評価と芸術における描写
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 17:13 UTC 版)
「エーリンナ」の記事における「評価と芸術における描写」の解説
古代においては、エーリンナは高い評価を得ていた。彼女よりも優れた女流詩人だと古代ギリシアで考えられていたのはサッポーだけであった。テッサロニケのアンティパトロスは、自分が作ったリストである「地上界の9ムーサイ」に彼女を含めている。『ギリシア詞華集』に集められている幾つかの他のエピグラムではエーリンナが称讃されており、メレアグロスの『花冠』においては、彼女の作品は「甘美な、乙女の肌の色持つクロッカス」に比較されている。エーリンナについて否定的な古代の証言は、マケドニアのアンティパネスのエピグラムで述べられているものしかなく(『パラティン詞華集』11-322)、しかもこのエピグラム自体が、カッリマコスの弟子たちのあいだでエーリンナが高い令名を得ていたことを証明している。エーリンナに関する古代の証言すべてが、彼女がヘレニズム時代の詩人として第一級の人物だったことを示唆している。 今日では、エーリンナの作品で残っているものがあまりにも少ないため、彼女の詩を判断することが難しい。とはいえイアン・プラントによれば、『糸巻棒』の現存部分は、古代における詩の評価が間違いでないことを明確に示している。加えるにエヴァ・シュテーレは、エーリンナの詩は、古代ギリシアの世界における母親たちとその娘たちのあいだの関係を示す、非常に稀な証拠資料の一つととして意味深いものと見ている。エーリンナはまた、サッポーやノッシスを含む他の女流詩人たちと共に、古代ギリシアにおける女性の詩の伝統の一部としてフェミニズム研究者に読まれている。 また、主作品『糸巻棒』がエジプトで発見される以前にも、エーリンナの名は西欧古典文学では知られていた。19世紀には、西欧でサッポーに対する関心が高まり、サッポーとの関係においてエーリンナを取り上げる文芸評論家や、詩人、画家などが現れた。彼らは『スーダ』の記述等に基づいて、想像のイメージを文章や絵画で表現したが、それらは歴史的なエーリンナの像とは無関係であったと言える。また、日本では上田敏が「才藻たぐひまれなる詩人にして、叙事詩の界に於ては殆ど師サッフオを凌駕せりとまでいはれたるひと」と評している。 2017年、日本の漫画家佐藤二葉が、エーリンナを主人公とする歴史漫画『うたえ!エーリンナ』を発表した。2018年、ギリシア共和国の新聞『タ・ネア』が、同作を日希間の文化交流の一例として取り上げた。
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