偽装質屋
実質的には貸金業(闇金)であるにもかかわらず、質屋の形態をとり、違法な高利で貸付を行う金融業者のこと。偽装質屋は、質屋営業に認められた特例措置を悪用することで、利息制限法の適用を受けず、「グレーゾーン金利」での貸付を行っている。
質屋営業は、質屋営業法第36条により、日割換算で実質年利108%程度の高金利の設定が可能とされている。この金利は、利息制限法で定められている上限金利を超える高利である。質屋営業法で特例措置が設けられている理由としては、質屋で融資されるのが通常少額で、返済までの期間が短期間であることや、質草の鑑定や保管、盗犯防止などに手数がかかることなどが挙げられている。しかし、偽装質屋においては、質草は単なる名目上の担保に過ぎず、実際には価値や効力を持たない。100円ライターや使い古しの時計などが質草とされた例もある。
偽装質屋を運営する業者は、特に年金暮らしの高齢者をターゲットとすることが多いとされる。消費者庁の調査によると、2007年度以降に被害に遭った人の7割以上が60歳以上であった。質屋では通常、収入証明書の提示は必要とされないが、偽装質屋では貸金業者のように、年金収入などの証明書の提示を求めるケースがある。また、偽装質屋の中には、年金受給口座から直接引き落とす形で代金を徴収している例もあるという。
2012年以降、偽装質屋を営業していた業者が貸金業法違反や出資法違反などで摘発される事例が相次いだ。消費者庁は、偽装質屋を悪質な貸金業者と見なし、注意喚起の活動を行っている。
関連サイト:
いわゆる「偽装質屋」への対応について - 消費者庁
質屋営業法 - 総務省e-gov
偽装質屋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/19 03:24 UTC 版)
上述のような法定金利の差に目をつけ、闇金融業者が質屋として営業許可を取る「偽装質屋」という事例も現れている。 通常の質屋では質草の価値をもとに金銭を貸し、滞納時は質流れとするが、偽装質屋では質草に価値はなく、また質流れもさせず、自動引落により融資金を回収していた。これらの状況から実態は貸金業だとして、貸金業規制法違反として摘発がなされている。 被害者の多くは2010年に施行された、改正貸金業規制法の総量規制で消費者金融から借りることが困難な人(主に低所得者や高齢者、ひとり親、生活保護受給者であり)、年金や児童扶養手当、生活保護が振り込まれる口座に自動引落を設定して、事実上年金や児童扶養手当、生活保護を担保として融資をしている状態であった。 その他、レンタル時計店を仮装した闇金融業者の事例もある。被害者がレンタル時計や担保価値のないガラクタがほとんどで偽物である時計を借りて(レンタル時計屋には、レンタル料金が発生する)、質屋で、その時計を本物と鑑定し、質入れをしてお金を貸金業法の規制ではなく質屋営業法第36条による高金利で貸出し、レンタル時計店と質屋は共謀している。質屋営業法第36条による月暦9%という高金利規制は、闇金融の格好のターゲットとされ、上記の犯罪事例も含め闇金融による犯罪等の温床にもなっていて、社会問題も引き起こしている。
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