EUVL光学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 07:00 UTC 版)
「極端紫外線リソグラフィ」の記事における「EUVL光学」の解説
EUVリソグラフィは今日利用されている深紫外線リソグラフィと比べ、著しく異なっている。EUVは波長13.5 nmという軟X線に近い領域のため、すべての物質において、EUVを吸収する。したがって、EUVリソグラフィは真空中で発生させる必要がある。すべての光学要素は、フォトマスクを含め、中間層干渉による光を反射するよう作用する、無欠陥のMo/Si多層膜を利用しなければならない。これらの鏡は入射光線の約30%を吸収する。この制約はマスクがない干渉リソグラフィシステム(Interference lithography)で回避することができる。しかし、後者のツールは周期的なパターンのみを製造するのに限定される。 現在まで構築された試作EUVLシステムは少なくとも2つの集光多層膜鏡、6つの投影多層膜鏡、また多層膜(マスク)で構成されている。光学系が利用可能なEUV光の96%を既に吸収するので、理想的なEUV光源は十分に明るい必要がある。EUV光源開発はレーザーまたは放電パルスによって生成されたプラズマに焦点が置かれている。集光鏡はプラズマに直接露出され、したがって高エネルギーのイオンから、および他の残骸(デブリ)からのダメージに脆弱である。EUVを発生する高エネルギープロセスに付随したこのダメージは、EUVリソグラフィ技術の実用的なEUV光源の実施成功を妨げている。 EUV露光装置のウエハー処理能力は、生産能力の指標の一つである。EUVが高真空を要求する技術であるとすれば、処理能力は(光源出力はさておき)ツールチャンバー出し入れするウエハーの移動によって、時間当たりの少ないウエハー数で制限される。 試作用EUV露光装置の別の特徴は、多層膜マスクへの(6度の角度の)斜入射照明である。回折像中にもたらされる非対称性は、パターン忠実度を下げる陰影効果を引き起こす。 EUVの短い波長はレンズフレアも引き起こし、画質の完全性を損ない、線幅粗さを増大させることが知られている。 主要体積当たり(例えば20 nmの立方体)の加熱は、フォトレジストにおける高い吸収のため、DUV光子に比較して、EUVの光子あたりより高くなる。加えて、EUVリソグラフィは真空環境のため、液浸リソグラフィの水冷環境にくらべてより加熱される。 加熱は多層膜鏡を使用する場合に特に深刻な問題となる。なぜなら、EUVは表面から薄い距離で吸収されるので、加熱密度が高くなるためである。結果、高い加熱負荷で水冷方式が使用されると予想される。しかしながら、結果として生じる振動は微細加工における懸案事項である。 NISTとラトガース大学による最近の研究で、光電子生成および二次電子収率に影響を及ぼすEUV鏡の共鳴構造によって、多層膜光学系の汚染に多大な影響を受けることが判明した。 EUVはすべての物質に大きく吸収されるので、リソグラフィ装置内部のEUV光学要素でさえ、主に明白なアブレーションとして現れる。それらのアブレーションはEUVリソグラフィに特有の新たな懸念である。従来の光学リソグラフィシステムは主に透過部品を使用しており、電子ビーム露光装置は電子の経路に部品を置かない。しかし、これらの電子は最後には露光したサンプル基板にエネルギーを注入する。
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