New Year Greeting
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「ギフト (タイの映画)」の記事における「New Year Greeting」の解説
2017年12月。ネクタイのうまく締められないロン(Chantavit Dhanasevi)がヒット銀行にやってくる。その銀行の金融アナリスト部門の社員として、筆記試験100点をとって入社したのだった。与えられた席には仏花が捧げられており、同僚のキム(Nuengthida Sophon)はそこがかつてファーというシニアスタッフの席だったこと、夫の認知症の介護で退職したが、先に亡くなってしまったことを話す。 職場は17時になるとエアロビクスやポールダンス、ヨガが始まったり、置かれた卓球台でピンポンがされるなど余暇活動の盛んなところだった。戸惑いつつもエアロビクスを真似するロンに、守衛から"親戚"が来たとの連絡が来る。果たしてそれは彼が所属していたバンドの関係者たちで、ロンがバンドをやめた腹いせに楽器を押し付けに来たのだった。バンドの名はTHAUMA TROPE。Fight for your dreamという曲だけが残された、キムも全く聞いたことのないバンドだった。 夜、電気も消えた職場でロンがサックスを吹いていると、奇妙な異音に気がつく。不安のある音の出どころをロンが探し当てると、そこには楽器を演奏する社員たちがいた。ロンは事情を聞く。かつていたファーは楽器の才能があり、全く能力のない社員1名にトランペットを手ほどきし、彼が開花したのをきっかけに社員の多くが楽器を始めだしたこと。しかしファーは会社をやめ、練習場として使っていた小会議室も卓球台にとられてしまったこと。その後、非常階段の踊り場で練習するなどしていたものの、ファーの死の後に完全に音楽の火は消えてしまったこと、しかし音楽経験者のロンが楽器とともにファーの机で仕事を始めたことが、ファーからの贈り物と思って気持ちが蘇ったこと。ロンは、自分が失ってしまった音楽への情熱を社員が持っていたことに感動し、演奏指導をすることを申し出る。 夜の職場で社員たちは合奏を始めるが、コンタクトレンズを忘れて楽譜が読めない、曲を忘れてベースが止まる、口内炎が痛くてトロンボーンの調子が外れるなど楽団の調子は良くない。それでもなんとか練習をしていると、上司のスパニカ(Pha-oon Chandrasiri)が怒鳴り込んでくる。スパニカはドラムに書かれたTHAUMA TROPEの文字を見つけ、中学入学から大学を経て留学するまで、自分の車でTHAUMA TROPEのテープを息子が聞いていてうんざりしたことを話し、オフィスを練習場に使わないよう言い渡す。 ロンは職場に楽団を正式に作り、音楽室を作ろうと考える。手始めにTHAUMA TROPEが使っていたスタジオから楽器を拝借し、社員を楽団にスカウトする。受付嬢、出家休暇の社員、歌いながら仕事をしていた掃除婦などをスカウトし、スパニカが息子のビームとガールフレンドのパンと共に夕食に出かけた隙にオフィスで演奏を始める。演奏の見事さに残っていた他の社員も集まりだし、楽団は大喝采になる。 楽団は評判を呼び、会社中が音楽への興味であふれる。この機とばかりにロンとキムは音楽室の設置を役員会に提案しようとする。そして、その説得のため、新年の歌"New Year Greeting"を練習することにする。練習のとき、キムはロンに、ファーが亡くなった時、死んでから幸福を祈ることが空しいと知った、死ぬ前に幸せになりたいと語る。 音楽室設置に対する役員たちの反応は、予算がなく前例もなく利益にもつながらなそうと、はかばかしくなかった。弱気になるキムにロンは、音楽を演奏してきてこれほど幸せになったことはないと励ます。そして、楽団のメンバーとともに役員会に向かう。キムとロンが役員会に与えられた時間は5分だけだった。ロンは自分の自己紹介も省き、「新年の贈り物として歌を贈りたい」とNew Year Greetingの前奏をキムと吹く。その音をきっかけに、会議室の外から演奏が聞こえてくる。役員たちが会議室を出ると、それは楽団たちの大合奏だった。その音を聞いた他の社員たちも集まりだし、演奏は大いに盛り上がる。社長は一転して音楽室の設置を認め、新曲の練習をするようにロンに言う。感謝するロンだが、彼はお礼は議題を提案したスパニカにするようにと話す。スパニカは、「ロンのことは嫌いだが、音楽があれば人生が平和になる」と語り、ロンにTHAUMA TROPEのCDジャケットへとサインをするようにお願いする。
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