観光と登山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 14:29 UTC 版)
黒部ダムは日本を代表するダムの一つであり、周辺は中部山岳国立公園でもあることから、立山黒部アルペンルートのハイライトの一つとして多くの観光客が訪れる。黒部ダムに到達するためには、自家用車で到達できる最奥の場所からだと、富山県側からでは立山駅でケーブルカー乗車→美女平駅でハイブリッドバス乗車→室堂駅でトロリーバス乗車→大観峰駅でロープウェー乗車→黒部平駅でケーブルカー乗車と4回の乗り換えが必要であるが、長野県側からは扇沢駅から発車する電気バスのみでたどり着ける。 1996年からは欅平から黒部ダムに至る輸送設備黒部ルートの公募見学会が関西電力により開催されており、その「欅平出発コース」では黒部峡谷鉄道 欅平駅を出発し、黒部ダムに到着する。ただし逆向きの「黒部ダム出発コース」を使った往復はできないため、帰りは別の経路でなければならない。なお、2024年からはこの見学ルートが一般開放されることになった。(以上、「立山黒部アルペンルート」「黒部ルート」のいずれも登山装備で徒歩でアクセスする場合を除く) ダムの各観光施設は関電アメニックスくろよん観光事業部が運営している。6月下旬から10月中旬頃までダム湖の水を放流する「観光放水」が行われ、ダム展望台、放水観覧ステージ、新展望広場の各所から見学することができる。新展望広場特設会場内では石原裕次郎記念館から移設された映画「黒部の太陽」のトンネルセットのレプリカを展示しており、ダム建設に関する映像やパネルを見ることができる。 レストハウスのレストランではダム湖をモチーフにした名物の「黒部ダムカレー」を食べることができる。また、黒部ダム左岸側から上流側に数分歩いた地点には遊覧船ガルベの乗り場があり、黒部湖を乗船時間30分ほどで周遊することができる。厳冬期における湖面凍結による損傷を避けるため、晩秋・初冬になるとガルベは湖面から引き揚げられ、翌年初夏に運航を再開する。 遊覧船乗り場からさらに上流側には湖畔遊歩道が続き、山小屋のロッジくろよんで折り返して往復1時間ほどで散策できるが、ロッジくろよんより先は登山装備を要する)急峻な地形を結ぶ登山道となっている。1976年には沢の増水により26人が取り残されるなど遭難事故も発生しやすい環境にある。 登山客の間では、室堂駅に向かう立山黒部アルペンルートの中継地点という位置づけのほかに、アルペンルートを利用せずとも一ノ越を経由して立山に登れる直登ルート、上流側の黒部湖沿いを歩いて至る赤牛岳の読売新道方面ルート、下流側の下ノ廊下沿いを歩く日電歩道ルートの起点の観光地としても親しまれている。直登ルートの道中からは黒部湖を俯瞰することができ、黒部ダム左岸側から立山の雄山山頂までの所要時間は徒歩6時間45分。読売新道方面ルートは、ロッジくろよんのさらに上流側の平の小屋の渡し場から1日4 - 5往復の無料の渡し船で黒部湖を横断して、崖や梯子が連続する道を抜け、奥黒部ヒュッテとその先の赤牛岳に至る。一般的に奥黒部ヒュッテまではダムから往復徒歩1泊、赤牛岳までは往復徒歩2泊は必要である。 2007年に文化庁が世界遺産候補地を公募した際、「立山・黒部~防災大国日本のモデル-信仰・砂防・発電-~」として名乗りを上げたが、山岳信仰・産業施設・自然環境を一体的に捉えることに無理があるとして選考に漏れた経緯がある。
※この「観光と登山」の解説は、「黒部ダム」の解説の一部です。
「観光と登山」を含む「黒部ダム」の記事については、「黒部ダム」の概要を参照ください。
- 観光と登山のページへのリンク