Common Desktop Environmentとは? わかりやすく解説

Common Desktop Environment

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/02 23:40 UTC 版)

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Common Desktop Environment
CDE running on GNU/Linux
開発元 The Open Group
初版 1993年6月(27年前) (1993-06
最新版 2.3.2 / 2020年1月14日(6か月前) (2020-01-14[1]
リポジトリ sf.net/p/cdesktopenv/code/ci/master/tree/
対応OS UNIX, OpenVMS,FreeBSD,NetBSD,OpenBSD,Linux
種別 デスクトップ環境
ライセンス LGPLv2
公式サイト www.opengroup.org/cde/
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Common Desktop Environment(「共通デスクトップ環境」の意、CDEと略記)は、UNIXおよびOpenVMS用のデスクトップ環境である。商用UNIXワークステーションにおけるデスクトップ環境として、かつて標準の地位にあった。

GUIツールキットMotifをさらに拡張したものである。2012年にオープンソース化された。

歴史

CDE は1993年6月、ヒューレット・パッカード (HP)、IBMUSLサン・マイクロシステムズCommon Open Software Environment (COSE) イニシアチブの協業の一環として共同開発することを発表した。ベースとなったのは、HPの VUE英語版 (Visual User Environment) である。VUE自体は Motif Window Manager英語版 (mwm) から派生している。IBMは Common User Access モデルとワークプレース・シェルを提供した。ノベルUNIX System V からデスクトップマネージャの部品とスケーラブルシステム技術を提供した。Sunは OpenWindows英語版 環境から ToolTalk英語版 というアプリケーション連携フレームワークと DeskSet英語版 という生産性ツールを提供した(メールクライアントやカレンダークライアントなど)[2]

1994年3月、CDEの管理は Open Software FoundationUNIX International が合併した新たなOSFが受け持つこととなり[3]1995年9月、MotifとCDEを1つのプロジェクトとしたCDE/Motifが発表された[4]1996年にはOSFが新たに結成されたThe Open Groupの一部となっている[5]

2000年頃まで、CDEはUNIXデスクトップのデファクトスタンダードとみなされていたが、KDEGNOMEといったフリーソフトウェアのデスクトップ環境が急速に成長してLinuxプラットフォームで広く使われるようになった。その当時、既にLinuxは全商用UNIXよりも広く使われていたのである。レッドハットはLinuxベンダーとしては唯一CDEを移植していたが、KDEやGNOMEに押されて消えていった。

2001年、商用UNIXベンダーであるサン・マイクロシステムズ (Solaris) は、ワークステーションの標準デスクトップとしてCDEを段階的に廃止してGNOMEに移行することを発表した。2005年初めにリリースされたSolaris 10にはCDEとGNOMEベースの Java Desktop System が含まれている。2011年11月リリースのSolaris 11にはデスクトップ環境としてはGNOMEのみがあり、MotifやTooltalkといったCDE関連ライブラリもバイナリ互換性のために残っている。またOpenSolarisプロジェクトではCDEをオープンソース化することはないと言明した[6]

HPOpenVMSでは、標準のデスクトップ環境としてCDEを採用している。

Motifは2000年に Open Motif としてリリースされたが、その "revenue sharing" ライセンスはオープンソースとしての定義には完全には合致しないし、フリーソフトウェアとしての定義にも合致しない。The Open Groupはこれをオープンソース化したいと考えているが、十分にできているとは言えない[7]。2006年、The Open Groupに対してCDEとMotifのソースコードをフリーなライセンスで公開してほしいという請願がなされた[8]

Xfceデスクトップは一時期ルック・アンド・フィールをCDEに似せていたが、既に変更された。

CDE のオープンソース版を独自に開発するプロジェクトOpenCDEが2010年に始まった。CDEのソースコードを全く使わずに、CDEのルック・アンド・フィール、構成、機能を再現することを目的としている[9]

2012年8月6日LGPLv2でオープンソース化され公開された[10]

CDE を使っているオペレーティングシステム

CDEプロジェクトの下での開発

2014年3月、フリーソフトウェアとなってからの初めてのCDEの安定版(2.2.1)がリリースされた[12]

バージョン2.2.2(2014年7月リリース)から、CDEはFreeBSD 10において、デフォルトのClangコンパイラでコンパイルすることが可能である[13]

バージョン2.3.0(2018年7月リリース)から、CDEはLinuxでTIRPIを利用するようになり、insecure modeで実行するためにポートマッパーとrpcbindは必要とされなくなった。また、Xprintはもう使われておらず、BSDにおいて最初にMotifのカスタム版をインストールすることなくコンパイルすることができる。複数ディスプレイはXineramaによってサポートが改善されている。

フリーソフトウェアとしてリリースされてから、CDEは下記のシステムに移植された[14]

CDEプロジェクトは将来のプロジェクトのゴールとして以下のものを含んでいる。

  • Linux、BSDや他のUnix系のプラットフォームでの移植性を向上させる。
  • さらに他の言語に国際化を進める。

脚注

  1. ^ Trulson, Jon (2020年1月15日). “CDE 2.3.2 has been released”. cdesktopenv-devel. https://sourceforge.net/p/cdesktopenv/mailman/message/36900154/ 2020年5月24日閲覧。 
  2. ^ “UNIX Leaders Complete First Release of Specification for Common Open Software Environment Desktop” (プレスリリース), Hewlett-Packard, IBM Corporation, SunSoft, Inc., UNIX System Laboratories, X/Open Company Ltd., (1993年6月30日), http://bubl.ac.uk/ARCHIVE/subject/computing/misc/coseup6.htm 2007年11月30日閲覧。 
  3. ^ “Leading Vendors Unify to Accelerate Open Systems” (プレスリリース), AT&T Global Information Systems, Digital Equipment Corporation, Hewlett-Packard Company, IBM Corporation, SunSoft Incorporated, et al., (1994年3月23日), http://groups.google.com/group/comp.unix.osf.misc/msg/4ebc895ff10823f1 2008年5月15日閲覧。 
  4. ^ “OSF Announces Formal Launch of CDE/Motif Project” (プレスリリース), Open Software Foundation, (1995年9月7日), http://groups.google.com/group/cu.motif-talk/msg/9935c0cb91e254fd 2008年5月15日閲覧。 
  5. ^ “X/Open and OSF Join to Create The Open Group” (プレスリリース), X/Open Company Ltd. Open Software Foundation, (1996年2月14日), http://www.rdg.opengroup.org/public/news/feb96/merge.htm 2008年5月16日閲覧。 
  6. ^ OpenSolaris Consolidation Information”. OpenSolaris Web site. 2007年12月1日閲覧。
  7. ^ Open Motif Frequently Asked Questions”. The Open Group (2004年7月13日). 2007年11月30日閲覧。
  8. ^ Peter Howkins. “Petition to Open Source CDE and Motif”. 2007年11月30日閲覧。
  9. ^ kpedersen. “OpenCDE”. 2011年2月14日閲覧。
  10. ^ CDE - Common Desktop Environment”. 2012年8月6日閲覧。
  11. ^ HP-UX : FAQ
  12. ^ Trulson, Jon (2014年3月1日). “CDE 2.2.1 released”. cdesktopenv-devel. http://sourceforge.net/p/cdesktopenv/mailman/message/32043063/ 2014年3月5日閲覧。 
  13. ^ Trulson, Jon (2014年7月27日). “CDE 2.2.2 released”. cdesktopenv-devel. http://sourceforge.net/p/cdesktopenv/mailman/message/32654428/ 2014年7月27日閲覧。 
  14. ^ Common Desktop Environment: Wiki”. 2015年1月6日閲覧。
  15. ^ Red Hat package

参考文献

外部リンク


Common Desktop Environment

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2009/11/30 07:08 UTC 版)

Common Open Software Environment」の記事における「Common Desktop Environment」の解説

UNIXブランドオープン化標準化とは別にCOSE は Common Desktop Environment (CDE) を開発したCDEX Window System ベースユーザ環境であり、HPIBMサン共同開発した。そのインタフェースおよび開発ツールには OSFMotif ウィジェット・ツールキット使われた。

※この「Common Desktop Environment」の解説は、「Common Open Software Environment」の解説の一部です。
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