IBMメインフレーム
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IBMメインフレームはIBMが製造販売するメインフレーム・コンピュータのこと。1952年のIBM 701に始まり、1964年のSystem/360とその後継の成功により大型コンピュータ市場の独占的存在となった。最新版のIBM zもSystem/360の後継である。
第一世代と第二世代

1952年から1960年代後半にかけて、IBMは大型コンピュータのIBM 700/7000シリーズを販売した。第1世代の700シリーズで真空管が使われ、後期の第2世代の7000シリーズはトランジスタが使われた。IBMはこれらのマシンで電算処理EDP市場を独占した。IBMは2つのシリーズを持ち、701、704、709、7030、7090、7094、7040、7044のシリーズは工学および科学技術計算用で、702、705、705-II、705-III、7080、7070、7072、7074、7010のシリーズは事務処理またはデータ処理用だった。科学技術計算と事務処理の2つのカテゴリにおいて、周辺機器はいずれもほぼ共通だったが、命令セットは全く異なっており、同一カテゴリ内でも互換性がなかった。
当初IBMはユーザがプログラムを自分で書くことを前提としており、ソフトウェアを添付せずに販売していた。プログラムは1命令ずつ手動で登録していた。その後IBMは新規に開発したFORTRANやCOMTRANなど高水準プログラミング言語のコンパイラを提供し、続けてCOBOLを提供した。IBMコンピュータ用の最初のオペレーティングシステム(OS)は、1950年代当時の相場で200万ドルもした非常に高価なマシンをアイドル状態にしたままオペレータが手動でジョブをセットアップするのをもったいないと考えたIBMの顧客が書いた。当時の初期のOSは基本的に予約した作業を順次実行するキューだった。実際に業務で使われた最初のOSはゼネラルモーターズの研究開発部門が1956年に開発したGM-NAA I/Oだと考えられている。IBMはGM-NAA I/Oの派生版の1つであるSHARE OSがあったが、ベル研究所のBESYSを参考に設計と実装を行ったOSであるIBSYSを顧客に提供した[1][2]。ソフトウェアがより複雑になり、その重要性が高まるにつれ、様々なバリエーションのハードをサポートすることが負担になってきたことから、IBMはSystem/360とそのOSを開発することにした[3]。
第2世代のトランジスタベースの製品はIBMのビジネスの主力製品となり、IBMはSystem/360を販売開始後数年間製造し続けた(一部のIBM 7094シリーズは1980年代まで使用された)。
小型機

System/360より前にもIBMはメインフレームに分類されない小型コンピュータを販売していたが、小型とはいえ当時はまだ大きくて高価だった。このカテゴリには以下のような製品があった。
- IBM 650 (真空管方式、10進数アーキテクチャ、ドラムメモリ、事務処理および科学技術計算向け)
- IBM 305 RAMAC (真空管方式、ディスクストレージを備えた最初のコンピュータ。IBMのディスク記憶装置を参照)
- IBM 1400シリーズ (事務処理用。非常に大成功し、1400シリーズの周辺機器の多くが360に流用された)
- IBM 1620 (10進数アーキテクチャ、科学技術計算および教育用)
小型機を使う顧客にメインフレームへ買い替えてもらうことは、ソフトウェアの書き直しが必要になるため非常に困難だった。7010はメインフレームサイズの1410として1962年に発売された。その後に発売されたSystem/360と370は1400機をエミュレートできた。机サイズで命令セットが異なるIBM 1130は、1620が独占している特定のニッチな市場に対応するため、System/360と並行して販売された。文字エンコードには360と同じEBCDICが使われ、ほとんどのプログラムがFORTRANで書かれていたため、プログラムを大型機に移植することが比較的やりやすかった。
ミッドレンジ機はIBMではメインフレームとマイクロコンピュータの中間にあたるコンピュータシステムのカテゴリを指している。
IBM System/360

1964年4月にSystem/360 (S/360)が発表されて世界が変わった[4]。System/360は事務計算と科学技術計算の両方に対応可能な共通モデルだった。「360」という数字は、「360度」で「オールラウンド」なコンピュータシステムであるということを意味していた。System/360には、事務計算用機にしかなかった10進算術演算やバイトアドレッシングなどの機能と、科学技術計算用機にしかなかった浮動小数点演算などの機能が両方とも備わっていた。System/360の一部のモデルでは算術演算機能やバイトアドレッシングなどの機能はオプションだった。ただし上位モデルには上位互換性があり、ほとんどの下位モデルにも下位互換性があった。またSystem/360はOSのために初めてハードの仕様を統一したコンピュータでもあった。これらのマシンでは、プログラムや命令にはスーパーバイザーモードとアプリケーションモードがあり、メモリ保護機能が備わっていた。ハードウェアによるメモリ保護機能はOSをユーザプログラム(タスク)から保護し、タスクが他のタスクに影響を与えることがないようにした。また新機種は旧機種よりも広いアドレス空間を持っており、当時は36ビットのワードに18ビットのアドレス(約1MB)が普通であったのに対し、8ビットのワードに24ビットのアドレス(16MB)が利用できた。
System/360シリーズの小型モデル(360/30など)は1400シリーズからのアップグレードを想定したもので、さらに360の大型モデルへのアップグレードが簡単にできた。第2世代機から新世代機への移行をスムーズに進めるため、IBMは360のマイクロプログラミング機能を使って人気の旧機種をエミュレートした。これにより360/30シリーズは追加費用を払うことで1401用のプログラムを実行でき、さらに大型の360/65シリーズは7094用のプログラムを実行できた。旧機種用のプログラムを実行するには360を一度停止してエミュレーションモードで再起動する必要があった。多くのユーザは古いプログラムを使い続けており、後に販売されたSystem/370ではOS上からエミュレーションモードの切り替えが可能になった。
System/360ファミリーのOSにはOS/360 (PCP、MFT、MVTを含む)、BOS/360、TOS/360、DOS/360などがあった。
その後System/360はSystem/370、System/390、64ビット機のzSeries、System z、zEnterpriseなどのマシンに進化した。System/370は、最初に販売されたSystem/370のモデルを除き、全モデルに仮想メモリ機能が搭載されていた。OS/360 MFTの派生版であるOS/VS1、OS/360 MVTの派生版であるOS/VS2 (SVS)、DOS/360の派生版であるDOS/VSに仮想メモリ機能が搭載された。それまでのOSに搭載された初期の仮想メモリ機能は、全てのプログラムが1つの仮想メモリ空間を共有するもので、その後に開発されたMVSでは各プログラムが別々のアドレス空間を持つようになった。仮想メモリ機能が搭載されたことにより、OSは仮想マシンをサポートすることもできるようになった。VM/370ハイパーバイザーは標準版のSystem/360やSystem/370、シングルーユーザの対話型モニターシステム (CMS)などの複数のOSを実行できた。タイムシェアリングVMシステムではユーザごとに別の仮想マシンを実行でき、各仮想マシンはCMSのインスタンスを実行した。
今日のシステム

2000年にz900として発売されたzSeriesファミリーは、IBMが新たに設計した64ビットのz/Architectureが搭載された。
プロセッサユニット
下記はIBMメインフレームに搭載されるプロセッサの一覧である。
- CP (Central Processor) : 汎用プロセッサ
- IFL (Integrated Facility for Linux) : Linuxを稼働させるための専用プロセッサ (z/VM上で動作するオプション機能)
- ICF (Integrated Coupling Facility) : 並列シスプレックスをサポートする
- SAP (System Assist Processor) : 様々なシステムログ、マネージメント、I/Oチャネルへの操作を管理する
- zAAP (System z Application Assist Processor) : JavaとXMLの処理に特化
- zIIP (System z Integrated Information Processor) : DB2、XML、IPSecなどの特定の処理に特化
これらのプロセッサは中身は同じであるがライセンスに区別がある。CP以外は任意のOSで走らせることができないなどの軽い制約があり、ソフトウェアのライセンスは通常CPの数でカウントするため、CP以外のプロセッサを用いることでカウントに含めないようにできる[5]。通常はメインフレームの中にある、暗号化アクセラレータ(CryptoExpress)、OSA-Expressネットワークプロセッサ、FICON ExpressディスクI/Oプロセッサなどのサポートプロセッサもある。
Neon Enterprise Softwareが販売したzPrimeは主なプログラムをzIIPやzAAPで実行できる許可をユーザに与えることができるソフトウェアで、IBMに提訴されて2011年に販売を中止した[6]。
オペレーティングシステム
IBMメインフレームで使用できる主なOSには、z/OS (OS/360系列のMVS/ESAやOS/390の後継)、z/VM (CP-40のVM/ESAやVM/XAの後継)、 z/VSE (DOS/360の後継)、z/TPF (航空管理プログラムの後継)、Linux on IBM Z (SUSE Linux Enterprise Serverなど)がある。一部のシステムではMUSIC/SPやUTS (Mainframe UNIX)が動作する。2008年10月にSine Nomine AssociatesがOpenSolaris on System zを発表した。
ミドルウェア
IBMメインフレームでは、CICS、IMS、WebSphere Application Server、DB2、Oracleなど、すべての主なエンタープライズトランザクション処理環境とデータベースが動作する。これらのソフトウェアサブシステムはほとんどの場合で、複数のメインフレームOSで同時に実行できる。
エミュレータ
System/370、System/390、System zのソフトエミュレーターが存在しており、UnixWareやLinuxで動作するFLEX-ES[7]や、Linux、FreeBSD、Solaris、macOS、Microsoft Windowsで動作する無料のHerculesなどがある。IBMはx86-64機用のLinuxで動作するzPDT (System z Personal Development Tool)と呼ばれるエミュレーターを提供している[8]。
関連項目
- IBM製品の一覧
- アムダール
- ミッドレンジコンピュータ
- Linux on IBM Z
- IBM Secure Service Container
- IBMメインフレーム用オペレーティングシステムの歴史
脚注
- ^ IBM 7090/94 IBSYS Operating System
- ^ Gray, George (March 1999). EXEC II. 1 .
- ^ Chuck Boyer, The 360 Revolution
- ^ IBM Archives: System/360 Announcement
- ^ IBM corp. (2005年). “Mainframe concepts (page 31)”. 2020年6月16日閲覧。
- ^ Radding. “Bye bye zPrime on System z”. DancingDinosaur. May 5, 2012閲覧。
- ^ “Technical Overview: FLEX-ES”. 2020年6月16日閲覧。
- ^ “IBM System z Personal Development Tool”. IBM. 2020年6月16日閲覧。
参考文献
- Bashe, Charles J. (1986). IBM's Early Computers. MIT. ISBN 0-262-02225-7 Bashe, Charles J. (1986). IBM's Early Computers. MIT. ISBN 0-262-02225-7 Bashe, Charles J. (1986). IBM's Early Computers. MIT. ISBN 0-262-02225-7
- プラサド、ナルール、サビット、ジェフリー(1994)。 『IBMメインフレーム:アーキテクチャと設計』第2版。 McGraw-Hill Osborne Media。 ISBN 0-07-050691-4 ISBN 0-07-050691-4 。
- Pugh, Emerson W. (1991). IBM's 360 and Early 370 Systems. MIT. ISBN 0-262-16123-0 Pugh, Emerson W. (1991). IBM's 360 and Early 370 Systems. MIT. ISBN 0-262-16123-0 Pugh, Emerson W. (1991). IBM's 360 and Early 370 Systems. MIT. ISBN 0-262-16123-0
外部リンク
System z
開発元 | IBM |
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最新版 |
z16[1](発表2022年)
|
対応OS | z/OS、z/VM、z/VSE、z/TPF、Linux |
種別 | メインフレーム (z/Architecture) |
公式サイト | IBM Z |
開発元 | IBM |
---|---|
最新版 |
LinuxOne III(発表2019年)
|
対応OS | Linux、z/VM |
種別 | メインフレーム (z/Architecture) |
公式サイト | IBM LinuxOne |




IBM zSeries(IBMぜっとしりーず)、IBM System z(IBMしすてむぜっと)、IBM zEnterprise(IBMぜっとえんたーぷらいず)、IBM z System(IBMぜっとしすてむ)、IBM Z(IBMぜっと)は、IBMが開発・販売するメインフレームコンピュータの2000年以降のブランド名。またIBM LinuxOne(IBMりなっくすわん)は2015年以降のLinux専用モデル[2][3]。
1964年のSystem/360からの上位互換性を持ち、64ビットアーキテクチャのz/Architectureに基づいて設計されている。サポートされるオペレーティングシステムは、z/OS、z/VM、z/VSE、z/TPF、Linuxなど(ただしIBM LinuxOneはLinux, z/VMのみ)[4]。2010年の zEnterprise よりオプションのzBX上で分散サーバーの同時稼働をサポート[5][6][7]。最新版は2022年発表の z16 [1]。
名称
IBMのメインフレームのブランド名で、「z」は「ダウンタイム ゼロ(Zero)」(高可用性)を意味する。
- IBM eServer zSeries - 2000年以降。pSeries、iSeries、xSeries等と、IBMサーバ全体のブランド名「IBM eServer」を構成する。
- IBM System z - 2005年以降。System p、System i、System x等と、IBMサーバ全体のブランド名「IBM Systems」を構成する。
- IBM zEnterprise System - 2010年以降。
- IBM z System - 2015年以降。(他のサーバーはPower Systems等。)
- IBM z - 2017年以降。
概要
zSeries、System z、zEnterprise、z System、IBM Zは、IBM System/360やSystem/370の直系の子孫であり、上位互換性を持つ。System/360用に書かれた24ビットのアプリケーション(バイナリーの実行モジュール)は、40年を隔てた最新のSystem zでも、一部の例外を除き修正なしで動作する。
1990年代より各種オープン標準(TCP/IP、Webサーバ、Linuxなど)、2000年には64ビットアドレッシングをサポートした。IBMは「IBMのメインフレームはレガシーでは無い」「世界的にはニューワークロード(Web、ERPなどの用途)が50%を超えている」と主張している。
高い信頼性・可用性が求められる業務、過去の資産(プログラム、運用管理など)を継続したい場合、多数のサーバを統合したい場合などに使われている。
筐体の色は、eServer以降はThinkPadと合わせてベースは黒、アクセントは赤に統一された。しかしz10からはグリーンコンピューティング(環境負荷が低い)を意識して、アクセントは緑に変更された。
System zの主な特徴は以下である。
- z/Architectureに基づいている(64ビットの物理空間と仮想空間)。
- 多数のプロセッサユニット(PU)を搭載し、広域クラスタを構成可能
- オペレーティングシステムとして、Linux on System z, z/OS, z/VM, z/VSE, z/TPFを使用可能
- システム/390 の 31ビットアプリケーションはz/Architecture上で完全互換
zEnterprise では、従来からのz/Architectureプロセッサーに加え、POWERおよびx86プロセッサーも搭載可能となり、全体を統合資源管理ソフトウェアでワークロード管理可能となった。
2015年1月 z13 発表時に、ブランド名称が IBM z System に変更された。
仕様
S/390以降の主な製品の型番(TYPE-MODEL)と仕様は以下の通り。
- S/390 G5,G6
- プロセッサー数:1〜12 (CMOS G5,G6)
- S/390 Multiprise 3000
- プロセッサー数:1〜2 (CMOS G5)
- zSeries 900 (2064-xxx)
- プロセッサー数:1〜16
- zSeries 800 (2066-xxx)
- プロセッサー数:1〜4
- zSeries 990 (2084-xxx)
- プロセッサー数:1〜32
- zSeries 890 (2086-xxx)
- プロセッサー数:1〜4
- System z9 EC (2094-S08〜S54)
- 総PU: 1.4GHz x 12〜64
- メモリー: 16〜512GB
- 最大チャネル数: 960〜1024
- System z9 BC (2096-R07/S07)
- 総PU: 1.4GHz x 8
- メモリー: 8〜64GB
- 最大チャネル数(ESCONの場合): 240〜420
- System z10 EC (2097-E12/E26/E40/E56/E64)
- 総PU: 4.4GHz x 17〜77
- メモリー: 16〜512GB
- 最大チャネル数:1024
- System z10 BC (2098-E10)
- 総PU:3.5GHz x 12
- メモリー:4〜128GB
- 最大チャネル数:480
- z System z13 [8]
- 最大コア数: 141 (111,556MIPS)
- 最大メモリー: 10テラバイト
- 最大稼動仮想サーバー: 8,000
- z14[9]。
- z15[10]
- z16[1]
System z9 EC (2094-S54)の場合、ブックあたり最大64個のPU(プロセッサ・ユニット)を搭載し、1秒間に約186億6千万回の命令を実行できるとされている。1台の S54 は1日に10億以上のトランザクションを処理できる。64個のPUのうち2個はスペアPUとして使用され、2個のPUがI/O、暗号化、メモリ制御などのプロセッサとして使用される。結果的に54個のPUをユーザーが決定した役割に設定でき、Central Processor(CP)としても、それ以外(z Application Assist Processor(zAAP)、Integrated Facility for Linux (IFL)、Internal Coupling Facility (ICF))の用途にも使うことができる。System z10 EC(E64)の場合77個のPUを搭載し64個のPUをユーザーが決定した役割に設定できる。
冗長性と信頼性
System z9 EC (2094-S54)の場合、PU内部の命令実行回路は二重化されており、全ての命令はふたつの回路で並行して実行される。このふたつの回路の命令実行結果が異なってしまった場合、再度命令を試行してそれでも結果が異なる場合は、そのPUで実行していたタスクを自動的に別のPUに移動させる。そのときスペアのPUが空いていればそれを使うこともできる。システムは自動的にIBMのサービスに連絡(RSF)をして、サービスエンジニアが代わりのプロセッサ・ブックを持ってきて交換を行う。このとき、システムを停止させることなく、動作したままでかまわない。このように、PUのハードウェア的な冗長性をベースとした高信頼システムが構築されている。
同じことは、メモリにもI/Oにも電源にも冷却機構にも言える。ほとんど考えられる全ての部品が冗長化されている。そして、この機能はハードウェアとマイクロコードで実現されているため、アプリケーションが特別なコードを使う必要はない。同じコンセプトはクラスタ構成にも適用される。
System zは確かに高価であるが、信頼性の高さがTCO削減となって効果を発揮する。このため政府、金融機関、商業、工業などあらゆる場面で使われている。
歴史
zSeries以前
IBM System z は、IBM System/360の直系の子孫である。
1964年 System/360シリーズを発表し、大ヒットとなる。24ビットアドレッシングであった。
1970年 後継のSystem/370シリーズを発表。仮想記憶を実現。更に後継は、大型の30x0(303x、308x、3090)、中型の4300、小型の9370となった。
1983年 System/370-XAアーキテクチャを発表。31ビットアドレッシングや動的チャネルサブシステムを実現。
1988年 ESA/370アーキテクチャを発表。64ビットのデータ空間であるハイパー空間などを実現。
1990年 ES/9000シリーズと、ESA/390アーキテクチャを発表。エンタープライズサーバー(ES)としてサーバー機能を強化した。また同時に従来の3090、4300、9370は「ES/3090、ES/4300、ES/9370」に改称され、後にES/9000(ES/9021、ES/9121、ES/9221)に移行した。
1994年 S/390 並列エンタープライズサーバーを発表。CMOSプロセッサへの移行、クラスタリングである並列シスプレックスが採用された。また小型のIBM Multiprise 2000、3000も発売された。
zSeries
2000年10月 ブランド名称を「IBM eServer zSeries」に変更。同時に64ビットアドレッシングのアーキテクチャであるz/Architectureと、最上位のzSeries 900(z900、型番は2064)を発表。
- 2002年2月 z900の中型版であるzSeries 800(z800、型番は2066)を発表。
- 2003年3月 最上位(z900後継)のzSeries 990(z990、型番は2084)を発表。
- 2004年5月 中型(z800後継)のzSeries 890(z890、型番は2086)を発表。
2005年7月 ブランド名を「IBM System z」に変更。同時に最上位のSystem z9 109(型番は2094)を発表。
- 2006年4月 z9 109をz9 Enterprise Class (z9 EC)と名称変更し、中型のz9 Business Class (z9 BC、型番は2096)を発表。
- 2008年2月 最上位(z9 EC後継)のSystem z10 Enterprise Class (z10 EC、型番は2097)を発表。
- 2008年10月 中型(z9 BC後継)のz10 Business Class (z10 BC、型番は2098)を発表。
最上位機種(EC)が出た1,2年度後にそのモデルアップ反映した中型機種(BC)が発表されている
zEnterprise
- 2010年7月 ブランド名称を「IBM zEnterprise」に変更。主なハードウェアは本体である zEnterprise 196(z196) と、zEnterprise BladeCenter Extension(zBX)。z196は、5.2GHzのz/Architectureプロセッサを96個搭載できる。zBXはPOWER7などのプロセッサを搭載したブレードサーバを搭載できる。このハイブリッド環境をソフトウェアの zEnterprise Unified Resource Manager(URM)で一元管理できる。
- 2012年8月 「IBM zEnterprise EC12」(zEC12)を発表)[12]「12」は「12世代」を意味する[13]。z196の後継で、32ナノ・プロセス、5.5GHz のプロセッサ・コアを1筐体当たり最大120搭載可能。
z Systems, LinuxOne
- 2015年1月 ブランド名称を「IBM z System」に変更。z13およびLinuxOne(Rockhopper)を発表[8]。
IBM Z, LinuxOne II/III
- 2017年7月 ブランド名称を「IBM Z」に変更。z14およびLinuxOne IIを発表を発表[9]。
- 2019年9月 z15およびLinuxOne IIIを発表[10]。全方位型暗号化技術、Data Privacy Passports技術など。
- 2022年4月 z16を発表[1]。AI推論機能を提供。
参照
- ^ a b c d 次世代プラットフォーム IBM z16を発表: 革新的なイノベーションでハイブリッドクラウドとAIの未来を創造
- ^ Linux専用のメインフレーム・サーバー「IBM LinuxONE」を発表 - IBMニュースルーム
- ^ Linux専用メインフレーム「LinuxONE」、IBM自らOSSを移植 - ZDNet
- ^ IBM System z オペレーティングシステム
- ^ 革新的アーキテクチャーによる新サーバー「IBM zEnterprise」
- ^ IBM zEnterprise System の発表
- ^ IBM zEnterprise BladeCenter Extensionの発表
- ^ a b z13メインフレームを発表 - IBM
- ^ a b IBM Z (z14) プレスリリース
- ^ a b 業界初のデータ・プライバシー機能を備えた最新メインフレーム「IBM z15」発表
- ^ 日本IBM、メインフレーム新製品「IBM z16」発表--リアルタイムAI推論や耐量子暗号技術に対応 - ZDNet
- ^ 処理能力を50%向上した業界最速のメインフレーム - IBM
- ^ 日本IBM、「業界最速」のメインフレームを発売 - ITMedia
関連項目
- IBM Systems
- メインフレーム
- System/360
- System/370
- Multiple Virtual Storage
- z/OS
- z/VSE
- z/VM
- z/TPF
外部リンク
- IBM Z
- IBM Z ハードウェア
- IBM Z ソフトウェア
- IBM Zのオペレーティング・システム
- IBM z/OS
- エンタープライズセキュリティー
- ホスト・インテグレーション (3270/5250 エミュレーター)
- リアルタイム・アナリティクスと機械学習
- メインフレームの機能
- プログラミングコンテスト Master the Mainframe
- IBM Systems Japan Blog : IBM Z カテゴリー
年 | シリーズ名 | アーキテクチャ | 主なモデル | 主なOS | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|---|
1952 | 701シリーズ | - | 701, 704, 709, 7090, 7040, 7094 | - | 科学技術計算用、真空管/トランジスタ |
1953 | 702シリーズ | - | 702, 705, 7080 | - | 真空管/トランジスタ |
1953 | 650シリーズ | - | 650, 7070, 7074, 7072 | - | 科学技術計算用、真空管/トランジスタ |
1959 | 1401シリーズ | - | 1401, 1410, 1440, 7010, 1460 | - | 商用計算用、オールトランジスタ |
1961 | その他 | - | 305(RAMAC), 7030(Stretch) | - | ディスク装置(RAMAC)、マルチタスク(Stretch) |
1964 | System/360 | S/360 | 20 - 195 | OS/360, DOS/360, CP-67/CMS | 汎用機、アーキテクチャ、IC、24ビットアドレッシング、仮想機械 |
1970 | System/370 | S/370 | 115 - 195 | OS/VS(MVS), DOS/VS, VM/370 | 仮想記憶、マルチプロセッサ、PPAR |
1977 | 30x0, 4300, 9370 | S/370, S/370-XA | 303x/308x/3090, 43x1, 937x | MVS/XA, DOS/VSE, VM/XA | 31ビットアドレッシング・動的チャネルサブシステム(S/370-XA) |
1990 | ES/9000 | S/390, ESA/390 | 9021, 9121, 9221 | MVS/ESA, VSE/ESA, VM/ESA, AIX/ESA | 64ビットデータ空間、拡張ストレージ(ES)、LPAR、ESCON、FICON |
1994 | S/390 | ESA/390 | 9672/9674(G1 - G6), IBM Multiprise 2000/3000 | OS/390, VSE/ESA, VM/ESA, Linux | CMOS, 並列シスプレックス, UNIX互換環境(OS/390 USS)、Linuxサポート |
2000 | eServer zSeries | z/Architecture | z800/z900, z890/z990 | z/OS, z/VSE, z/VM, Linux | 64ビットアドレッシング、IFL、zAAP、zIIP、IPv6 |
2005 | System z | z/Architecture | z9, z10 | z/OS, z/VSE, z/VM, Linux | IRD |
2010 | zEnterprise | z/Architecture | z114/z196, z12 | z/OS, z/VSE, z/VM, Linux | ブレード拡張(POWER, x86) |
2015 | z System | z/Architecture | z13, LinuxOne | (z13)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux (LinuxOne) Linux, z/VM |
|
2017 | IBM Z | z/Architecture | z14, LinuxOne II | (z14)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux (LinuxOne) Linux, z/VM |
暗号化、zHyperLink |
2019 | IBM Z | z/Architecture | z15, LinuxOne III | (z15)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux (LinuxOne) Linux, z/VM |
全方位型暗号化技術、Data Privacy Passports、OpenShift |
2022 | IBM Z | z/Architecture | z16 | (z16)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux | IBM Telumプロセッサー、オンチップのAIアクセラレーター、耐量子暗号 |
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