観測的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 15:41 UTC 版)
へびつかい座RS星の爆発による光度変化は、毎回似たような特性を示す。増光は急激で、極大までの3等級の増光に0.6日しか要しない。極大後の減光も初期は速く、極大から3等級暗くなるのに14日、5等級暗くなるのに48日だが、2ヶ月目辺りで減光率が鈍り、前後では1日当たり0.04から0.05等級暗くなるところが、1日当たり0.01から0.02等級の減光率になる。4ヶ月後辺りから再び減光が速くなる。また、へびつかい座RS星の光度曲線で特徴的なのは、爆発後100日から500日辺りで出現する「谷」である。この間、明るさは通常の静穏期と比べて最大1等級以上暗くなる。この谷は、これまで記録された全ての爆発で確認されている。 2006年の爆発では、爆発から2週間後に超長基線電波干渉法 (VLBI) による高分解能の観測で、非熱的な電波放射(シンクロトロン放射)が、双極構造を持つことが示された。これは、爆発による放出物質がジェット状に絞られて、赤色巨星の恒星風が残した星周物質と衝突した衝撃波によるもので、白色矮星回りの降着円盤の寄与が疑われる。超長基線アレイ (VLBA) で爆発から1-2ヶ月後に観測した結果も、それを支持する。 電波よりも更に後、ハッブル宇宙望遠鏡と、メキシコのメキシコ国立天文台、ギイェルモ・アロ天文台(英語版)の観測から、可視光でも新星残骸が双極構造をとり、外側の高速領域と、内側の低速高密度領域、2つの顕著な成分があることがわかった。外側の高速領域は、爆発後は膨張速度を維持し、その速度は5,600 ± 1,100 km/s、内側の低速領域は減速したものと予想されるが、この考え方には議論の余地がある。また、分光観測により強い金属スペクトル線の時間変化を追いかけたところ、強度が急激に変わったり、輪郭が目まぐるしく変わったりする成分があるとわかり、爆発の放出物と相互作用する星周物質は、繰り返される爆発で複雑な構造をとっていることを示唆する。同様の特徴は、Ia型超新星の一つSN 2006X(英語版)でも観測されており、共生回帰新星が間もなくIa型超新星になるという筋書を支持する。 硬X線は、爆発後すぐ急速に減光しており、これも爆風と星周物質が衝突してできた衝撃波が、球対称とかけ離れていることを表している。一方、軟X線は、爆発後26日目に新たな光源が現れ、これは白色矮星における核燃焼が進んだことを示唆する。X線のスペクトルをみると、幅広い温度からの放射が含まれており、爆発の爆風と星周物質の衝突による衝撃波加熱によって高温となったことが示唆される。その中にも、高温と比較的低温の2つの成分が存在することがみてとれ、両者の減光率を比べると、高温成分は放射冷却による減衰、低温成分は膨張による冷却で減衰、と異なる原因でX線が弱くなったと考えられる。
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観測的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/01 06:26 UTC 版)
地球からは5,000光年から6,000光年離れているが、5等星なので空が暗い場所なら肉眼で見ることができる。16世紀末に突然明るく輝きだして3等星になるまでは知られていなかった。1600年8月18日にオランダの地図製作者ウィレム・ブラウが初めて観測し、新星としてバイエル符号のPが付与された。6年後から徐々に減光し、1626年には肉眼では見えない程暗くなった。1655年に再び増光し1662年に減光、1665年に再度増光した後、光度変化が繰り返され、1715年以降は5等星として安定し、小さい変動が続く一方、100年で0.15等級前後とわずかずつ増光しているとの報告がある。21世紀初頭における明るさは4.8等級で、数日程度の短い周期で0.1等級未満の不規則な変光を示し、より長い時間軸では0.2等級程度の振幅で不規則に変動している。。 2018年8月には東京大学のグループにより、1600年の増光時に放出されたガスによって生じた半径約2兆kmの衝撃波とは別に、半径約7000万kmの衝撃波が存在するという研究結果が発表された。この衝撃波は、従来知られていた外側の衝撃波と異なり、定常的な恒星からのガスの放出によって生じたものであると考えられている。 はくちょう座P星はかつて、「永遠の新星」と呼ばれていた。スペクトルの類似やガスの放出、そして新星が爆発型変光星と混同されていたことがあるためだが、現在は新星とは別種の天体であることが明らかとなっている。
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