SFXとは? わかりやすく解説

SFX

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/01 02:44 UTC 版)

SFX(エス・エフ・エックス)は、特殊撮影特撮)を意味する英語[1]の略語で、フィルム、ビデオ映像に対して美術、光学処理などにより特殊な視覚効果を施し、通常ではあり得ない映像を作り出す技術をいう。特殊効果とも呼ばれる。英語ではSFX、SPFX、あるいは単にFXと略称される。

日本では、古くは活動写真の時代から「トリック撮影」と呼ばれ、「特殊効果」や「特撮」と呼ばれていた[2]が、映画評論家中子真治著『SFX映画の世界 CINEMATIC ILLUSION』(1983年)のタイトルに用いられて以降、一般に広く使われるようになった。

1980年代以降はコンピュータグラフィックスなど、映像を後から加工する技術が生まれ、それらはSFXに対して視覚効果VFX)と呼ばれている。映画業界ではSFXとVFXは別々のものとしてはっきりと区別する傾向が強いが、映画製作には併用される(例えば撮影時にSFXで人物をケーブルで釣り上げ、撮影後のVFXでケーブルを消去する。)。そのため、両者の違いは一般には浸透しておらず混同されている。

SFXの歴史

映画が発明された1895年、イギリスの映画監督アルフレッド・クラークが初のSFXと考えられるものを創り出している。それはスコットランドの女王・メアリー・スチュアートが首を刎ねられる事件の再現の撮影で、死刑執行者がメアリーの首を刎ねようと斧を振り上げたところでカメラを一度止め、メアリー役の女優を退かせて代わりにダミーを置き、再びカメラを回し、ダミーの首を刎ねさせた。これが、映画で実際に起きていないことをいかにも起きたように観客に信じさせた最初の効果であった。クラークはトリックによってそれが実際に起きていることだと観客に信じ込ませ、映画は実際にはありえないことも表現できる可能性を示した。

映写技師出身でRKOに在籍していたエンジニア、リンウッド・ダン (1904年-1998年) は、当時海外配給用に異なる大きさの画像を焼き付けるため使われていたオプティカル・プリンター光学合成用に改良し、撮影不可能な場面を合成処理で作り出すだけでなく、複数のフィルムを扱うことで多彩な映像効果も操作出来るようになった。

1935年、RKOはテクニカラーを使用した初の商業映画「虚栄の市」を製作。カラー映画を製作できることは、映画の見た目のリアリティーを強くした。 第二次世界大戦中、白黒映画は新しく人気の出てきた戦争映画ではもっとも一般的だったが、新しい現象が映画製作者に及んでいた。ミニチュアの使用である。

映画製作者は、船を飛び立つ飛行機や大海を進んでいく空母の隊列といった複雑な場面を作り出すべく、大量の水に模型ボートを浮かべ、模型飛行機を配してその場面を撮影した。波を起こす特別な機械を使うことで、本物のようなボートや飛行機の場面を作り出すことができたのである。『Ships with Wings』(1942年) などの映画は「模型の船や飛行機、ミニチュアの火薬技術に依存して、それらが登場する戦争の描写を行っていた」(Rickitt, 23)。これにより、観客には「何が本物で何が本物でないのか、どうすれば分かるのか」という疑問が投げかけられることになった。

1968年にはスタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』が製作された。キューブリック監督が目指した、極限まで画質が高く革新的な映像には既成の光学合成だけでは対応できず、合成段階の画質劣化を避けて殆どの場面で大面積のフィルムを使用した重ね撮りが行われ、猿人たちがモノリスと遭遇する場面の撮影に新しいスクリーン・プロセスの方法としてフロント・プロジェクションに改良が加えられ、また星の門(スター・ゲート)が開く場面にはスリット・スキャンが考案された。スリット・スキャンはスリットカメラのシャッターを開けた状態で被写体を動かし残像を撮影する手法を発展させたものである。

そして1977年、新しい超大作映画がマーケットに現れた。ジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ』である。『スター・ウォーズ』には斬新な特殊効果が満載されていた。ルーカスのILMストップモーション・アニメーション(コマ撮りアニメ)の技術を頂点まで極めさせた。ストップモーション自体は既に50年も使われていた技術だったが、コンピューターでカメラと被写体の一部をモーションコントロール化することで、非常に滑らかな動きを作り出した。これはもはやストップモーションではなくゴー・モーションと呼ばれた。しかし、そのたった数年後にはCGという全く新しい映像技術が誕生し、ストップモーションに取って代わった。ストップモーションはリアルなSFXには使われなくなったが、CGには全くない味があると好む人々も多く、映像表現として完全に廃れることはないと考えられている。

SFX技術

SFX技術は「美術・舞台装置によるもの」と「撮影技術・光学処理によるもの」に大別できる。かつては光学的な処理でしか実現できなかったブルーバック合成やマットペイント合成は、発想こそ同じものの、現在はデジタル処理で行なわれる。

美術、舞台装置によるもの

撮影技術、光学処理によるもの

デジタル処理によるもの

SFXを手掛ける主な会社(日本)

SFXを手掛ける主な会社(日本以外)

脚注

  1. ^ : special effects
  2. ^ 「特殊効果」という言葉が馴染みにくく、東宝特撮映画が流行った昭和の時期にマスコミで「特撮」という言葉が使われるようになった。特撮#解説も参照

関連項目


SF-X

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/06 06:19 UTC 版)

SF-X』(スペースファイターX)

  1. 日本ゲーム(タイヨーシステム名義)が開発し、1983年に東京日本物産株式会社(東京日物、日本物産の子会社)から発売されたアーケードゲーム[1]。本項で詳述する。
  2. 上記の作品とは別に、「ムーンクレスタの続編的作品[注 1]として1983年に開発されロケテストのみでリリース中止となった作品」と銘打った、1995年5月26日発売のPlayStation用ソフト『ニチブツアーケードクラシックス』に収録されたゲーム。本項のゲームと同名であるが、関連性はない[1]

SF-X(スペースファイターX)
ジャンル シューティングゲーム
開発元 [AC] 日本ゲーム
(タイヨーシステム)[1]
発売元 [AC] 東京日本物産
ディレクター [AC] 阿迦手観屋夢之助[2]
人数 1人
メディア 業務用基板
稼働時期 [AC] 1983年7月
テンプレートを表示

SF-X』(スペースファイターX)とは、1983年に東京日本物産株式会社(東京日物、日本物産の子会社)から発売されたアーケードゲーム。キャッチコピーは「未知の宇宙に潜む怪しい予感。司令艦を撃て…敵の要塞を破壊せよ!」。

概要

脚注

注釈

  1. ^ 楽曲、一部の敵キャラクターは流用。

出典

  1. ^ a b c シューティングゲームサイドvol.11 - マイクロマガジン社 2015年2月7日発行 (5ページ)
  2. ^ マル勝スーパーファミコン - 角川書店 1993年10月8日発行 (144-145ページ)

S・F・X

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/11 21:18 UTC 版)

S・F・X
細野晴臣スタジオ・アルバム
リリース
録音 セディック・スタジオ
ジャンル ニュー・ウェーヴ
時間
レーベル テイチク/ノン・スタンダード
プロデュース 細野晴臣
チャート最高順位
細野晴臣 アルバム 年表
Making of NON-STANDARD MUSIC/Making of MONAD MUSIC
(1984年)
S・F・X
(1984年)
コインシデンタル・ミュージック
1985年
テンプレートを表示

S・F・X』(エス・エフ・エックス)は、細野晴臣の7作目のオリジナル・アルバムである。1984年12月16日テイチクノン・スタンダードレーベルからリリースされた。ジャケット、インナーには『HARUOMI HOSONO with FRIENDS OF EARTH』とクレジットされている。

解説

YMO散開後初のソロ・アルバムで、日本で32ビート[broken anchor]デジタルシンセサイザーをいち早く導入した作品。

インナーには、「FRIENDS OF EARTH」という項目があり、録音機材が列記されていた。「FRIENDS OF EARTH」は、のちに細野が結成する音楽ユニットの名前となる。

後年の再発盤では、やケース背面のタイトル表記が「S-F-X」に変更されている。

収録曲の差異

当初「BODY SNATCHERS」が『SPECIAL MIX』仕様に差し替えられ、ミニ・アルバム『Making of NON-STANDARD MUSIC/Making of MONAD MUSIC』に収録された曲が追加されていたが、2001年11月21日リリースの再発盤から『Making of NON-STANDARD MUSIC/Making of MONAD MUSIC』の曲を別にリリースし、LP/カセットテープと同じ曲目に変更された。

プロモーション

リリース当時、お正月映画の公開シーズンだった映画館などでCMが大量に放映された[2]

収録曲

LP/カセットテープ

A面
全作曲・編曲: 細野晴臣
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. BODY SNATCHERS(ボディー・スナッチャーズ) 細野晴臣
英訳協力: ピーター・バラカン
細野晴臣
2. ANDROGENA(アンドロジーナ) 細野晴臣 細野晴臣
3. SFX   細野晴臣
合計時間:
B面
全作曲・編曲: 細野晴臣。
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. STRANGE LOVE(ストレンジ・ラブ) 細野晴臣
英訳協力: ピーター・バラカン
細野晴臣
2. ALTERNATIVE 3(第3の選択)   細野晴臣
3. DARK SIDE OF THE STAR(地球の夜にむけての夜想曲)   細野晴臣
合計時間:

CD(1985年盤, 1990年盤, 1996年盤)

CD[3]
全作曲・編曲: 細野晴臣
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. ノン・スタンダード・ミクスチュアー(NON-STANDARD MIXTURE)   細野晴臣
2. ボディー・スナッチャーズ (スペシャル・ミックス)(BODY SNATCHERS (SPECIAL MIX)) 細野晴臣
英訳協力: ピーター・バラカン
細野晴臣
3. アンドロジーナ(ANDROGENA) 細野晴臣 細野晴臣
4. SFX   細野晴臣
5. ストレンジ・ラブ(STRANGE LOVE) 細野晴臣
英訳協力: ピーター・バラカン
細野晴臣
6. 第3の選択(ALTERNATIVE 3)   細野晴臣
7. 地球の夜にむけての夜想曲(DARK SIDE OF THE STAR)   細野晴臣
8. ミディアム・コンポジションNo.1(MEDIUM COMPOSITION; #1)   細野晴臣
9. ミディアム・コンポジションNo.2(MEDIUM COMPOSITION; #2)   細野晴臣
10. ミロク(3・6・9)   細野晴臣
合計時間:

CD(2001年盤, 2008年盤, 2015年盤)

CD[4]
SHM-CD[5]
全作曲・編曲: 細野晴臣
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. BODY SNATCHERS(ボディー・スナッチャーズ) 細野晴臣
英訳協力: ピーター・バラカン
細野晴臣
2. ANDROGENA(アンドロジーナ) 細野晴臣 細野晴臣
3. SFX   細野晴臣
4. STRANGE LOVE(ストレンジ・ラブ) 細野晴臣
英訳協力: ピーター・バラカン
細野晴臣
5. ALTERNATIVE 3(第3の選択)   細野晴臣
6. DARK SIDE OF THE STAR(地球の夜にむけての夜想曲)   細野晴臣
合計時間:

楽曲解説

LP/カセットテープ/CD(2001年盤, 2008年盤, 2015年盤)

  1. BODY SNATCHERS - ボディー・スナッチャーズ
  2. ANDROGENA - アンドロジーナ
  3. SFX
  4. STRANGE LOVE
  5. ALTERNATIVE 3 - 第3の選択
  6. DARK SIDE OF THE STAR - 地球の夜にむけての夜想曲

CD(1985年盤, 1990年盤, 1996年盤)

  1. ノン・スタンダード・ミクスチュアー - NON-STANDARD MIXTURE
  2. ボディー・スナッチャーズ (スペシャル・ミックス) - BODY SNATCHERS (SPECIAL MIX)
  3. アンドロジーナ - ANDROGENA
  4. SFX
  5. ストレンジ・ラブ - STRANGE LOVE
  6. 第3の選択 - ALTERNATIVE 3
  7. 地球の夜にむけての夜想曲 - DARK SIDE OF THE STAR
  8. ミディアム・コンポジションNo.1 - MEDIUM COMPOSITION; #1
    • ミニアルバム『Making of NON-STANDARD MUSIC/Making of MONAD MUSIC』収録曲。
  9. ミディアム・コンポジションNo.2 - MEDIUM COMPOSITION; #2
    • ミニアルバム『Making of NON-STANDARD MUSIC/Making of MONAD MUSIC』収録曲。
  10. ミロク - 3・6・9
    • ミニアルバム『Making of NON-STANDARD MUSIC/Making of MONAD MUSIC』収録曲。

クレジット

FRIENDS OF EARTH

出典

  1. ^ 『オリコン・チャートブック LP編 昭和45年 - 平成1年』オリジナル・コンフィデンス、1990年、270頁。ISBN 4871310256
  2. ^ 2001年11月21日リリースの再発盤のライナーノーツ掲載の解説
  3. ^ 細野晴臣/S-F-X”. タワーレコード. 2021年10月10日閲覧。
  4. ^ S-F-X”. タワーレコード. 2021年10月10日閲覧。
  5. ^ S-F-X<初回限定盤>”. タワーレコード. 2021年10月10日閲覧。

外部リンク

  • Hosono Haruomi.jpによる紹介ページ




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