ディー‐エム‐ブイ【DMV】
読み方:でぃーえむぶい
DMV−バスが線路を走る
デュアル・モード・ビークル (Dual Mode Vehicle) とは、レール(軌道)と道路の両方を走る乗り物。JR北海道が02年から本格開発に乗り出しました。「乗降客の少ない地方路線を廃止せずに、コストを抑えて継続できないか」。そんな北海道ゆえのニーズから生まれた車両ですが、国内だけでなく海外からの関心も集めています。
2007年4月14日には釧網線の浜小清水-藻琴間で試験的営業運行が始まります。
外見や基本的な構造はほとんど普通のマイクロバスと同じ。ディーゼルエンジンを動力源に、ゴムタイヤと金属車輪の2つを持ち、道路走行時は金属車輪を持ち上げてゴムタイヤのみで走行。線路上を走行する際は、前輪ゴムタイヤの前部に格納された金属車輪(前部ガイド輪)をレール上に降ろし、前輪ゴムタイヤを持ち上げて浮かせ、後輪ゴムタイヤ後部の金属車輪(後部ガイド輪)をレール上に降ろします。後輪ゴムタイヤが駆動輪として軌道上を走行します。後輪ゴムタイヤは駆動軸上に左右それぞれ2本ずつ取り付けられており、内側のタイヤのみレールに接します。
DMVは、既存のレールと道路をそのまま走行するので、大規模なインフラ整備の必要がありません。ベースがマイクロバスなので、購入費、燃費、保守費などが従来の鉄道車両と比べ、低コストでの運用が可能です。後輪タイヤで駆動していますが、「後軸重配分制御」という方式を採用、後部ガイド輪へかかる荷重を可変させ制御することでゴムタイヤの摩耗を抑え、かつ走行安定性を向上させました。
道路からレールへのモードチェンジはガイドウェイを利用してレールと車輪の位置合わせを行い、約10秒間で乗り換えれます。レールから道路への乗り換えは、位置合わせが不要で、踏切からでも簡単に進出が可能です。
乗り心地は、道路上走行時はバスと同じで、レール上走行時もやはり列車と同じ。列車特有の「ガタンゴトン」という音もしますが、その様子はバスが線路の上を走っているよう。
一方、既にテスト走行を始めたのが岳南鉄道線。静岡県富士市が市制40周年記念事業の一環でJR北海道より車両を借り入れ、2006年11月から何度かのテスト走行を行っています。
現在DMVは、地方ローカル線や路面電車への導入が各地で検討されています。富士山の麓を走行する「夢の乗り物」DMV。多くの方が、交通の新しい役割を担う可能性を見たのではないでしょうか。
(掲載日:2007/04/14)
デュアル・モード・ビークル
(dmv から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 13:39 UTC 版)
デュアル・モード・ビークル(Dual Mode Vehicle, DMV[1])とは、列車が走るための軌道と自動車が走るための道路の双方を走行できるよう、鉄道車両として改造されたバス車両のことである[2]。
注釈
- ^ 車上装置には、青、黄、赤、×赤の4つのランプによる車内信号が現示され速度制限防護、終端防御、後退防御を行う。
出典
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- ^ 日田彦山線、BRT復旧で正式合意 8月に着工 日経新聞、2020-07-16
- ^ 日田彦山線にBRT 振興策ないまま着工 デマンドバス案も 日経新聞、2020-09-17
「DMV」の例文・使い方・用例・文例
- DMVが試験営業開始へ
- 北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)は新たに開発されたデュアル・モード・ビークル(DMV)の試験的な営業運行の提供を2007年4月に開始する予定だ。
- DMVは線路と車道のどちらでも走行することができる。
- 試験運行中,DMVは北海道東部の釧(せん)網(もう)線で浜(はま)小(こ)清(し)水(みず)駅と藻(も)琴(こと)駅の間を走行する予定だ。
- JR北海道はDMVでの往復を含んだ観光ツアーを検討している。
- 同社はDMVによって釧網線の乗客が増加することを期待している。
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