選挙の過程
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「2008年アメリカ合衆国大統領選挙」の記事における「選挙の過程」の解説
共和党・民主党に所属して大統領を目指す者は、両党が各州で行う予備選挙・党員集会を通じて、まず党の大統領候補としての指名獲得を目指すことになる。 立候補を予定する者は、正式な出馬表明・立候補申請以前の段階からそれぞれ非公式の活動を始めている。2006年に行われた中間選挙は、2008年の大統領選挙の有力候補者にとって候補者の支援活動・資金集めという観点から重要な意味があった。現職の上院議員で改選期を迎える者は、大統領選挙の前の大きな選挙として中間選挙を戦った。正式な立候補は、2006年から2007年にかけて表明され始めた。 2004年の場合、民主党ではハワード・ディーン候補が2003年秋ごろから最有力候補として名前が大きく取り上げられた。このように、選挙前年の秋ごろから予備選挙に向けた活動が本格化し、メディアは世論調査等の結果に基づき特定の候補を予備選挙における有力候補(front-runners、先行候補)として注目して報道がなされるのが通例であるが、2008年の選挙では、全般的に各候補が選挙運動を早める傾向があることから、先行した有力候補などは2007年に入った以降は各党について大きく取り上げられている。 各候補者の選挙運動が例年に比べ早めに始動したこと、各州が各々の州の予備選挙の重要性を高めるために日程を前倒ししたことから、今回の予備選挙では各州の日程が大幅に繰り上げられる傾向が見られた。民主党では、ミシガン州とフロリダ州が予備選日程を独断で早めた懲罰として、党全国委員会から両州の代議員枠を「ゼロ」とされる事態となった。 また、3月のいわゆるスーパー・チューズデーと呼ばれる複数の主要州での予備選挙実施日も、例年より約1か月ほど早い2008年2月5日の火曜日に設定され、民主党は22州、共和党は21州で予備選挙・党員集会を行った。このため、アメリカメディアはその比重の大きさを表現するために、「メガ・チューズデー」「ツナミ・チューズデー」などと呼んだ。 両党の予備選挙は2008年1月3日のアイオワ州から開始された。最初に結果が出るアイオワ州党員集会やニューハンプシャー州の予備選挙で勝つことにより、候補者は大きな注目を集めることとなり、その後の争いを有利に展開することが出来る。その後予備選は6月まで続くが、通例のように「メガ・チューズデー」までに両党の候補者が実質的に決定すると予測されていた。共和党では「メガ・チューズデー」前にマケイン有利がほぼ確定したが、民主党ではオバマ、ヒラリー・クリントンのデッドヒートが続き、3月4日の「ミニ・チューズデー」では、土俵際まで追い込まれていたヒラリー・クリントンが、4州中3州(テキサス州・オハイオ州・ロードアイランド州)で勝利し決着がつかない状態となった。さらに、予備選後半の大票田であったペンシルベニア州で、ヒラリー・クリントンが9.1%のリードで勝利し、オバマ優位は変わらないものの粘りを見せつけ、戦いは長期化した。しかしノースカロライナ州でオバマが14ポイントの大差で勝ちヒラリーはペンシルベニア以上のダメージを受けた。これがヒラリーにとって致命傷となった。ケンタッキー・オレゴン戦でオバマは一般代議員の半数を超えた。5月31日民主党党規委員会は、予備選日程を前倒しした制裁として代議員数をゼロとされていたフロリダ州およびミシガン州について、代議員の半数を復活させることを決定した。(指名獲得に必要な代議員過半数は、それまでの2,026人から2,118人となった)それでもオバマ優位は変わらず、6月3日の予備選挙最終日、モンタナ州、サウスダコタ州予備選挙で、過半数まで残り40人と迫っていたオバマがついに過半数2,118人を超える2,156人の代議員を獲得して民主党大統領候補の指名を確定させた。 各州の予備選挙・党員集会が一通り行われた後、それぞれの党大会が開かれ、正式に両党の正副大統領候補が決定する。民主党全国大会は2008年8月25日から28日にかけて、コロラド州デンバーで、共和党全国大会は9月1日から4日にかけて、ミネソタ州セントポールで開催された。 選出された各党の候補に対し11月4日に一般投票が実施され、当選者が事実上決定した後、12月15日に選挙人の投票が行われ正式に当選者が決まる。選挙は、2004年アメリカ合衆国大統領選挙と同様に2000年の国勢調査に基づいた選挙人の各州への配分で行われる。選挙人の過半数である270名を獲得した候補が大統領に選出されるが、どの候補も過半数を獲得しなかった場合には、大統領は下院議員による投票で、副大統領は上院議員による投票で決定される。 翌2009年1月6日に新議会が開会し、その場で正式に結果が発表された。それを受けて、2009年1月20日に大統領就任式が執り行われ、正式に第44代アメリカ合衆国大統領・第47代アメリカ合衆国副大統領が誕生した。
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