6つの小前奏曲とは? わかりやすく解説

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バッハ:6つの小前奏曲

英語表記/番号出版情報
バッハ:6つの小前奏曲6 kleine Praeludien BWV 933-938作曲年: about 1720年  出版年1806年  初版出版地/出版社Bureau de musique 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 ハ長調  C Dur BWV933No Data No Image
2 ハ短調 c Moll BWV934No Data No Image
3 ニ短調 d moll BWV935No Data No Image
4 ニ長調 D Dur BWV936No Data No Image
5 ホ長調 E Dur BWV937No Data No Image
6 ホ短調 e Moll BWV938No Data No Image

作品解説

2008年6月 執筆者: 朝山 奈津子

 バッハは《平均律クラヴィーア曲集》、《インヴェンション》、《シンフォニア》など、内容も曲数もひじょうに豊かな学習教材制作している。それらは当初から明確かつ綿密な計画持って進められていたが、その際はいくつかの候補の中からそれぞれの主旨合わせて選択したり、移調改訂加えたりすることがあった。一方では、曲集に取り込まれずに残され作品異なる調の原曲おぼしきもの、簡略な初期稿なども多数存在する9つ6つ、および5つの小前奏曲は、おそらくそうした小品後生がまとめたもので、やはり学習教材として弟子から弟子へと伝承された。19世紀半ばペータース社鍵盤作品集(チェルニー/グリーペンケルル編)によって、曲集のまとめ方が定着普及したとみられる
 この曲集は《クラヴィーア初心者のための6つの小前奏曲》というタイトルをもち、バッハ周辺で6曲にまとめられと見られる。現在もっとも重要な資料は、バッハ最後弟子ヨハン・クリスティアン・キッテル(1732-1809)が筆写したもので、おそくとも1780年代までに書き写された。キッテル後年多く弟子持ち中部ドイツバッハ伝統伝承確立した人物である。
 ここに含まれる6曲は調に従って配列(C-c-d-D-E-e)されており、バッハがより大きな曲集を構想していた可能性考えられるまた、9つの小前奏曲》や《5つの小前奏曲》に比べる作曲技法充実し規模大きく各曲とも形式がよく整っている。以下、形式と書法の点から各曲をみてみよう。

第1番 ハ長調 BWV 933
 前半後半、更にその中が前楽節後楽節に分かれている。音程幅の広い跳躍歯切れよいリズムによる前楽節が、音階淡々とした伴奏による流れるような後楽節に対比されきわめて整然とした構成になっている。曲集の幕開きにふさわしい、堂々とした作品である。

第2番 ハ短調 BWV 934
 4分音符三拍子刻み続けメヌエット風小品前半明確に2小節1単位だが、後半は1小節ごと細かに変容しながら進む。前半では8分音符歩み左手パート引き取って終止するが、後半はすぐに主旋律右手戻り左手にはこの曲で初め4分休符現れる淡々とした中のわずかな変化によってニュアンス演出されている。

第3番 ニ短調 BWV 935
 両手模倣し合うことに加え前半後半では主題の音型が反行関係にある。さらに、前半後半それぞれの最終小節の音型が統一されている。こうした書法は、バッハ鍵盤舞曲にしばしば見られる

第4番 ニ長調 BWV 936
 3声で開始するいっけん声部書法維持されていないようだが、実は第9-16小節および第40-44小節は、右手パートだけであたかも2声部対話しているかのようにきこえる。対す左手通奏低音バス模したもので、そのため全体トリオ・ソナタということができる。

第5番 ホ長調 BWV 937
 前半後半左右の手動機交換している。その対照性は、楽譜図形として眺め比べてみればよく判る。しかし、後半ではタイによるシンコペーション織り交ぜリズム変化付けている。

第6番 ホ短調 BWV 938
 冒頭前半後半とも両手動機交換し合う形で開始するが、その後の展開はいくぶん異なっている。簡明なテクスチュア単純なリズムのみで構成される前半対し後半タイ音域移動によって豊かな表情見せる。しかしいずれにせよ、2小節1単位維持し、摸続進行保続音多用されるため、曲の進行ごく僅かずつの変化積み重ねて新たな境地到達するような印象与える。




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