EUVL 欠陥
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 07:00 UTC 版)
「極端紫外線リソグラフィ」の記事における「EUVL 欠陥」の解説
EUVLは液浸リソグラフィが直面しているものと類似した特有の欠陥問題に直面している。液浸特有の欠陥は水とフォトレジスト間との最適化されていない接触によるが、EUVに関係のある欠陥は本質的にEUV放射のイオン化エネルギーに起因する。第一の問題は正帯電である。EUV放射によってレジストの表面から解放された、光電子の放出のためである。これは静電放電、あるいは、上でも言及した装置損害と同様に粒子汚染ももたらしうる。第二の問題は、周囲の、あるいはアウトガスによる炭化水素によるレジスト上の汚染物堆積である。それはEUVまたは電子で引き起こされる反応に起因する。第3の問題は、EUV放射またはEUVで生成された電子によって解離された酸素、アルゴン、または他の雰囲気ガスによる腐食である。リソグラフィチャンバー内の雰囲気ガスはガスパージや汚染削減のために使用される。これらのガスはEUV放射によりイオン化され、露出表面の近傍にプラズマ発生をもたらし、多層光学素子の障害や試料への不用意な暴露に至る。 当然ながらマスク欠陥もまたEUVLの欠陥の既知な原因である。極端紫外線マスクにおける欠陥の低減は、現在EUVリソグラフィの商業化のために取り組まれる、最も重大な案件のうちの1つである。欠陥中核(すなわち空孔か粒子)は、基板上で、多層膜堆積物中に、あるいは多層膜積層の上に生じる場合がある。最終欠陥の印刷適性は、既定の位置で光の相変化および振幅変化に依存するだろう。正味の相変化および/または振幅変化は、中核欠陥の固有の効果と、欠陥の間の多層膜スタックの成長への影響をもたらす。埋没欠陥は特に油断がならず、10 nmの欠陥ですら危険であると考えられる。検知されない3 nmのマスク基板平坦度変化によって引き起こされた位相シフトは、印刷可能な欠陥を生むのに十分である。この背景にある原理は、平面からの1/4波長の偏差が、反射の後に1/2波長光路長差を生じるというものである。平面から反射される光は、1/4波長の偏差した光とで180度位相がずれる平面からの1nmの偏差さえ、画像強度の実質的減少(~20 %)に結びつくであろうことが示された。実際、100 nmの半値全幅をもつ原子スケール(0.3 - 0.5 nm)の高さの欠陥は、10 %のCDインパクトを示すことにより依然印刷可能になりえる。レンズのように、実質的に位相シフトを生じるどんな欠陥も、欠陥領域の外側へ光を散乱させる。散乱された光の量は計算可能である。更に、平坦からのその偏差が表面に関して84度の発生率のターゲット角からの偏差により、3度を超過すれば、位相欠陥の端はさらに反射率を10 %以上縮小するだろう。くわえて、位相欠陥の端部は、もしその逸脱が平面度から3度を超過する場合、表面に対して84度の目標入射角からの偏差のため、反射率を10 %以上低下させることになる。欠陥高さが浅くても、端部は依然として積層する多層膜を変形させ、多層膜が傾斜する伸長領域を生じる。変形が急峻であるほど、欠陥端部の伸長領域は狭くなり、反射率への損失が大きくなる。
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