2台のデイトナ・スパイダー(レプリカ)の行方
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「マイアミ・バイスのフェラーリ」の記事における「2台のデイトナ・スパイダー(レプリカ)の行方」の解説
ドラマで使われたデイトナ・スパイダーは2台とも無事に残っている。 シーズン3で爆破したのは製作費5千ドルの1/8スケールのミニチュアモデルだった。撮影は「ナイトライダー」などを手掛けた特殊効果スタッフによりロサンゼルス郡ズマビーチ近郊で行なわれた。 4号車 シーズン2が終了した1986年、カール・ロバーツの関係者を通じてサウスカロライナ州の一般人に買い取られた。その2年後ジョージア州のコルベット愛好家の手に渡って現在に至る。 この人物はユニバーサルがマルディキアンから購入したときの1号車と4号車の登録証も持っているが、車の偽造を防ぐため内容を一切公表していない。 1号車 1号車はロバーツの工場に2年ほど置かれたあと、再び大きく手を加えられて「キャノンボール3」(1989)で4年ぶりに姿を見せた。撮影終了後カリフォルニア州に運ばれたが、エンジンブローを起こしたためロバーツの知人が所有するテキサス州ラボックの修理工場に預けられた。その後は野ざらしで放置してあるらしいという情報を最後に、廃棄処分になったと考えられていた。 ところが2006年頃、同じラボックでFLAT12という自動車ディーラー/仲介業を営むトム・ソウターとジェフ・アレン親子によって1号車と見られるデイトナが発見された。息子のジェフ・アレンはCNBCが放送する「カーチェイサーズ(英語版)」(行方不明の名車を捜すリアリティ番組)の司会も務める有名人で、この様子を2014年放送のシーズン3エピソード8 ”Jeff's Vice”で紹介している。 父親のトム・ソウターによれば、仕事仲間の自動車工場のバックヤードに黒のデイトナスパイダーが十数年前から放置してある話しを聞きつけ、あのマイアミバイスの車だと直感して買い取ったのだという。発見されたとき革シートやステアリングは色褪せヒビだらけになりカーペットは無くなるなど酷い状態だったが、撮影車と考えられる特徴はすぐに見つかった。 スタントカーでしか見ることのない2つのブレーキペダル。 エンジンルームに取り付けられたカメラ設置用と思われるマウントベース。 エンジンフード先端の裏側にあるエンブレム取付用と思われる穴を埋めた痕。 ひとつだけ大きく異なる点は、劇中ではコルベットのままだったメーターパネル周りがオリジナルの365に似せてあることだが、これは「キャノンボール3」のときに改良されたと考えられる。 車はほんの少し手直しされたあとeBayに出品され、イリノイ州ヴォロのヴォロ・オートミュージアムが落札した。 この自動車博物館のオーナーであるブライアン・グラムスはマイアミバイスの大ファンだという。彼がさらに検証を進めると、 右ホイールベースが約40mm短い。 製作者マクバーニーが「ベース車は緑を白に塗り替えたコルベットだった」と言った通り、Aピラーの根本部分を削ると黒の下にはマクバーニーが塗った赤、その下に白、最下層に緑色のペイントが現れた。 など、1号車と考え得る根拠が十分に揃った。 ブライアンは博物館のホームページで『マイアミバイスのデイトナを手に入れた!』と宣伝したのだが、インターネット上では行方不明の1号車について幾度となく議論されており否定的な反応ばかりだった。実際、テネシー州のハリウッドスターカーミュージアムには撮影車と称したデイトナスパイダーが展示されていたし(現在はHPから削除されている)、「これが本物のマイアミバイスカーだ」という見出しの中古車サイトや個人のブログが度々現れていたことを考えれば疑われても仕方のないことである。 なんとしても真相を知りたいブライアンに4号車の所有者(ジョージア州のコルベット愛好家)の友人だという人物が、ブライアンの手助けになればとコンタクトを取ってきた。車体にあるVIN(車両識別番号)を送ってくれたら登録証と照会してくれるという。早速その人物にVINを送ってみたのだが、番号は違っていた。 ブライアンはひどく落胆したが、改めて車を調べるとVINが打刻されたフレームの一部は後から溶接した痕があり、フロントウィンドウ下のVINプレートを留めるリベットも1970~1980年代のGM純正部品ではないことが判明、どの時点かわからないがVINが移植されているようだった。 他に手掛かりはないかGM社に問合せてみたところ、車の生産過程でフレームの他の場所にもVINを打刻していることがわかった。コルベットC3の場合、完成すると隠れてしまうサイドシルの裏側辺りなのだが、彼は思い切ってサイドシルカバーに覗き穴を空け本物のVINを確認した。再度、4号車の所有者の友人にそのVINをメールで送ったところ、数日後「同じ番号だ」という電話がありようやく確証を得ることが出来た。 のちにブライアンはカール・ロバーツに直接電話をかけてみた。VINについては入れ替えたことをあっさりと認め「最初に電話をくれたらすぐに教えてやったのに」と話したという。ブライアンはこの車両を出来るだけドラマに近い姿に復元して、現在ヴォロ・オートミュージアムで展示中である。
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