2016年の動向
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「南沙諸島海域における中華人民共和国の人工島建設」の記事における「2016年の動向」の解説
1月2日に中国外交部が、ファイアリー・クロス礁で建設していた飛行場の完成と滑走路を使用して試験飛行をしたことを明らかにした。これに先立ちベトナムは、試験飛行に抗議する声明を発表している。 1月30日、アメリカ海軍の横須賀基地所属のイージス駆逐艦「カーティス・ウィルバー」が派遣され、西沙諸島のトリトン島から12海里(約22キロメートル)内を航行したことがアメリカ国防総省によって明らかになった。南シナ海での「航行の自由」作戦の一環で、前年10月のスビ礁から12海里内の海域での実施以来2度目であり、これに対して中国外交部は批判する談話を発表した。 中華人民共和国交通運輸部が建設したスビ礁の灯台(高さ55メートル、2015年10月着工)が完成し、ジョンソン南礁、クアテロン礁に続いて4月から運用を開始した。 5月13日、アメリカ国防総省が公表した中国の軍事力に関する年次報告書は、中国が南沙諸島(スプラトリー諸島)で2015年末までに埋め立てた面積が、約13平方キロメートルに達したと分析している。また、アメリカのシンクタンクのCSISが5月11日に、ウェイブサイト「ASIA MARITIME TRANSPARENCY INITIATIVE (AMTI)」でベトナムが実効支配してスプラトリー諸島で埋め立てを進めるチュオンサ島(スプラトリー島)などの島や岩礁を撮影した衛星画像を公開し、5月16日までにベトナムが10拠点で約0.49平方キロメートル(120エーカー)の埋め立てを実施したとする分析結果および中国による埋め立てとの比較分析を公表した。 7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は、南シナ海を巡る中国の主張や活動についてフィリピンが行った15の申し立てに関して、中国の主張を全面的に否定する判断を示した(南シナ海判決)。判断では中国が歴史的権利を主張する「九段線」で囲まれる海域について、権利を主張する法的根拠はないとされた。また人工島を造成しているすべての岩礁は「島」ではなく「岩」または、高潮時に海面に出ない「低潮高地」であるとし、人工島に200海里範囲の排他的経済水域 (EEZ) は生じないと判断した。 12月4日、ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領が、南シナ海で人工島を造成して軍事複合施設を建設している中国の行為について批判した。12月8日には、中国が爆撃機H-6を南シナ海に派遣し、2015年3月以来となる爆撃機による「九段線」に沿った上空の長距離飛行を行った。また12月13日(アメリカ東部時間)には、CSIS(戦略国際問題研究所)によって、中国が南沙諸島で埋め立てた7つの人工島すべてにおいて航空機攻撃用の高射砲や巡航ミサイル迎撃用の「近接防空システム (CIWS) 」を配備したとする衛星写真に基づく分析結果が公表された。中華人民共和国国防部も12月15日に談話を発表し、事実上CSISの公表内容を認めている。12月26日、中国初の空母「遼寧」が空母打撃群を編成して初めて太平洋を経由で南シナ海に入り、年明けの南シナ海での訓練のために海南島の三亜市の基地に停泊した。
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