連接構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 02:10 UTC 版)
3000形SE車で初採用となった連接構造 空気ばね位置を高く設定した50000形VSE車の連接構造 1台の台車によって2車体を連結する連接構造は、1957年に登場した3000形SE車において初めて採用された。曲線の多い小田急線の軌道条件において曲線通過を容易にできること、車体支持間隔の短縮により車体剛性を確保できること、オーバーハング部分がないため乗り心地を改善できる、台車配置の平均化により軌道への負担が軽減されることが理由として挙げられており、当時小田急の取締役兼考査局長であった山本利三郎の強い主張により採用されたものである。この当時、日本の高速電車における連接車の採用実績は、京阪60型電車・西鉄500形電車・名鉄2代目400形電車の3形式だけであり、一挙に8車体もの連接車を導入したのは当時としては大英断であったといわれている。 その後、連接構造は1963年に登場した3100形NSE車・1980年に登場した7000形LSE車・1987年に登場した10000形HiSE車においても採用されており、小田急の特急車両の大きな特徴となった。日本の高速電車全体での連接車の採用事例の中でも、小田急の特急車両における採用事例が突出して多い。 連接車の通過音 50000形VSE車 ボギー車の通過音 60000形MSE車 これらの音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。 しかし、1991年に登場した20000形RSE車ではJR東海との協定により371系と基本仕様を統一したため通常の鉄道車両と同様のボギー車となったが、車内販売のカウンターが車端部のオーバーハング部分に設置されたため、それまで連接車にしか乗務した経験のなかった車内販売の担当者から「RSE車に乗ると乗り物酔いになる」という声も上がった。さらに、1996年に登場した30000形EXE車においても、定員増のためにはボギー車が有利であると判断され、連接構造は採用されなかった。2008年に登場した地下鉄直通用車両の60000形MSE車、2018年に登場した70000形GSE車も通常のボギー車である。 ただし、小田急側では「連接車をやめたわけではない」「連接車はわが社(小田急)だからできること」ともしており、2005年の50000形VSE車登場にあたっては乗り心地の向上のためには不可欠なものとして連接構造が採用された。また、VSE車では台車が車体間にあるという連接車の構造を利用して、空気ばねの位置を車体重心近くの高い位置にする構造となっている。しかし、上述の通り70000形GSE車では「連接車だとホームドアが合わなくなる」として連接構造をやめ、展望席設置車両としては初となるボギー車が採用された。 上述の経緯により、2018年の7000形LSE車の運用離脱以降、連接構造を採用するのは50000形VSE車2編成のみとなっているが、2023年に予定されているVSE車運用離脱をもって全ての車両がボギー車に統一される予定である。なお、2022年3月をもってVSE車は通常運用から撤退している。
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