親鸞以前の悪人正機説とは? わかりやすく解説

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親鸞以前の悪人正機説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/19 04:24 UTC 版)

悪人正機」の記事における「親鸞以前の悪人正機説」の解説

この悪人正機説は、親鸞独創ではないことはすでに知られている。浄土宗法然が、7世紀新羅華厳宗学者である元暁がんぎょう)の『遊心安楽道』を引いている。(なお、近年では『遊心安楽道』が元暁仮託の偽撰書である可能性指摘されている。) 四十八の大願初にまず一切凡夫のため、兼ねて三乗聖人のためにす。故に知んぬ。浄土宗の意は本凡夫のため、兼ねて聖人のためなり。 — 元暁遊心安楽道』 また浄土真宗本願寺第三覚如も、元は法然教えであるとしている。 本願寺聖人親鸞)、黒谷先徳法然)より御相承とて、如信上人仰せられていはく、「世のひとつねにおもへらく、悪人なほもって往生す、いはんや善人をやと。この事とほくは弥陀本願にそむき、ちかくは釈尊出世金言に違せり。そのゆゑは五劫思惟苦労六度万行堪忍しかしながら凡夫出要のためなり、まつたく聖人のためにあらず。しかれば凡夫本願乗じて報土往生すべき正機なり。(中略しかれば御釈(玄義分)にも、「一切善悪凡夫生者」と等のたまへり。これも悪凡夫を本として、善凡夫かたはらかねたり。かるがゆゑに傍機たる善凡夫、なほ往生せば、もつぱら正機たる悪凡夫いかでか往生せざらん。しかれば善人なほもて往生す、いかにいはんや悪人をやといふべし」と仰せごとありき。 — 覚如口伝鈔このように、すでに古くから阿弥陀仏目的凡夫救済目標としていること、悪人正機教え親鸞独創ではない事は指摘されていた。 法然も『選択集』に「極悪最下の人のために最上の法を説く」と述べており、悪人正機説展開している。親鸞悪人正機説は、この法然の説を敷衍したもの思える。しかし、法然どこまでも善を行う努力尊んだのであり、かえって善人なれない自己をして、より一層努力をすべきだという立場である。『和語灯録』に「罪をば十悪五逆の者、尚、生まる信じて、小罪をも犯さじと思ふべし」とあるのは、これを示している。法然は悪を慎み善を努めることを勧めたのである源智記した伝えられる法然伝記一つである醍醐本『法然上人伝記』(『昭和新修法然上人全集所収)のなかに「善人以往生況悪人口伝有之」と、『口伝鈔』『歎異抄』と同じ文言があり、ともに法然口伝としていることから、末木文美士は「源空門下の人達によって、スローガン的に伝持されたものではないか」としている。 『法然上人伝記』・醍醐寺本は大正6年醍醐寺三宝院真言宗)から発見され法然弟子源智残したとされる文書写本である。このうち三心料簡および御法語」には、「歎異抄」と酷似し表現悪人正機思想の意味誤解注意記されている。文献内容法然自身語った思想であるか否かについては議論がある。 一、善人以往生況悪人乎事 <口伝有之>私云、彌陀本願自力離生死有方便 善人為をこし給はす。哀極重悪人他方便輩をこし給へり。然るを菩薩賢聖付之求往生凡夫善人帰此願得往生、況罪悪凡夫尤可憑此他力云也。悪領解不可邪見、譬如云本為凡夫兼為聖人能能得心得心。 — 『法然上人伝記三心料簡および御法

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