評価と残されたもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 00:41 UTC 版)
「カンボジアン・ロックス」の記事における「評価と残されたもの」の解説
このアルバムは、その音楽的内容とともに、歴史的、文化的意義が認められて賞賛された。『ローリング・ストーン』誌は「驚くべき文化の盗用 (a marvel of cultural appropriation)」と評し、「あらゆる形の超絶技巧 (all manner of virtuosity)」が披露されているとした。『Far East Audio』誌は「インスタント古典 (instant classic)」と評したが、オールミュージックはこのアルバムについて「60年代後半から70年代初頭にかけてのカンボジアのロックの、信じられないような歴史的記録 (an incredible historical document of late-'60s to early-'70s Cambodian rock)」と述べた。ニック・ハノーヴァー (Nick Hanover) は、このアルバムを「予想もつかないほどの楽しみ (unpredictably playful)」なミックスであり、「ひとつひとつのトラックが ... 驚きの連続で、西と東の矛盾した要素がバランスされ溶け合い ... オルガンのフックが、ボーカルに対抗するような激しいギターのリフの合間を縫って現れ、そのボーカルはポップなメロディを歌うというよりは、しばしば幽かなサイレンの悲しみのようである」と述べた。『ニューヨーク・タイムズ』紙はこのアルバムと、その発売をめぐる状況が、「その音楽に謎に満ちた永続的なオーラを作り上げた (established a lasting aura of mystery around the music)」と述べた。 『カンボジアン・ロックス』は、同種の企画の先駆けとなり、数多くの同じ様な趣向のコンピレーションが『Cambodian Cassette Archives』などと題されていろいろとリリースされたが、これは最初に出た『カンボジアン・ロックス』に示唆されたか、あるいは、知的財産権という観点から弱い立場にあった素材を搾取するものであった。このアルバムはまた、よく知られていなかった西洋以外の地域におけるサイケデリック・ロックやプログレッシブ・ロックへの西洋の側からの関心を呼び起こす契機のひとつとなった。 カリフォルニア州のバンド、デング・フィーヴァー(英語版)は、クメール語でロックを演奏することで知られているが、『カンボジアン・ロックス』からの楽曲のカバーをいくつも手がけている。ポール・ウィーラーと同じ様に、デング・フィーヴァーの創始者イーサン・ホルツマン (Ethan Holtzman) も、カンボジアを旅行中に60年代から70年代の音楽を見つけ、帰国後にバンドを組んだ。バンドのシンガーで、カンボジアからの亡命者であるチャム・ニモル(英語版)は、クメール・ルージュの時代にはタイの難民キャンプで生活していた。 映画製作者ジョン・ピラッツィ (John Pirozzi) は、カンボジアで映画『シティ・オブ・ゴースト』の撮影に参加していた時に、このアルバムを入手し、収録されたアーティストたちについての調査を始めた。最終的に、彼は様々なことを明らかにして、クメール・ルージュ以前のカンボジアにおける音楽を取り上げた2015年公開のドキュメンタリー映画『カンボジアの失われたロックンロール Don't Think I've Forgotten』を制作したが、その題名は、シン・シサモットの楽曲の曲名に由来している。
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