観測結果の反響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 03:22 UTC 版)
「南太平洋潮位・気候監視プロジェクト」の記事における「観測結果の反響」の解説
2000年ごろより海面上昇の影響がとりわけ多く報道されるようになったツバルに対して、SEAFRAME は背反する解釈をもたらすデータを与えることになった。 2002年には、以前からハワイ大学の行っていた観測と、SEAFRAME の9年間の観測とをあわせ、2001年までの24年間のデータから解析された平均海面上昇率が +0.8±1.9 mm/年であるという研究が報告された。 結果は1997年から1998年のエルニーニョによる海面低下の影響を受けているが、それを除いてもなお +1.2±0.8 mm/年とされた。 オーストラリア国立潮汐研究所(NTF, 現国立潮汐センター)も +0.9 mm/年とし、こうした解析結果は顕著な海面上昇が発生していないとして報道され、類似のデータは以降しばしば引用され検討されている。 一方で、SEAFRAME 単独のデータから読み取られる海面上昇の傾向は当初変動が激しかったものの、2006年に公表された SPSLCMP の報告では、1993年から2006年の間のツバルの海面上昇の傾向は +5.7 mm/年に跳ね上がり13年で 7.5 cm の上昇があったことが示された。 今度はこれはツバルの海面上昇の証拠として報道され引用された。 なお、2021年の IPCC の第6次評価報告(第1作業部会政策決定者向け要約)では、2006年から2018年までの衛星からのレーダー高度計による海洋全体での平均海面上昇率は +3.7 mm/年であり、またシナリオにもよるが中位シナリオ (SPP2-4.5) で予測されている海面上昇は1995年から2014年の平均と比べて、21世紀末までのおよそ100年で +44 cm から +76 cm である。 この値と比べてこの SPSLCMP の報告は多くの地点でやや高い値を示しているが、衛星データにみられる西太平洋に偏った高い海面上昇率と整合的であり、PDO の動向も含め長期の動向を見るにはさらなる継続的観測が必要とされる。
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