2011年以降の運転再開問題
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「玄海原子力発電所」の記事における「2011年以降の運転再開問題」の解説
2011年3月11日の時点では、玄海原発の1 - 4号機はそれぞれ以下の状態であった。 番号状態1号機 2010年11月2日から通常運転中 2号機 2011年1月29日から定期検査中 3号機 2010年12月11日から定期検査中 4号機 2010年11月26日から通常運転中 3月11日に福島第一原子力発電所事故が発生し、原発の安全性の問題が全国で注目を集めるようになった。国の原子力安全・保安院は約3週間後の3月末に、緊急安全対策を各電力会社に指示した。経済産業省はこの対策が講じられたことが確認できれば再稼働は可能との見解で、海江田万里経済産業大臣は6月に原発の安全宣言を出し、定期検査の予定の作業が終了した玄海原発の再稼働のために佐賀県の古川康知事を訪ねた。 しかし、全国の市民からの反対の他、事故の検証が未実施で安全基準が示されていないとして、13基の商用原発を抱える福井県などからも時期尚早との声が上がった。そこで、政府(菅政権)は、ストレステストを導入し、1次評価で安全性を確認してから再稼働の是非を判断することとなった。 また、運転再開への「地元住民の疑問や不安を解消するために」経済産業省は「佐賀県民向け説明会」を開催した。この「説明会」は、「県民」と学者、経済産業省の担当者が、佐賀市にあるケーブルテレビのぶんぶんテレビのスタジオで公開質疑をするという内容であったが、開催前に九州電力担当者との会談で古川康知事が「経済界には再稼働を容認する意見があるが、表に出ない」「こうした機会を利用して声を出すことも必要だ」と発言し、担当者が「再開賛成の意見を増やすことが必要」との認識で一致した後、九州電力本社が関係会社の社員らに、番組に対して再開賛成のメールを出すよう指示した世論偽装工作事件(サクラ)が起こされた。 「九州電力やらせメール事件」も参照 このやらせメール事件は国会質疑によって重大問題とみなされるようになり、第三者委員会が会社ぐるみでの指示があった事件だということを認める最終報告書を9月30日に提出した。これを受けて、海江田大臣の後継の枝野幸男経済産業大臣は、九州電力の姿勢を批判し、原発再稼働への障害になるとの認識を示した。 しかし、九州電力は再稼働手続きを進め、2011年12月14日に2号機のストレステストの結果を原子力安全・保安院に提出した。2012年5月4日の時点で、2号機は保安院によるストレステスト1次評価の審査中であり、他の号機については九州電力はストレステストを提出していない。 2,3号機は福島原発事故後、日本国内の原発再稼働の一番手と目されていたが、現時点では再稼働予定は未定である。2012年夏は九州電力管内の玄海原発と川内原発は稼働しない予定だが、節電を実施すれば猛暑でも需要を超える供給力が確保できると九州電力は計画を立てている。しかし、玄海町の岸本英雄町長は現在でも再稼働の必要性を強調している。 また東京新聞は、太平洋側でなく運転年数が比較的少なく加圧水型原子炉である3,4号機は、この条件を満たす他の原発とともに、政府が再稼働の候補にしそうである、と報じている。しかし、九州電力は、免震施設も、事故の時にベントを迫られた際に放射性物質の放出を減少させるためのフィルターも「設置時期は未定」といった回答しかしていない。
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