GOES-R シリーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 16:34 UTC 版)
NOAAは2016年11月19日にGOES-Rを打ち上げ、2017年12月18日より大西洋側のGOES-East(GOES-16)として運用を開始した。また、GOES-S(GOES-17)を2018年3月1日に打ち上げ、2019年3月12日より、137.2°Wにて運用を開始した。 これまでのGOESシリーズと異なり、観測機器が大幅に更新され、GOES-Nシリーズより大型化、そして大容量の電力に対応した。製造はロッキードマーチンである。 ABI(Advanced Baseline Imager) GOES 8~14のイメージャー (雲などの水平分布を観測) とサウンダー (温度、湿度などの鉛直分布の観測) を発展させた観測装置。全球観測を5分で観測出来るようにする(従来は24分要した)。また、観測チャンネルも波長帯で16チャンネルと大幅に増強される。Himawari-8/9のAHI(Advanced Himawari Imager)と同じようなところがある。 AHIは、GOES-Rシリーズで使用するABIのうち波長帯域を改造したもので、結果的にABIに先行する形で使用が始まった。 ABIによる観測ではGOES-Nシリーズまでと比べて拡張されている。観測間隔は全球観測にて3時間/回から、10分/回に増強された。また、アメリカ本土地域の観測が30分/回から5分/回に増強され、新たにターゲット観測も高頻度で観測できるようになった。 波長帯は、赤外4ch、可視1chの5chから、可視・赤外併せて16chに増やした上で、分解能を現状の4倍(縦横の分解能を各2倍に引き上げる)にした。 スキャン方式は、GOES-Nシリーズに近い格好であるが、スキャンできる南北方向の幅が広がったことにより、全休観測におけるスキャンにかかる時間を28分から15分にまで短縮でき、スキャン回数も大きく減らすことができた。また、全休1回当たりに、北米地域が3回分、ターゲット領域について30秒間隔でのスキャンができるようになっている。 バンドNo波長帯(μm)波長の名称波長の種類01 00.47 青 可視 02 00.64 赤 可視 03 00.86 植生帯 近赤外 04 01.37 上層雲系 近赤外 05 01.6 雪氷域 近赤外 06 02.2 雲粒 近赤外 07 03.9 近赤外ウインドウ 近赤外 08 06.2 対流圏上層水蒸気 赤外 09 06.9 対流圏中層水蒸気 赤外 10 07.3 対流圏下層水蒸気 赤外 11 08.4 雲頂面 赤外 12 09.6 オゾン 赤外 13 10.3 赤外(長波長ウィンドウ) 赤外 14 11.2 赤外(長波長ウィンドウ) 赤外 15 12.3 赤外(長波長ウィンドウ) 赤外 16 13.3 CO2 赤外 GLM(Geostationaly Lightning Mapper) 一部の極軌道衛星で搭載されている、雷光観測システムを静止衛星で観測出来るようにする。 Solar Ultra Violet Imager (SUVI) Extreme Ultra Violet / X-Ray Irradiance Sensor (EXIS) SEISS(Space Environmental In-Situ Suite) 現状のGOES-12、GOES-Nシリーズでのシステムを拡張して、X線短波長側も観測出来るようにする。 静止位置変更 太平洋側のGOES-WEST(現在は、GOES-15)がある西経135度から、GOES-S(GOES-17)シリーズから西経137.2度に変わる。GOES-Rシリーズが使用する電波周波数が、近傍の衛星と干渉が発生するとされたことと、GOES-Nシリーズとの干渉も併せて発生することから、国際機関の調整によって静止位置が変わる。 GRB(GOES Rebroadcast) 衛星経由で送信しているGOESの観測した画像が大幅に変わる。チャンネル数が増加したことから転送速度を格段に速くする。GVARでは、2.1Mbpsでダウンリンクしているが、GRBでは17.2Mbpsまで速度が上がる。 GVARを受信している利用者への影響が大きすぎることと、GOES-RシリーズからGOES-Nシリーズに急遽切り替える様なことが生じた場合の対策として、各チャンネルの画像のうち一部のチャンネルを抜き、直接衛星で受信している利用者へ配信するEGVAR(Emmurated GVAR)が配信される。EGVARは現行のGVARと互換性を持たせてあるので、これまでのGVAR受信設備でもGOES-Rシリーズから受信することが出来る。転送速度などに違いが生じることから、何らかの改造が必要になる。
※この「GOES-R シリーズ」の解説は、「GOES」の解説の一部です。
「GOES-R シリーズ」を含む「GOES」の記事については、「GOES」の概要を参照ください。
- GOES-R シリーズのページへのリンク