闇金融の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 14:54 UTC 版)
グレーゾーン金利の撤廃により、消費者金融の審査が厳しくなり、消費者金融で融資を断られた者が闇金融に手を出すことが懸念されている。ただ、これまで多重債務者が消費者金融への利払いのために闇金融に手を出したり、消費者金融を利用できない自己破産者が闇金融に手を出すというケースがほとんどだったので、上限金利引下げにより一時的には闇金融が増えても、中長期的には多重債務者や自己破産者の減少により、闇金融は減少するという説もある。 2005年(平成17年)1月27日の福岡高裁判決(平成16年(ネ)第752号事件)を初めとする下級審判例にて、ヤミ金の貸付契約は公序良俗に反して無効とされた。さらに、平成20年6月10日最高裁判例(平成19(受)569号事件)により、ヤミ金による貸付金は民法708条の不法原因給付であり、被害者からヤミ金への損害賠償請求では、貸付金を利益相殺しないことが確定した。 この二つの判例により実質的に、下記の事項が訴訟上認められた。 闇金融から借りた金は、元金も含めて返還する必要がない 加えて、借りた後に闇金融に対して支払った金品は、その全額を返還請求できる(ただし元々が犯罪性のある狡猾な組織であるから、回収に実効性があるかは議論の余地がある) 2007年1月20日より改正貸金業法により闇金の刑事罰が従前の「5年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金又はその併科」から「10年以下の懲役又は3000万円以下の罰金又はその併科」(貸金3条1項,同47条1項)に引き上げられ、恐喝の罪と同等以上となった。また、各都道府県警察の悪質金融事犯取締本部の取締強化で、2007年の検挙件数は484件(前年比50%増)となり、闇金は成り立たなくなってきているという意見もある。利用口座の凍結が行われていることもあり、2012年には被害額が統計開始以来最少の109億円まで落ち込んでいる。 闇金融業者は自らが違法行為を行っている認識はあるため、取立ての電話があった場合、会話を録音した上で、逆に事務所の所在地や代表者の名前等を尋ねたり、警察への通報を匂わせると、それ以後の取立ては止まる場合が多いとする人もいる。なぜならば、それ以上の取立てや自己の所在地等が判明することは闇金業者自体に警察からの捜査が及びかねないこと、闇金業者の貸付が2、3万円程度の場合は、ある種の貸し倒れに対する「リスクヘッジ」ができているからであるという。もっとも、闇金融業者は暴力団の構成員や準構成員、フロント企業、あるいは半グレ等の準暴力団の関係者である場合もあり、その場合は程度によっては拉致、軟禁、監禁、暴行、傷害や殺害を含む執拗な攻撃を加えてくる虞れもある。 2008年7月14日放映のNHKスペシャルでは、生活苦(自己破産したり、病気で仕事ができないなど)のためにやむを得ず闇金融に手を出す人々がいつの時代にも必ず一定数おり、闇金融側からすると「いい餌食」となっている現状や、客と業者ではなく、個人から個人への融資の形をとって貸し付けるために摘発しにくく、文字通りの「闇」金融になっているケースを紹介し、こうした事態を打開しようと活動を始めている自治体が実際にはまだ岩手県と鹿児島県の2県しかなく、闇金融完全撲滅の前途が厳しいことが描かれていた。 2013年には、法的にも利息制限法を超える109.5%の利息が認められている質屋として名目上許可を得るという「偽装質屋」が問題となるなど、新たな手口も登場している。 インターネット掲示板などで問題となっている。口座売買などを持ちかけられるなど被害が出ている。
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