそれぞれが異なるユーザー層と開発コミュニティをひきつけている。努力の重複を減らすため、非公式な協力ゾーンとしてfreedesktop.orgが生まれた。 GNOMEとKDEは高性能なコンピュータを主な対象としているため、低性能な古いシステム向けには別のデスクトップ環境が使われる。そのような軽量デスクトップ環境としてLXDEとXfceがある。どちらもGNOMEと同じGTKツールキットを採用している。KDEと同じQtテクノロジーをベースにした軽量デスクトップ環境としてはLXQtのほかBSD向けに開発されたLuminaなどがある。
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