金属構成の変革
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「1セント硬貨 (アメリカ合衆国)」の記事における「金属構成の変革」の解説
リンカーン・セントの項目も参照 発行年素材1793年–1857年 銅100 % 1857年–1864年 87.5 % 銅、12.5 % ニッケル (「NS-12」としても知られる) 1864年–1943年 青銅 (95 % 銅、5 % スズと亜鉛) 1943年(1944年) 亜鉛でコーティングされた鋼鉄 1943年–1962年 青銅 (95 % 銅、5 % スズと亜鉛) 1962年–1982年 95 % 銅, 5 % 亜鉛 (およそ3.04グラム) 1982年– 現在 97.5 % 亜鉛(中心部), 2.5 % 銅(表面メッキ) 第二次世界大戦もピークを迎えた1943年、戦争で消費する銅の需要のために、亜鉛でコーティングされた鋼鉄を用いて造られていたセント硬貨が短期間製造されていた。数少ない1943年版の銅製のセント(アメリカ合衆国造幣局によれば40枚と報告されている。このうちの1枚が1947年に入手した人物から2019年にコイン競売会社ヘリテージ・オークションに渡り、20万4千ドルで落札された)硬貨は、貯蔵庫に残っていた1942年用のプランシェット(planchette。素材板)を用いて製造された。1943年に続いて、当時は回収された薬莢を使用し硬貨が製造工程へと進んだため、硬貨の仕上がりに真鍮の条痕がついたり、硬貨が黒みがかっていたりすることは、他の年よりもよく見られた。 1970年初頭、銅の価値が1セント硬貨に含まれる銅の含有量のほとんどを超える地点にまで達したため、造幣局はアルミニウムのほか青銅を混在させた鉄の合金など、硬貨に使用するための代用となる金属をテストすることになった。このときセントの材料にアルミニウムを使用することが決定され、150万枚を超える硬貨が製造されて発行を待ったが、最終的に流通へは至らなかった。現在これらは違法な硬貨とされ、アメリカ合衆国シークレットサービスによる没収の対象となるが、依然として少量のアルミニウム・セントが収集家の手中にあると信じられている。現存のうち1枚はワシントンD.C.にあるスミソニアン博物館に所蔵されている。 セント硬貨の金属構成は1982年、再び額面に含まれる銅の価格が1セントを超える位置まで上昇し始めたため変更された。一部の1982年の硬貨には、97.5 %の亜鉛が使用されているが、その他は95 %の銅が使われている。その後銅の価格は1セント硬貨を製造しても採算が取れるレベルにまで落ち着いた。 2007年5月26日時点で、銅と亜鉛の価格は1ポンド当たりそれぞれ3.39ドルと1.67ドルである。こうした価格において、1982年以前に製造された銅製のセント硬貨は、2.267セント分の価値がある量の銅を含んでおり、融解して売却すれば利益が得られることから格好の標的となった。 しかし、こうした悪質な期待に反して、合衆国造幣局は2006年12月14日に新たな規制を履行した。これはセント硬貨やニッケル硬貨を溶かしたりする行為に刑罰を与え、硬貨の輸出に制限をかけるものであった。この規制に違反した行為を行った者は、1万ドルの罰金や5年以下の禁固刑に処せられる。 現在製造されている、銅メッキされた亜鉛を用いて造られる1セント硬貨は、金属価値に換算しておよそ0.943セント(変動あり)に値する。しかし、1セント硬貨の製造には、2014年で1枚当たり1.7セントの費用が掛っている。亜鉛の価格が急激に上昇した折には、合衆国造幣局が他の代用金属を再び探さなければならなくなる。しかし、造幣局が製造し流通させる通貨単位や、硬貨の含有量を決定づけるのは、アメリカ合衆国議会である。 造幣局は合衆国議会が命じる硬貨のみを製造するため、通貨単位を変更したり廃止したりする権限を持ってはいない。アメリカ合衆国議会やアメリカ合衆国大統領の署名で制定される法律によって、廃止を行うよう指示されたならば、アメリカ合衆国財務省は、再びセント硬貨の変更や段階的な廃止を検討するだろうという指摘がある。 これは1セント硬貨を廃止しようという声や、それに関連した法案が挙がっていることに関係するものである (Efforts to eliminate the penny in the United States)。硬貨の需要もあり、連邦準備銀行もそうした需要に合うような目録の作成を求めているため、造幣局は1セント硬貨の製造を続けている。 青銅・銅・亜鉛を用いて製造されたセント硬貨は、その違いが音で分かる。硬貨を指で連続して弾いてみると、主に銅製のセント硬貨は12キロヘルツの音で音が鳴り響くが、亜鉛が多く含まれるセント硬貨は音が響かない。
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